紅の月3
ノエルはとても賢く、意志の強い女の子です。
それこそ、自分の思いも封じ込めて責務をこなす・・・そんな子なんです・・・。
本文ノエルside
「スティさん。」
「はい?何でしょうノエルさん」
「王家の争いが明日の弟王が処刑されることで終わるのを知っていますよね?」
スティさんは私のお父様の近衛騎士。お父様が私を守るように言ってくださり、彼はここにいる。
本当はお父様の側にいたいはずなのに、私のせいでここにいる方
本当に申し訳ない気持ちで一杯だ
「はい。もちろんです、明日、主である我が王の元へ帰れるのですから」
「この、17年間…ありがとうございます…」
「こんなことを、ノエルさんに言うのはよくないかも知れないですけど、この17年息子と暮らすことが出来ました。そして、ノエルさんあなたは娘ができたようで以前の剣を振ってばかりの自分と全く違う暮らしが体験出来てとても嬉しかったです」
私を育ててくれた人がこの人でよかった
「スティさんは・・・お父様の元へ帰るのですよね?アオイはどうするのですか?」
「・・・。アオイはここに置いていきます。俺は・・・息子より、主を選びます。剣に誓ったそのときからこの身を王に捧げようと決めておりますので。・・・・大丈夫です。アオイは意外にもしっかりしている」
「そう・・・ですか・・・」
そんなとき、私の大好きな声が聞こえた
「ノエル-!!もう行くからもう少しだけ待っててな!!」
その声を聞いただけで胸が熱くなりほかほかしてくる。
大好きな幸せな時間はもう終わる時が近い。それを知っていてもなお・・・
「ノエル、お待たせ」
「ほら、アオイ髪が濡れたままだよ?きちんと拭かないと」
「ダイジョーブだって。それよりも・・・行こう?」
「うん。そうだね」
そうして俺とノエルは城下町が見渡せる塔に登った
「アオイ・・・明日、反乱を起こした弟王の処刑があるの知ってる?」
「あぁ、もちろん知ってるけど?ようやくこれで平和になるな」
「・・・うん。」
一言だけ答えたノエルの表情は悲しそうだった
「・・・ノエル?俺、なんかノエルにやったか?」
「違う・・・ちがうよ・・・」
ぽろぽろと綺麗な髪とおそろいの瞳から涙が流れた
「私っ・・・・アオイに言わないといけないことがあるの」
「・・・大丈夫。俺聞くから。だから・・・泣かないで」
それでもなお、ぽろぽろと涙を流すノエル
「私の・・・本当の名前覚えてる?」
「ノエフィリア・・・だろ?忘れるはずがない。」
「そう、私の名前はノエフィリア。ノエフィリア・ルビー。この国の王の娘」
むすめ・・・?むすめ・・・娘?
「え・・・。」
「私は明日、城に帰らないといけないの・・・・私は・・・・城下町の人たちが知っているノエルじゃなくなる。ただのノエルでいられなくなるの
そして・・・・アオイ。あなたと離れないといけないの。私はノエフィリアに戻る・・・」
昔の夢。懐かしい夢で終わってほしかった。
「・・・アオイ・・・1つ聞いても良い?」
「・・・。うん」
「私は、昔から今までアオイの事が大好き。・・・アオイ・・・あなたは・・・?」
俺は・・・
「俺は・・・ノエルの事が好きだ。ノエルは・・・なんで俺が剣を取るようになったか知ってる?ノエルを守りたくて・・・俺は強くなりたかったんだ」
「アオイ・・・。」
「俺は・・・ノエルを明日連れて行かせない。何があっても・・・。」
俺とノエルはそのまま無言で時を過ごした。
2人で居られる時間がもう迫ってることも知ってた。
ノエルは一緒に居られない事を知っていて、アオイは居られない事をしっていてもなお彼女と一緒に居たくて後書き一緒にいたいけど、現状をしっかり把握しているノエルに取ったらある意味ここでアオイとはサヨナラなんだと思います・・・。それはまるで抗う事ができない波のように・・・。
でも、アオイはその抗えない波を小さな船で越えていくような男になってもらいたいです・・・。