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夢を見たその後で 1話 「日常」 その4

「おはようございまーす☆」

今日も朝一番から井上さんが元気いっぱいに出勤してきたみたいだ。

「井上さんおはよう!今日も一日元気に頑張っていこな!」

「はいっ!!今日も一日よろしくお願いします♪」

「そういえば、今日から新しい子が来るんじゃなかったですか?」

「今日から高校生の女の子が来るからレジ周りや接客全般をしっかり教えてあげてな!」



「高校生かぁー。高校の頃が懐かしいなぁ」

「いいなぁ、若いなぁー」

「..........」

「俺から見たら井上さんでも十分に若いって」

「俺も30歳目前やもんなぁ....」

「”三十路”っていやな響きやなぁ」

はぁー.......。

いつまでも落ち込んでられんので、気持ちを切り替えて仕事に集中しよう.....。



「今日からアルバイトでお世話になる小野寺です。何かとご迷惑をかけるかもしれませんが、よろしくお願いします」

若いのになかなかにしっかりとした挨拶が出来る子だなぁ。感心感心!

経験上こういう子はしっかり働いてくれるので期待できそうだ。


「はじめましてー♪よろしくね」

いつの間にか小野寺さんの横に井上さんが来ていたみたいだ。

色白で目鼻立ちのはっきりした少しハーフっぽく大人っぽい印象の小野寺さんと丸顔で幼く見える井上さん。


「二人並べたらどちらがお姉さんかわからんなぁ」ってのが率直な意見なんだが口に出したらもめそうなので黙っていよう。


「へー、小野寺さんって下の名前は”涼風”なんだぁ。スズカちゃん...今日からスズちゃんだね♪

スズちゃんは高校何年生なの?」

「はい、今年2年になった所です。よろしくお願いします!!」


小野寺さんは少し萎縮してるみたいだが、井上さんや他の子とも仲良くやってくれそうだ。

「店長、16歳ですよ!!」

「若くてかわいい子が来たからって手を出したらダメですよ~」

「スズちゃん、こんな男に騙されるな?」

みんな、口々にそう言って帰っていった。

俺のイメージっていったいなんなんだろう。

それにしてもみんな好き勝手言ってくれる......。

そんな遊びまわってるように見えるのだろうか?

うーん........。



考えても仕方ないし、俺もそろそろ帰りましょうかね。





日曜日


「クロワッサン焼けたから表に出して!!」

「メイプルパン試食販売お願いします!!」

「バケットのやけ上がり??(フランスパンの事)後、5分待って!!」



日曜日はいつも忙しい。

周りに大きな街がないからどうしてもこの街に集まってくるのだ。

今日は休憩に行く暇なんかないなぁ。

まぁ、いつもの事なんで慣れたけど。

いつもは頼りなさげに見える井上さんもしっかりとみんなに指示を出してくれている。

実際彼女がいるのといないのでは全然仕事場の雰囲気が変わる。


ああ見えてバイト連中の間では結構、尊敬されていたりするからなぁ。

みんながああなら俺も、ものすごい楽なんだがそんな訳にはいかんか......。

新人の小野寺さんも忙しさに目を回しながらも、井上さんに付いて店頭で一緒に試食販売をしてくれているようだ。

店長の俺が言うと誤解を生むかもしれないが井上、小野寺は見た目のレベルも高いので店の顔として集客効果を期待しているし、実際お客さんも寄ってきているみたいだ。


まぁ、顔だけではお客さんは集まってはこない。

おにいちゃんやオッサン連中はかわいい子がいたらすぐに飛びつくけど.....。

男って単純やね。

基本的にベーカリー喫茶は女のお客さんが多いのでそういうお客さんを呼び込むには細かい所まで機転が利くこと、それと人当りの良さが要求される。

そういう意味では新人教育は井上さんに任せておけば大丈夫だろう。


「ちょっと一服してくるなー」

さすがに10時間ぶっ続けでパンを焼き続けるのはキツイ!!

オーブンに食パンを放り込んで.....っと。

一服ターイム!!


仕事を抜け出して、休憩コーナー”てるてる”に来た。

いつものコーヒーを頼んで席に座ろうとしたその時の事である...。


俺は.......。


 

ひどく..........。

 

 

懐かしい光景に出会った........。

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