今日までの私
赤斧、剣聖、紅蓮、雷震、風王……この大地には様々な二つ名で、呼ばれる者たちがいる。
どの呼び名も、呼ばれる者に対して敬意、または恐怖を示しての呼称である。
転生2日目にして、私にも二つ名が付けられようとしている。
寝間着のセイン、そう、私の寝間着姿を見た者は、皆んな死んで行くのさ……。
イヤーッ‼︎、こんな二つ名は嫌です。
だってですよ、二つ名を持つ者って、ライバルや、二つ名持ちを倒してオレも名を上げてやる!なんていう敵が沢山いるわけです。
で、そんな敵に出くわすと
「お前は赤斧のアクス‼︎俺と勝負しろっ」
ってなるでしょ、それが私の場合
「お前は寝間着のセイン‼︎俺と勝負しろっ」
ってなるわけです………。
どこで勝負するんですかねぇ〜、寝間着の男に勝って名を上げる、なんて滑稽じゃない?
ましてや、寝間着の男がライバルなんて悲しすぎますよね。
一刻も早く、この二つ名を返上しなくては……。
マギーニャさんの家で、ファイア乱れ打ちをマスターしたセインは、村長宅に帰る途中、巷で話題の寝間着のセイン、という不名誉な二つ名を耳にしてしまい、新しい服を買う為に店をまわっていた。
先ず下着と靴下を購入し、あとは冒険者らしく鎧だと、防具屋に来ていた。
「ア、アンタは、ひょっとして寝間着のセインさんじゃないですか?」
防具屋のオヤジが声をかけてくる。
「確かに私がセインですけど……まぁいいや、私に合う様な鎧は有りますか?」
「申し訳無い、ウチは寝間着はちょっと置いてないんだ。」
「寝間着じゃ無くて鎧が欲しいんです‼︎」
「エッーなんだってー‼︎寝間着のセインさんが鎧着たら、寝間着のセインさんじゃなくなるじゃないか‼︎」
理不尽に怒鳴る防具屋のオヤジ。
「なんで怒ってるんですか?オヤジさんは、寝間着のセインって言いたいだけでしょ‼︎」
怒鳴り返すセイン。
「分かった、そこまて言うなら、もう止めないよ、鎧を売ってやろう、だかな寝間着のセイン、鎧を着ちまった途端に、寝間着のセインは、寝間着のセインじゃ無くなっちまうんだ、その覚悟がお前さんにあるのか‼︎」
「何回、寝間着のセインって言うんですか‼︎鎧よこせよハゲオヤジ‼︎」
武器屋と同じく、防具屋のオヤジもダンディーなハゲオヤジであった。
なんとか、鎧を買う事が出来たセインは、その場で新しい鎧に着替えさせてもらい、ご機嫌で村長宅に向かって帰って行った。
途中でガイルを見かけたので、新しい鎧を自慢しようと声をかけるセイン
「こんにちは、ガイルさん」
「えっ?誰だったっけ???」
寝間着でないとセインだとわからない、残念なガイルであった。




