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今日の暗殺のターゲットに初恋を奪われてしまって殺したくても殺せない

作者: ふたくま
掲載日:2025/11/22

殺す。処理する。殺す。処理する。

毎日その繰り返し。

そんな私が変わった日。

2030年、AI(人工知能)がほとんどの職を奪っていった。

そんな中、日本は不況に陥り、ものすごく金持ちの人間と、家すらも持っていない人間のこの二つにくっきり分かれた。

そして一つの職業が裏社会で流行った。

殺し屋。

恨む、恨まれるが最も多い現在、依頼の電話は絶えることなかった。



19:32 電話が鳴る。今どきめずらしいダイヤル式電話だ

一人の女性が電話を手に取る

「もしもし」

「私だ。冥蓮(めいれん)

彼はオーナー、本名を知るものはこの世に存在しない。殺し屋グループの主犯格?的な感じの謎が多い人物

「あ!オーナー!はい!今日はどうしましたか?」

彼女は冥蓮。本名は桜 花子。幼い時に父親の残した借金を返すために殺し屋をやっている。

といっても、もう既にその借金は返し終わっていて、自分が幼い時に面倒を見てくれたお礼として、今も働いている。

「渋谷ヒルズ203号室にて167cm24歳。大手IT企業の社長、今田大輔を殺してほしいとのことだ」

「はい。了解しました」

花子は着替えて、あらかじめ手配してた車に乗り、渋谷にむかった。

「オーナー、なんであんなメスガキを雇っているんですか?みるからに非力そうですし」

オーナーのSPが窓から外の車を見て言った。

「彼女は…絶対に裏切らない。なぜだと思う?」

「裏切ったら殺すとか?」

「いいや、違う。彼女は、感情がないんだ。」

「と、いいますと」

「視覚障害者が、生まれた時から目が見えないように、彼女は生まれた時から、感情がないんだ。人を殺すことになんにも思ってない。」

「でも、あのような体では返り討ちに遭い、殺されてしまうかもしれません」

「死ぬならそれで結構。なんならそっちの方がありがたいね」

「なぜですか?」

「なぜなら彼女は、この会社を潰せる力を持っている。」


渋谷ヒルズにて

「着きました冥蓮様。ご無事を祈ります」

「じゃあ終わったら連絡するから」

階段をあがる。少し長い針のようなものをもって203号室の目の前に立つ。インターホンを鳴らす

「はーい、今行きます」今田大輔がドアを開ける。ただし誰もいなかった。

彼は部屋に戻り引き続きPCで書類の管理をしていた。

そしてリュックの中からクッキーを取り出し食べる。

バタン

今田が倒れた。ヒルズの前に救急車が集まる。

「え!?また社長がやられたのか?」様子を見に来たルンペンたちが騒ぐ。その横を花子は通っていく。

行きと同じ車に乗った。

「冥蓮様。今日はどのような方法で?」

「今日は汚れたくない服だったから。毒殺した。」

「おほほ。詳しく聞いてもよろしいでしょうか」

「インターホン鳴らして、そっちに気をいかせているうちに、202号室から、窓つかって入って、」

「コーヒーなどに毒を入れたのですか?」

「だったら楽だったんだけど、ぱっと見全然見つからなくて、手に塗ることにした」

「あら?手に塗ったらバレちゃうんじゃない?」

「だから、パソコンのキーボードに塗った。でも全部に塗る量がなかったから、絞った」

「なるほどAキーとかでしょうか?」

「いや、それだと小指にしか毒がつかない。あなたは小指でお菓子をたべるの?」

「いいえ」

「でしょ。彼はおそらく左利き。マウスが左側にあったもの。だからまず、マウスの右ボタン。」

「なるほど、それで彼は左手の人差し指を使って…」

「ううん。それだけじゃ足りない。ばあやは右利き?」

「はい、そうですが」

「ではばあやは左手でお菓子を食べることが絶対にないのですか?」

「いいえ、右手がふさっがているときは左で食べることもあります。」

「それは、おそらく左利きの人も同じです。なので右手の人差し指で打つことの多いUキーに毒を塗りました。」

「さすがです、冥蓮様。」

そして花子は部屋に戻った。

運転をしてくれた『ばあや』はオーナーに呼ばれた。

「今回はどのような殺し方かは聞き出したか?」

そしてばあやは車の中での出来事をすべて話した。

「やはりあの子は天才だ。IQが150超えるだけある」

ばあやは申し訳なさそうに聞いた

「あの…あの子の殺し方を聞いてなにか?」

「データを集めているんです。彼女は天才だ。家にとってもふさわしい人材。。。だが、そろそろ潮時かと思って。」

「といいますと?」

「もうてっきりいらないんだ、あの子。裏切ったりしたらどうしようもないしね。」

「あなた、まさか?」

「あの子を暗殺する。でも彼女は天才だ。返り討ちにされたらたまったもんじゃない。だからこのデータを基に暗殺の計画を立てているんだ。」

ばあやはその日は寝れなかった。仕事づきあいとはいえ、昔からのつきあいの子が殺されるかもしれないから。


そんな時、一人の男が、この女の人生を変えようとした



そして翌日、再び電話が鳴る

「もしもし」

「私だ。」

「あ、オーナー今日はどちら様を」

「茨城県、大子町にあるマンションにて、172cm 28歳 独身 センター分けの男を※扼殺せよ」

                               ※手や腕で(けい)部を強く圧迫

                                し、死に至らしめること

「扼殺ですか…」

「なんだ、お前にできないことはないと思っていたのだが…」

「いいえ、できます、できるんですけど…少々時間がかかってしまいますが」

オーナーはニヤリと笑う

「いやいや、結構結構、ターゲットが死んだのをゆっくり確認してから帰ってきてね。ゆっくりね」

花子はオーナーの言葉に違和感を覚えた。

そして花子がばあやの車に乗って現場に向かった

「では、オーナー、そろそろ」

SPが声をかける

「ああ、そうだな。お前ら全員現場に向かえ!」

車の中にて…

「冥蓮様。本日はいつも以上にお気をつけください」

「どうしてですか?」

「え、いや、それはですね…あ!今回冥蓮の苦手な扼殺なので」

「ねえ、ばあや。それって本当ですか?信じていいのですか?何か様子がおかしくないですか?」

「え?いいえ、そんなことは…あり、ありませんよ」

そして現場に到着する

「もう、恐らく冥蓮様をお迎えに来ることはありません。頼みますから、逃げて、好きな人と結婚して、子供産んで っていう平凡で幸せな生活をおくってください」

ばあやは花子の目を見て、涙目になって言う。

「冥蓮様、いや 花子ちゃん。大好きです。どうかご無事で」

花子は一瞬、真っ暗だった目が光る

「ばあや、ありがとう」(でもごめんなさい。死んでも任務を遂行する。私は、その為に生まれてきた人間だから…)

ばあやはハッとする

(あの子に『ありがとう』なんて、初めて言われた…)


今思えばこれが始まりだったのかもしれない。

はじめて口から出てきた感謝の言葉。

こんな不思議な感覚。

生まれて初めてだ。


花子はマンションをあがる。

と、その途中に一人の男とすれ違う。

花子は思わずふりかえる。

(172cm 28歳 独身 センター分け ㇵッこの男だ。扼殺扼殺扼殺扼殺)

花子は縄を持ちとびかかる。

その瞬間その男はふりかえる。

花子はとっさに縄を隠した

「あれ?見ない顔ですね。もしかして引っ越してきたんですか」

男は笑顔で聞く

「え、えっと、あ、いや、その」

花子はこれまでオーナー以外の男性と話したことがなかった

「緊張しないでも大丈夫ですよ。私は影水 こうたろうと言います。なにぞとよろしくお願いします」

花子はようやく声を出せた

「わ、私は、えっと、花宮 桜っていいます」(なんでこの名前にしたのかは分からない。理由はハッキリしていた。決して本名は明かしてはいけないから。でも…なんで元の名前に似せちゃったんだろう。なんか、この人には『桜』って呼んでほしいような、そんな気がした)

「よろしく!花宮さん!」

「sd&@jwkp」

「へ?なんて?」

「桜 って呼んでください…」

花子は限りなくちいさい声で言った。

「はい!桜さん。これからよろしくおねがいします。」

彼は部屋に入っていった。

花子は唾をゴクリと飲み込み、部屋のドアの隙間から催眠ガスを流し込む。

花子は5分ほどドアの前で座り込んだ。そして部屋に入り、ターゲットのこうたろうの首を掴んだ。

手加減などしずに、本気の力をだして、首をしめた。

一分ほど経ち、こうたろうの心臓が完全に止まったことを確認し、花子はゆっくり階段を下りて行った。

そのとき、

下の階から、煙が迫ってきてた。

花子は口をおさえ階段を上がっていった。

窓の外を見ると大量の人達がいた。

オーナーのSP、執事、料理人、めしつかい、

逃げ場はどこにもなかった。

「はぁ、ハメられた」

そう。計画がはじまったのは約1年半前、とある出来事がきっかけだった。

「本日は新宿のビジネスホテルに泊まっている、チャットTGPの社長を殺してほしい」

「ですが、そんな大事な任務、私できる自信が…」

「なるほど。では私が同伴しよう」

当然花子は驚いた。

今までオーナーがそのような悪事に自ら手を染めることはなかったから。

そして決め手の一手で花子が社長を刺そうとした時、なぜか目の前で手が止まった。

「何をやっているんだ。冥蓮。さっさと殺さんか」

花子は手が動かなかった。その隙にターゲットは姿を消した。

オーナーは花子をにらみつける。

オーナーは驚いた。

なぜなら花子の目に光がうつっていたから

「バカな、そんなハズがない」

オーナーはあることを決意した。

それは


冥蓮を殺害すること


オーナーは焦りに焦った。

彼女が『心』を持ち、やがてこの会社を裏切ることになったら、誰一人彼女を止められないから。


ある程度人のいないところに、なるべく殺すのが難しい体が強い男で、彼女が一番苦手な扼殺という方法で、なるべく時間を稼がせつつ、マンションの周りを包囲して、マンションごと焼き尽くすやり方。


花子はなんとなくわかっていた。

どうでもよかったんだ。生きても死んでも。

「私は様々な人を殺めてきました。行くなら地獄でしょう」

花子は床に落ちてたタバコを拾い、吸い始めた。

「悔いはないです。」

そう言い階段を下ろうとした時、誰かが花子の服を引っ張った。

「大丈夫ですか?桜さん」

振り返ると、そこには首が青ざめているこうたろうがいた。

「え?なんで」

花子は二つのことを疑問に思った。

一つは、なんでこの男を殺そうとしていた私を助けるのか

もう一つは、何故生きているのか。


一つ目の答えはこうだ。

顔を見られてなかった。こうたろうから見たら、花子はただの近所の住民であった。

そして二つ目の答えはこうだ。

本気で殺そうとしなかった。

あの時のように…

花子は本気で殺せなかった。完璧主義な彼女なら、こんな失態はしないはず。

では、なぜか


それは…


     桜花子が

       本気で恋をしてしまったから


確かに花子は本気で殺った。自分ではそう思っていただろう。

ただし無意識の間に手加減をしてしまったのだろう。

花子は頭の中がぐちゃぐちゃになった。

「何やってるんですか、桜さん!はやくしないと煙が」

その瞬間花子は泣いた。


人生で初めて泣いた。


「なんか、なんか、さっきまでどうでもよかった命が…惜しくなっちゃったじゃないですか」


もう、恐らく冥蓮様をお迎えに来ることはありません。頼みますから、逃げて、好きな人と結婚して、子供産んで っていう平凡で幸せな生活をおくってください


冥蓮様、いや 花子ちゃん。大好きです。どうかご無事で


はい!桜さん。これからよろしくおねがいします。


「いいのかな?神様、ばあや。私なんかが、幸せになっても」

「いいのかな?神様、ばあや。たくさんの人々を殺めてきた私が、平凡な生活をおくっても」

「神様、一生のお願いです。今までの罪をお許しください。そして私に平凡をください」

「ああ、ああ、ああ何やってるんですか、桜さん。火で囲まれてしまいましたよ」

窓の外を見ながら花子は言う。

「こうたろうさん、好きです」

花子はバッグをひたすら強く窓にぶつけた。

ただしそんなもので窓が割れるわけがない。

「何やってるんですか?桜さん」

「たしかこの近くに湖があるはずです」

こうたろうは一つ大きなため息をついて言った。

「桜さん、僕も好きです」

こうたろうもパールを拾って窓をわろうとする。

「息を合わせるんです。桜さん」

「はい!!せーーーーーーーのっ」

窓は豪快に割れた。

約12メートル先に湖。現在は7階。

「無理だ、、、計算違いだ。あんなに遠いなんて」

花子は絶望の顔をする

「落ち込まないでください、二人で力を合わせれば、このガラスのようにどんな困難でも打ち破れます。捕まってください」

花子は言われるがままにこうたろうの腕に捕まった。

そしてこうたろうは高く飛んだ。

しかし、、、、、

わずかに距離が届かず、

花子は目をつぶった。

地面につく瞬間、こうたろうは花子を高くあげた。

花子は湖に飛び込んだ。

こうたろうは…

高さ37メートルからの落下、即死だった。

花子は水面から顔をだした。

目に映ったのは頭が砕けたこうたろうの姿だけだった。


花子は泣けなかった。


目の光も消えてしまった。


一度手に入れたものが、再びなくなってしまった。


オーナーが花子のところに行き、銃口を頭につきつけて言った。

「この男が死んでどう思った?」


花子は言った。




「別に」



                                              完

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― 新着の感想 ―
続きが気になるお話ですね!  感情のないはずの花子がどう恋に落ちていくのか、様々な思惑が巡っていきそうな 良かったです!
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