皆の要望
ジャノメとジャノメが率いて来た職人達に混じって縁も温泉改修計画の会議に参加している。
今現在狐音達が詳細はわからないが何やら儀式をしている最中なので、幽荘の前で青空会議ではあるが。
「とりあえず優先は脱衣所として他に意見は無かったのか?皆ああ見えて女性なんだから悩みもあるだろ?」
ジャノメが皆の要望が無かったのか聞いてくる。
要望…
狐音、酒飲みスペース
ユウメ、牛乳とアイスの貯蔵庫
ネコメ、プール
ヘビメ、アートデザイン出来るスペース
スズメ……?
皆それぞれ何かしら言ってはいたがスズメだけ要望を聞けていない、シャワーが欲しいと言っていたような気もするが儀式終わりに聞いてみよう。
今現在で分かる範囲を伝えジャノメは腕を組んだ。
「温泉あんま関係ないもんばっかな気もするが…まあいい、にいちゃんは脱衣所のデザイン案ヘビメに出したんだろ?あれで良いのか?」
ヘビメに手伝いしてもらい脱衣所デザインの案は渡していた。
「はい、調理場みたいな落ち着けて安定感ある丸太小屋?コテージ?って言うようなのが良いなと」
「アレに一つ提案なんだがな——」
「——え?そんな事出来るんですか?」
「任しときな、ついでに作ってやらぁ」
ジャノメからの提案は嬉しい物であった、工事の最終に手を入れてくれるらしい。
あらかた話し合いも済んで皆でまったり語り合っていると、温泉側から人影が見えてきた。どうやら狐音達の儀式が終わった様である。
「ふー終わったぞジャノメ、後は任せるぞ」
「よーし野郎ども現場調査すっぞ!」
オオー!と野太い声が発せられる、女性陣に囲まれ生活する縁には何げに新鮮だった。
ゾロゾロと入れ替わるように職人達は温泉に向かい、目の前には神聖なオーラを感じられる儀装に身を包んだ女性陣達になる。
「お疲れ様でした皆さん…で、あの…その格好は?」
労いつつも気になっていた事を聞いてみる。
「ふふ、これはこの地の礼装じゃ。今回は工事に際して事故や怪我が無い祈願、土地神様への連絡と許可を貰う儀式をしたんじゃよ」
狐音は袖をパタパタ振りながら説明をしてくれた。
「へ〜皆さんでやるもんなんですね」
「ん〜まあこの地に縁がある女の役目じゃて」
一番若いはずのネコメを見て縁は話しかけた。
「ネコメちゃんも凄いね」
「昔からやってるから慣れたよ」
照れたのかユウメの身体に身を隠しながら言っている。
「皆でこの格好自体久しぶりでしたわ〜何もイベントやハプニング無いのが幽荘の良いところですから」
のんびりとユウメはそう言うが、割とハプニングを受けているのは自分だけなんだろうかと考えた縁だった。幸い命に関わる事は無いので納得しておいた。
「アタシ、パパの調査見てくるわ」
ヘビメは着替えもせず温泉側へと行ってしまった。
「ヘビメさんはデザイン担当ですから気合い入ってますね〜今晩は体力付く焼肉にしましょうか〜」
スズメがニコニコと今晩のご飯を考えている、そう言えばスズメに温泉改修に組み込む要望が無いか聞かなくては。
「あのスズメさん、改修に当たって何か取り入れたい要望とかありますか?実現出来るかは分かりませんが」
「要望ですか〜そうですね〜あ、温泉の区間一人分欲しいです〜」
区間を一人分?どういうことだ?
「私、山で薬草も採ってますので薬湯に出来る部分があると嬉しいなぁ〜って」
さすがスズメさんだ、一番温泉っぽいまともな案が出てきた。
「了解です!ちょっと急いでジャノメさんに言ってきますね!」
縁は走り出し温泉側に向かった。
「なんじゃあいつ儂の案には食い付きもせんかったくせに」
「あら?皆さんは何を要望したんですか?」
「儂はの——」
女性陣は温泉についての要望、縁はジャノメを巻き込んで温泉改修を進める。
なんだかんだで皆楽しみにしている空気感が縁は嬉しかった。
そしてその日の晩御飯は皆でスズメが捌いた様々なお肉で焼肉をし、改修後にどんな温泉になるのかで皆と語り合った。




