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夢を見たその後で 最終話 「夢を見たその後で....」その3



「それじゃ.....また」

「店長も元気でね!!」

「やっぱり.........さみしいです」

「きっと遊びに来てね!!」

 

みんな思い思いの事を言い駅のホームで別れていった。



後は、小野寺さんと井上さんだけだ。

今、思えばこの2人には本当にお世話になったなと思う。

店長とアルバイトという関係以上のなんというか......


”絆”みたいな何かを感じる。




「井上さんと小野寺さんにはホンマにお世話になったな!!ありがとう。

特に井上さんは俺が来た時からずっと世話になりっぱなしやったもんな。ホンマ迷惑かけっぱなしやったな」


「そんな事ないですよ......」


「井上さんじゃないですけど私も店長が明日からいないって思ったら寂しいですよ」


「ホンマありがとう!!2人には心から感謝してるで」


「...................」


「...................」


「...................」


3人とも黙り込んでしまった。

後に続く言葉が浮かんでこない。






その静寂を破るかのように井上さんが口を開く。


「店長......いえ、祐希さん。今から1分だけ私に時間をくれませんか?」


「えっ.......!?」




小野寺さんは....井上さんが何が言いたいのか分かったらしく後ろを向いて歩き出してしまった。


「小野寺さん!?」

小野寺さんは少し離れた所からこっちを向いて



「こういう時は何も言わず目をつぶるのが礼儀ですよー」

って言って舌を出した。




あぁ......そういう事か。鈍感な俺にも井上さんのする事がなんとなく読めてきた。


「わかった......」

俺は黙って目を閉じた.......



「.......................」



気が付いたら目の前にぬくもりを感じる。

そして、ぎこちなく抱きしめられる.......。




そして、彼女の唇が俺の唇に重なった.......。




「......................」




これで.........店長の事を忘れてあげます。

私は新しい恋を見つけます。だから、店長も新しい道を見つけて、そして幸せになってください。



彼女の唇は柔らかく......暖かかった。

離れ際に彼女が言った言葉を俺は忘れない。

ありがとう.....井上さん。



小野寺さんは少し恥ずかしそうな顔をして


「私は何も見てないですよー」

と、はにかんだ。





そろそろお別れの時間が来たみたいだ。

俺は、俺の道を......みんなは皆、それぞれの道を歩いていく。


寂しい気持ちもあるが出会いがあれば、必ず別れがあるもの。

いろんな想いを胸に俺は、自分の道を歩き出す。


みんな、ありがとう......。



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