憤りのまま
「ニンゲンゴトキガ」
キャプテンゴブリンは吐き捨てるように言う。
セインは悩む、会話するか?問答無用で仕掛けるか?
「冒険者を襲っているそうじゃないか、冒険者に恨みでもあるのか?」
セインは話しかける事にした。
「ウラミ?オカシナコトヲイウ、マモノガニンゲンヲ、ニンゲンガマモノヲオソウ、キマリキッタコトダ‼︎」
キャプテンゴブリンは苛立ち、怒鳴る。
セインには理解出来ない、ゴブリンは人を食わないし、人族、ソル族、セル族共にゴブリンは食わない、殺し合う意味が無いのだ。
お互い殺し合う事が決まっている?誰が決めた?
セインはやり場のない怒りを感じる。
「コトバハムイミ、チカラデカタッテミヨ、ニンゲン‼︎」
そう叫ぶとキャプテンゴブリンは、ゴブリン達に突撃の合図をする。
様々な錆びたシリーズの武器を持つゴブリンが、セイン達に襲いかかる。
「ヤルシカナイノカ?」
キャプテンゴブリンにつられてカタコトになりながら、吐き捨てるように言うセイン。
既にラルラは戦闘状態に入り、2匹のゴブリンを切り捨て、マギーニャを守る様に立ち回っている。
マギーニャもストーンパレットの魔法で、ラルラを援護射撃している。
しかし多勢に無勢、長くは保たないだろう。
殺さなきゃいけないんなら、せめて楽に逝かせてやるよ………覚悟を決めるセイン。
「延‼︎」
遅延魔法を発動、剣を振り回し、的確にゴブリンの首だけを狙って斬り飛ばして行く、いや、切れてない……的確にゴブリンの首の骨を叩き折って行く……。
5匹、10匹、15匹……延々、首の骨を叩き折り続ける。
「お前ら弱過ぎるんだよ…何でそんなんで人様を襲うんだよ……いつかはこうやって怖い人間に皆殺しにされるだろ?何の為に死んで逝ってるんだよ……何で私に殺させるんだよ……」
セインはゴブリン、1匹、1匹に話しかけながら殺し続ける……。
キャプテンゴブリン以外は全て一撃で殺した……。
「普」
キャプテンゴブリンだけを残し、遅延魔法を解除する。
「凄い、全部一撃で倒してる…」
「流石に、これほど強いとは思わなかった」
マギーニャとラルラは、思わずつぶやく。
セインは剣を正眼に構え直し、息を整える。
流石にセインでも長時間の遅延魔法と、無駄に重たい練習用の剣を振り回し続けた為、魔力も体力も枯渇寸前である。
「あとはお前だけだよキャプテンゴブリン‼︎」
「ホウ、ツヨスギル、ワシモココマデノヨウダ、コロスガヨイ」
観念するキャプテンゴブリン。
「フザケルナ‼︎誰のせいでゴブリンは死んだ?ああ、私が殺したよ……でもな、お前がいなけりゃ、ゴブリン達だけなら、こんな結末じゃなかったんじゃないか?私も悪いがお前も悪いんだよ‼︎楽には死なせない、一対一で勝負しろ‼︎」
またも、つられてカタコトになりながらも、セインは勝負を申し込む。
この勝負に意味なんか無いのは分かっている。
だか、命のやり取りをした一番の当事者同士が、命をかけて戦わなければ、死んでいったゴブリンや冒険者、猟師達に顔向け出来ない、セインはそう思っていた。
キャプテンゴブリンも応じて、錆びていない片手剣を構え、セインと対峙する。
「二人とも手を出さないで」
セインはマギーニャとラルラに言う。
遅延魔法は使わない、真剣勝負だ‼︎
気合いを入れるセインの右手に握られているのは、そう‼︎ 練習用の剣、名剣ヤエガシである‼︎




