早すぎた別れ
セイン達は、ゴブリンの死体の処理を終え、ソルの村に凱旋する。
先ずは村長に報告して、依頼達成のサインを貰わなければならない。
「キャプテンゴブリンを倒したじゃと⁉︎」
村長は驚く。
セイン達三人は、ゴブリンの群れと、キャプテンゴブリンを倒した経緯を説明する。
村長は唖然とし、にわかには信じられない。
かなり嫌だったが、証拠にキャプテンゴブリンの首を持ち帰ったので、村長もようやく納得した。
自衛団長のマクガイアに、セインが言うゴブリンの住処の調査に行かせる。
マクガイアもかなり驚き、半信半疑で出かけていった。
「まさか、ここまでの成果を上げて帰って来るとはのう」
村長は賞賛しながら、セイン達を見る。
「ほとんど、セイン一人でやったのよ‼︎」
マギーニャは嬉しそうに、村長にタメ口で言う…。
「はいっ、セインさん凄かったです‼︎」
ラルラもマギーニャの言葉を裏ずける。
「いや〜、マギーニャさんとラルラさんがいなかったら死んでましたし…」
褒められて満更でも無いように、謙遜するセイン。
「どちらにせよ上々じゃ、感謝するぞ、依頼書をギルドに提出するば報酬が出るんじゃが、討伐しよったとなると、ちと依頼料が安過ぎるのう…」
考え込む村長。
「そうじゃ‼︎セイン殿は武器を無くしたのじゃろ?家宝の剣をやろう、マギーニャには爆炎の杖、ラルラには疾風の鎧じゃ」
村長は自分勝手に報酬を決める。
確かにセインは名剣ヤエガシを無くしていた。
キャプテンゴブリンとの死闘の後、必死になって探したのだが、とうとう見つからなかった…。
セインは泣いた、出会って2日、生涯の相棒と決めていた名剣ヤエガシ、その悲しみは計り知れない……。
さようなら名剣ヤエガシ、そしてありがとう‼︎
村長の指示でメイドのダスキンが、宝物庫から報酬の武器や防具を持ってくる。
先ずはマギーニャの爆炎の杖だ。
爆炎の杖とは、火属性の魔法の威力を上げる、マギーニャには持って来いの杖だ。
マギーニャは喜んで受け取り、感触や魔力の伝わり具合を確かめていた。
次にダスキンが持ってきたのは、疾風の鎧だ。
装備者の動きを早める、かなり高価で貴重な鎧だか、動作の感覚が変わる為、かなり慣れが必要である。
ラルラは、少しでも早く慣れたいと別室に着替えに行った。
最後は、いよいよセインの剣である。
爆炎の杖も、疾風の鎧も素晴らしい品だ。
そのうえ家宝の剣とまで言うのだから、かなりな期待が持てそうだ。
がっ、しかしである、ダスキンが持って来た片手剣は、錆びたシリーズを思い出させる安っぽさ‼︎
何で?と製作者を疑うようなグリップエンドに施されたサルの顔の彫刻‼︎
鞘に描かれた子供の落書きのようなヘビ、しかもそのヘビはピロピロっと舌を出しているのだ‼︎
横で見ているマギーニャは、感動して?笑いをこらえるのに必死だ‼︎
「どうじゃ、これこそがワシが誇る家宝、サルの剣featuringテヘペロヘビじゃ‼︎」
独創的なその名前は、知性の欠片も感じさないのである。
躊躇しつつ受け取ったセインは、とりあえずテヘペロヘビの鞘からサルの剣を抜いてみる……。
「どうじゃ、気に入ったか?」
誰がこの剣を気に入るのであろうか?村長は本気で聞いているのか?ここはどこなんだ?
セインは悩み、最後には現実逃避する。
貰わないのは失礼だよな……欲しく無い。
「アリガトウゴザイマス」
全然感情のこもって無い礼を言い、セインはサルの剣featuringテヘペロヘビを腰に差した………。
そしてマギーニャは、相変わらず笑いをこらえていた。
さらに着替えから帰ったラルラも、笑いをこらえるのに必死だった…。




