二つ名の洗礼
朝食を保存食で済ませたセイン達は、ゴブリンの痕跡調査を開始する。
ゴブリンの死体を集めて燃やし、錆びたシリーズの武器はめんどうだが地面に埋めた。
林の中で幾つかの足跡を発見、一番多く集まった足跡をたどる事にした。
「どうするの?拠点を見つけたら襲撃する?」
マギーニャがセインに確認する。
「村長の依頼は、キャプテンゴブリンの住処を見つける事だし、見つからなくても探索だけで依頼達成のサインはくれるって約束だよ、場所が分かればマクガイアさんが討伐隊を
結成するそうだし、今回は拠点を発見したら帰るよ」
セインは答える。
「足跡の数からしても、かなりの大所帯ですね、確かに3人だけでは……」
ラルラも冷静に判断し、セインに同意する。
「そうよね普通は、アクスは脳筋だから100匹以上の群れに突っ込んでいって、見事に返り討ちにあったけど」
マギーニャは苦笑しながら言う。
そうだ、あの時はヤバかった、猛然と群れに突っ込むアクスを他のメンバー、マギーニャ、アーチ、ディアラの3人は呆然と見つめ、暫くして、大勢のゴブリンから逃げてくるアクスに、
「こっちに来んな〜‼︎」
と怒鳴りながら、命からがらゴブリンの群れから逃げきったのだ。
まぁ、懲りないアクスはその帰りにセインに喧嘩を売って、再び返り討ちにされたのだが……。
「見て‼︎あそこ」
突然ラルラが前方を指差し、卑猥な事を言う。
指差す先に目を凝らすと、岩肌に不自然に立て掛けられた木々があり、その前には錆びたシリーズの武器を持つゴブリンが2匹、門番のように立っている。
一瞬勘違いしたセインは、ラルラの股間を見てしまったのだが……。
「あれが住処みたいね、どうする?」
マギーニャは赤面しているセインに判断を仰ぐ。
「討伐隊に無駄足は踏ませたくないし、もう少し近づいて様子を見よう」
セインの答えに
「了解です」
と言ってラルラは先頭に立って前に進む。
ゴブリンから7、8メートルの距離にある太めの木の陰から様子を伺うラルラ。
何気に木に手をつくと、ボキッ‼︎ボキボキボキボキー‼︎と大きな音を立てその木が倒れる。
ありえない⁉︎、流石は幸滅のラルラ、二つ名は伊達ではない‼︎
音のした方を見る2匹のゴブリン、あまりの事態に直立不動のセイン達。
2匹のゴブリンはキィー‼︎キィー‼︎と、お互いに奇声を上げながら、立て掛けてあった木々の隙間から、岩肌の中に入って行く。
「ごめんなさーい‼︎」
セインとマギーニャに謝るラルラ。
「仕方ないよ、木、腐ってたんじゃないかな?」
青々と生い茂る倒れた木を見ながら言うセイン。
「……起こってしまった事はしょうがないわ、どうするのセイン?」
男前な事を言うマギーニャ。
「ゴブリン達も住処がばれたから、他の場所に住処移すでしょ、マクガイアさんに報告する意味が無くなった以上、1匹でも多く討伐してヤバくなったら逃げよう」
セインはそう言うと、剣を構え岩肌を睨みつける。
ラルラもそれに習いクレイモアを構え、マギーニャは魔力を練り始める。
バタバタバターン‼︎
その音と共に岩肌の木々が倒れ、30匹以上のゴブリンが怒涛の如く出て来て、セイン達と対峙する。
その後から一際大きなゴブリンが、ゆっくりと岩肌から出て来る。
キャプテンゴブリン…ニャっと、片方の口角を上げながらセインを見据える。
二度目の対面である。
やはりお前か、とでも言うようにセインを見据え続けるキャプテンゴブリン。
「ニンゲンゴトキガ‼︎」
????キャプテンゴブリンが喋った……。




