それぞれの実力
ウォーウルフ討伐依頼、ソルの町の外に設けられた畑を荒らす為、増えすぎたウォーウルフの数を間引いてくれと、農業ギルドより出され依頼だ。
討伐部位である牙は、様々な道具に加工され、商品価値としても高い。
ダイアは、自分が倒した5匹の牙を回収し
「1人5匹狩りましょ、バルの実力はわかってるけど、あなた達の実力を確認してあげるわ」
と腕を組み、高慢な態度で言う。
マギーニャとラルラは、苛立ちながらも了解した…。
先ずは、先輩という事もあり、バルが狩る。
バルは、草原を走り回るウォーウルフを、撃てないが何故か?セインの得意技であるライトニングを巧みに放ち追い詰める。
盾で押さえつけ、大きなメイスで叩き潰したりしながら、時間はかなりかかりつつ5匹のウォーウルフを狩ることに成功した。
次はラルラである。
両手持ちの大剣クレイモアを背中に背負ったまま、ウォーウルフの群れに突っ込んでいく。
そして背中のクレイモアを掴み、鞘から抜く動作すら利用して1匹目の首を斬り落とし、そのまま回転して2匹目の首を横薙ぎに斬り飛ばした。
それを見た3匹が、仲間の仇とばかりにラルラに襲いかかる。
ラルラは冷静に迎え撃つ、優雅な動きで踊るように3匹の首を斬った。
ラルラも、5匹のウォーウルフの牙を回収すると、照れたようにセインのもとに走って帰ってきた。
「流石だねラルラさんっ、また見惚れたよ」
セインが労う。
「見惚れただなんて〜」
ラルラは、少し赤くなった頬に両手を添えて、デレまくりにデレる。
ダイアは、軽蔑する様にラルラを見て
「まあまあね」
と言い。
「次は貴方よ、口だけじゃない事を祈ってるわ」
と今度はマギーニャに言った。
マギーニャは、爆炎の杖を両手で握り締めながら、ウォーウルフの群れに向かう。
ランクサードのマギーニャは、バルやラルラの様な実力が無い事を自覚している…。
マギーニャは得意のファイアをウォーウルフに撃つ、しかし、ウォーウルフはあっさり避けてマギーニャ目掛けて襲いかかる。
ファイアを何発も撃ち迎撃するが、すべて避けられる。
諦めて、うずくまってしまうマギーニャ。
セインは走り、マギーニャとウォーウルフの間に割って入る。
1匹のウォーウルフをサルの剣で斬り飛ばすと、残りのウォーウルフを睨みつける。
セインの気迫に圧倒され、離れていくウォーウルフ達。
「何やってるのよ、あなた口だけね」
近ずいて来て、ダイアが言う。
ウォーウルフに襲いかられた恐怖で、セインの腕にしがみつくしか出来ないマギーニャ…。
「あなた、護衛から外れなさい、足手まといはいらない」
冷酷に言うダイア。
「まあ、まあ、怪我はないか?マギーニャ」
バルが気を使う。
ラルラも何か言いたそうに、ダイアを睨む。
「実力が無い者がいると、他の者まで危険よ、冒険者ならそのくらい分かってるでしょ」
ダイアが苛立ったように言う。
「わたし…わたし…」
涙を流しながら、マギーニャは何か言いたいが何も言えない。
セインはギュッとマギーニャの肩を抱く
「ダイアさん、私が頑張るからマギーニャさんと一緒に行かせて下さい」
セインが言うと、堰を切ったようマギーニャが泣き出す。
「あなた甘すぎよ、いつかその女に殺されるわよ」
あきれたようにセイン言うダイア。
「頼むよダイアさん、私はマギーニャさんに援護してもらわないと駄目だし、嫌なんだ」
セインは懇願するようにダイアに言う。
「そこまで言うなら、貴方がウォーウルフ10匹狩って来なさい、それを見て決めるわ」
ダイアが言う。
「わかった…」
セインは了解する。
「ちょっと行って来るね」
マギーニャにそう言うと、ウォーウルフの群れに向かって走り出すセイン。
「延‼︎」
ウォーウルフの群れに突っ込むとすぐ、遅延魔法を発動する。
ひたすらウォーウルフの首を斬り飛ばす、延々と、遅延魔法が続く限り…。
魔力切れで遅延魔法が解除された時、セインの周りには、30匹以上のウォーウルフの死体が転がっていた……。
「何あいつ……、バケモノなの…」
それを見て、唖然とするダイアだったのである。




