夢を見たその後で 2話 「手紙」 その5
Dear 祐ちゃんへ
祐ちゃんはこの手紙を見たらどんな風に思うのでしょうね?
突然こんな手紙を渡してびっくりしてるかな?
でも、祐ちゃんには本当に感謝しています。
ありがとうという言葉しかあなたに返せるものがない私を許してください。
「大事に想ってくれてありがとう」
「好きになる気持ちを教えてくれてありがとう」
「楽しかった時間をありがとう」
「嫌な気分を忘れさせてくれてありがとう」
「いろんな事を教えてくれてありがとう」
そして.........。
「出会えた事にありがとう......」
できるなら、こんな決断しかできなかった私を許して下さい。
10年後、この事を振り返ったとき
この決断があなたにとってプラスになってると思える日が来ると私は信じています。
だから
その時まで.......
あなたにとって最良の決断でありますように..。
田村 美香
彼女の真意は10年経っても解らないままだ。
なぜ突然 彼女はあんな結末を望んだのだろう?
いっその事はっきり嫌いだと言ってくれたらどんなにすっきりするだろう......。
別れを決めた女の最後の優しさなのか?
それともハッキリと言いにくいだけなのか?
真相は今も解らないままだ。
一つ解らないことがある。
なぜ、”あなたにとって”なんだろうか?
”あなたにとって”最良の決断ってなんだ?
”私たちにとって”ならわかる。
なぜ、自分の事よりよりも俺の事を気にするのだろうか?
別れる時ぐらい自分のわがままを言ってよさそうなもんだろう。
最後まで俺の事を考えていた訳はなんだろうか?
もちろん今1番に想っているのは、はるかだ。
最良かどうかは解らないが俺なりに楽しくやってきたつもりだし、いつまでも、昔の事にしがみついてるつもりはない。そんな事は誰も望んでいないだろう。
もしも、美香とまた会う事があるとしても俺の気持ちは揺らがない。
あの別れは俺自身いろんな事を学んで、自分を見つめ直すきっかけとなった。
今となっては美香には感謝にも似た感情はある。はるかが言うように俺の心の中には美香が存在してるのも否定できない。
確かに今の俺にとってかなりの影響を与えたのも事実だ。ただ、それは自分自身にとってプラスにこそなっても、マイナスにはなっていないと信じてる。
間違っても未練とかそういう感情は持っていない。しかし、はるかからすればどういう感情であれ昔の女のことをいつまでも忘れられていないというのは気分のいいもんじゃあないだろう
俺が逆の立場ならやはり嫌な気分になるだろう。
はるかとのこれからの事を考えたなら、もっと はるかの事を考えないといけない。




