黒ヒョウの力
ビームがね
気合い入れると
出るんだよ
なんと素晴らしい俳句であろう‼︎
因みに、ビームは夏の季語である。
黒ヒョウの知識によると、振り向きざまに撃ちたい所を凝視して
「ぬあぁ〜あああ‼︎」
と叫べは、右目からビームが発射されるらしい。
その姿は、ハンマー投げ選手を彷彿とさせる勇ましい物である。
セインは戦慄していた……。
目からビームが撃てたらいいなー
そう思ったことは、誰しも無いであろうか?いや、あるに違いない。
その思いが実現する日が来るなんて‼︎
喜びを噛み締めるセインであった…。
ソルの町の南門から外へかなり離れた場所に、二人の女性が対峙していた。
弓神のダイアとマギーニャである。
弓と魔法の激突ということで安全の為、セインを含めた50人近い観客は、門の上から見ている。
セイン、ラルラ、バル、アクス、アーチ、ディアラ、ガイル、ウーケ…2人に縁のある者はすべて観客の中にいた。
「いや〜、最近決闘とか多いね」
ギルド長で剣聖の二つ名を持つ男、ゼクスがセインに声を掛けた。
「ゼクスさんも来てたんですね」
「そりゃ〜来るさ、弓神の実戦なんて滅多に見れないからね」
ゼクスはセインと話しながらもダイアを見る。
「まぁ、弓神が圧勝だね〜僕も前にやったけど、弓神の二つ名は伊達じゃ無かったよ、間合いを詰めるのに手こずったもんね」
「如何でしょうね?」
セインはマギーニャを見ながら言う。
「あら〜?なんか意味深だね、そうそうランクファーストが負けるとギルドの威信に関わるんだけどね、弓神ってウチのギルドで唯一の現役ファーストだしね…」
「逃げ出さなかった事だけは褒めてあげるわ」
高圧的なダイア。
「あの時の私と思わないでねダイア‼︎」
マギーニャは爆炎の杖を握り直す。
「相変わらず口だけは達者ね、いくわよ」
ダイアは、背中から決闘用の矢を抜きながら言う。
決闘用とは言え、当たれば怪我もするし、当たり所によれば命も奪う。
しかしダイアは躊躇なく、マギーニャ目掛けて矢を放つ。
距離は20メートル、威嚇の意味で放った矢が、命中するとはダイアも思っていない、避けられた所にもう一本打てば、終わりだと思っていた。
しかしマギーニャは避けない、ファイアの魔法で迫り来る矢を撃ち落とす。
神獣である黒ヒョウの力を得たマギーニャには、造作もない事であった。
「今度はこっちから行くわよ‼︎」
と言うと魔力を練り、身体中から黒いオーラが立ち昇るマギーニャ。
「⁉︎…‼︎」
流石のダイアも驚く。
次の瞬間、爆炎の杖から三発同時にファイアが撃たれる。
いとも簡単に避け、反撃の矢まで放つダイア。
矢はマギーニャの右肩を掠め、ローブが破れる。
「何があったか知らないけど、少しはやるようになった様ね」
余裕のダイア。
今度はストーンパレットを3発撃つマギーニャ、すべて矢で打ち落とし、更に2本同時に矢を打ち返すダイア。
終始ダイアが押し続ける、流石は弓神である。
無傷なダイアに対し傷だらけのマギーニャ。
「やっぱり、普通にやって勝てる相手ではないわね…」
そう言うと、マギーニャは一際大きな魔力を練る。
「地の底に眠りし石の尖兵よ、神獣マギーニャの名において命ずる、現れ出でて敵を討て‼︎」
マギーニャの詠唱に応え、体長2メートルの石の兵士が地面の中から這い出て来る。
「クッ‼︎」
突然の事に反応が遅れたダイア、石の兵士が振り下ろした手を避けきれず、弾き飛ばされる。
そこに、マギーニャのファイアが撃たれる、ギリギリで避けるが、太ももを掠め火傷するダイア。
石の兵士とマギーニャの魔法が次第にダイアの体力を奪う。
しかし‼︎ 突然、石の兵士が地面の中に帰り出す……。
マギーニャの魔力が切れたのだ‼︎
ダイアは、立ち尽くすマギーニャに至近距離から弓を構えて
「わたしの勝ちね」
と勝利宣言するのだった。
全力を尽くした…
しかし、勝てなかった……。
マギーニャは呆然と立ち尽くながら、ようやく自分が負けた事を理解するのだった…。




