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「本当に何処か知らない土地に行きたいのか?」

威厳のある、50代くらいの男性の声である。

「…?」

辺りを見回す俺…しかし空色の空間しかない。

誰かに見られているのは間違いない様だ。

夢か現実かも定かでは無いが、早くこの不安定な状態から脱出したい!俺は威厳のある声に答えることにした。

「はい、私は人生で大きな失敗をしました、生きるのが辛いです、でも、死んでしまうと両親や兄弟を迷惑をかけるし、何故初めて聞く貴方の声に、素直な気持ちを言えるのか分かりませんが、私は逃げたいのだと思います。この世界の、私にとって都合の悪い事、すべてから逃げたい…」

すごく素直な気持ちを威厳のある声に答えた事に、俺自身驚いた。

「ふんっ…、弱い奴よ、お前の失敗など大した事では無いのだかな、その程度の事で此処に来てしまうとはな…」

威厳のある声が吐き捨てるように俺に言う。

「此処は地獄なのですか?貴方は誰なのですか?」

俺は会話出来ることに安心したのか矢継ぎ早に質問する。

「此処は人生を捨てた者が集まる、虚、と言う所だ、ワシはその虚を管理する虚神、お前の行く末を示す神だ」

相変わらず姿は見えず不安はあるが、神と言う言葉に何故か少し安心する。

「私はどうしたらよいのでしょう」

つぶやく俺。

「そんなことは知らん、お前は気持ちの中では俺、他人に対しては私、ある意味二重人格だ、そんな奴に行く末など示しようが無い、何方の自分に成りたいのだ」

威厳のある声が再び問う、

「私に成りたい、優しく、真面目に、困っている人は助けられる位に強くは成りたいけど俺は違う」

そうだ、私は優しく真面目に生きたいのに虚勢を張って俺と言っていたのだ。

その時、空色しかなかった空間に突然一人の神が現れた。何故、目の前に現れた仁王像の様な筋肉質の男を神だと判断したのかは分からない、だが彼は神なのだ、間違いない。

「ほう、全然見所の無い奴かと思ったが、なかなか、やさしき心は持つ者だ、弱き心に優しき心か…面白い、強き力を授けてみるか」

筋肉質な神は一人で納得し、満足げにうなづく。

「お前には混沌の地ザームーに転生してもらう。時間遅延の魔法を授けてやるから、混沌の地を幸福な混沌の地に変えて見せよ‼︎」

筋肉質な神は私にそう告げると、両手を広げその手の間に光を集める。

そして徐に両手を前に差し出すと光を凝縮する様に両手で押し固める。

……、延々やってる……。

筋肉質な神は大汗をかきながら、光を必死に揉んでいる…私の存在など忘れたのであろうか?

私は、放ったらかしにされたまま待たされた。

空色しか無い空間で、1時間はもう経っただろう。

話しかけ辛い…、筋肉質な神は必死だ、直径30㎝はあった、光の塊が、今ではオニギリ大でになっている。

筋肉質な神がオニギリを握っている。

「あの〜」

私は意を決して筋肉質な神に声を掛ける。

「ああ、すまんな、つい我を忘れて光オニギリを握っておった」

やはりオニギリを握っていたらしい‼︎

「さぁ、食うがよい」

筋肉質な神が私に光オニギリを差し出す…。断りたい…、筋肉質な神が握った得体の知れないオニギリ……。

でも私には拒否する勇気すら無い。

「いただきます、美味そうですね。」

心にも無いことを言って光オニギリを受け取ると、恐る恐るかぶりつく。

…味はしない、でも、口から胃袋を通る間、心地良い暖かさに包まれる。

「どうじゃ」

筋肉質な神が何故か、上目遣いに聞いてくる。

答え方に正解はあるのか?美味いですと答えるにも味が無いのは明確な事実で、でも不味くは無い。

「暖かい感じでつね」

少し言葉を詰まらせながらも素直に答える。

「そうだろう、そうだろう」

どうやら私は正解したようだ、満足げにうなづく筋肉質な神。

「これで、お前に、時間遅延の魔法が備わった。発動は、延、解除は、普、だ。あと、魔力切れでも解除される。効果範囲は半径1Kmの生ある者、では転送するぞ」

「ちょっと待って?‼︎、転送するって混沌の地ザームーですよね、お金も無いし、言葉も、土地感も無いのに生きられないです。」

転送されそうになるのをナントカ止める。

「ハハハッ生きる気があるのは良い事だ、路銀は10万コイン、単価は日本円と同じ位、気候は温暖、ソルと言う町外れの森に転送する、お前の名はセイン、歳は24、あとは自分でなんとかしろ」

筋肉質な神はそう言うと人差し指を私に向けて

「行け〜ぃ」

と叫ぶ。

その途端、私の身体は急速に落ちる感覚に包まれる。

「え〜‼︎」

私は意識を失ってしまった……

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