夢を見たその後で 5話 「伝えたいこと、ひとつ」 その5
俺の幸せ........。
美香も望んでいる.........。
美香はもういない........。誰が、いくら望んでも もう戻ってはこない。
これは、紛れもない現実。
それなら、俺のする事はなんだ?
俺に何が出来るのだろうか?
どんなに嘆いても戻ってこないのなら俺は、彼女の分まで強く生きるしかない。
彼女の生き方.....彼女の教えてくれた事を胸に刻み込み....それでもなお前に進んでいこう。
いつまでも、ここに留まってる訳にはいかない。
過去に縛られ前に進めないでいる姿なんて美香は決して望んではいないだろう。
そして、はるかも......
つまづく事もあるだろう。
戸惑う事もあるだろう。
それでも俺は、前に進んでいく!!
「.....................」
本当にそんな事が出来るのか!?
そんなの綺麗事じゃないか!?
「人間ってそんなに綺麗には出来ていない!!」
何とも表現の出来ないこの感情をどこにぶつけていいかわからず、壁を殴った。
”ガン”という音とともに拳に鈍い痛みが走る。
クソッたれが....こんな時でも痛みは感じるんじゃねぇかよ。
血の付いた右拳をじっと見つめた。
そんなに綺麗に生きていける訳がない!!
そんなのは理想論じゃないか!?
悲しみを乗り越えて、生きる糧に出来たらどんなに素晴らしいだろう........。
気持ちを切り替えて、前に進めるのならどんなに楽なんだろう。
とてもそんな気にはなれそうにない......。
ただ、1つだけハッキリしてる事がある
どうあがいても、2度と美香には会えないという事.......。それだけは揺るがない現実。
あなたのように強く生きていける自信は今の俺には持てそうにありません。
でも、いつかはあなたの様に俺もなりたい....。
だから......今は........。
さよなら.......美香。




