夢を見たその後で 6話 「はるかへ......」 その2
zizizizizi.......
ガチャ!!
朝が来た.......。
うーん。昨日の疲れがまだ残っているなぁ...。
「祐希......おはよう」
「ああ......おはよう.....Zzzz」
「まだ眠たい?」
「もう少し眠たいなぁ.....」
「遠渡はるばるやってきた私を差し置いて寝るなんて、仕方ないなぁ~。朝ごはん作ってるからもう少し寝てて」
「......もうちょいしたら俺が作るから、はるかも もう少し寝ときな」
「もう眠たくないって~。ホンマ仕方ないなぁ」
「................」
「................」
「さて、そろそろ起きますよぉ」
ガバッ!!!
布団をはがされた.......。
今日は休みなので昨日の晩から はるかが遊びに来てる。
昨日は久々に頑張ったので(!?)少しけだるい朝を迎えたのだが、彼女に起こしてもらうこんな朝もいいものだと思う。
「.........おはよう」
「やっと起きたなぁ!!せっかく頑張って来たんやからどこか案内してよな?」
「はいはい。それじゃどこに向かいましょうかねぇ」
いつまでも寝ているわけにもいかないし取りあえずは服を着て朝食の準備に取り掛かった。
「いただきます☆」
サラダとベーコンエッグそしてトーストとコーヒー
というごく簡単な朝ごはんなのだが
「キュウリが嫌い」とか「コーヒーが飲めない」
とか小学生みたいなワガママを言う はるかさんの為にわざわざ俺の分とは別にキュウリを抜いてコーヒーの代わりに紅茶を入れてあげる.....。
手のかかる女だが、5年も一緒にいたら慣れてしまうものだ。
俺に似て人前では気を使ってしまう性格な分、二人でいる時はわざと甘えているのかもしれないな。
「ごちそうさまでした! さて、後片付けははるかに任せるで!!」
「はーい」
後片付けも出来ない事はないのだが、そこはあえて任せる事にしている。
何から何までやってしまったら、女としてのはるかの居場所がなくなってしまう。
やはり、ある程度は分担しないと男と女でいる意味がないと俺は思っている。
「片付けも済んだからそろそろ出ような?」
「分かった。ほな、出かけますか!」
いつもは車に乗って行動するのだが、近所のコンビニで見かけた雑誌に「近場で楽しむ旅気分☆」という特集に載っていたトロッコ列車に目を引かれて今日はトロッコ列車に乗ろうって決まった。
トロッコ列車に乗る事が目的なので行き先は特に決めてない。
良さげな所があれば降りてみようかな?って感じの気楽旅だ。
「風が気持ちいい!!」
「音がうるさいけど、これがこの列車の味やなぁ」
「所で祐希、どこで降りるん?」
「うーん、そうやなぁ......特には決めてなかったんやけど、ちょっと気になっとる所があるからソコ行ってみよ」
「どんな所なん?」
「”深海の森”って場所やねんけど、行った事はないからどんな場所かはわからへんで。でも、”深海の森”って何か神秘的っぽくないか?」
「そうかな......まぁ、祐希が気になるんやったら行ってみよか」
「後、2駅やからそろそろ降りる準備しとけよ?」
山添を走るトロッコ列車を降りて、観光名所によくある案内板を見ながら15分ほど歩くとそこには予想以上に神秘的な光景があった。
「....................」
「すっごーい!!!」
「ホンマに深海にいるみたいやなぁ!!」
神様とか精霊だとかはあまり信じないのだが、この圧倒的な自然を目の前にしたらどんなものでも信じてしまいそうだ。
人間なんて本当に小さなものだなぁ......そう思ってしまう。
小さな人間の.....俺の抱えてる悩みなんてこの自然の中では本当に小さなものなのかもしれない。
美香が亡くなった事
そして、はるかとの将来の事
大自然の中では小さな悩みかもしれないが俺にとってはそれが全てだ。
はるかには全てを話そう。
いや、話さなければいけない。
はるかには全てを知る権利がある。
俺の隣でいる はるかはどういう想いでこの景色を見ているのだろう。
俺と同じ景色を眺めてるのだろうか?
第6話 その3へ続く.....




