対話
誓断輪廻 転生した異世界で課せられた転生者たちのルール『人殺し、死、自殺』
カニス 正式名称 カニス・アミークス この世界での犬の獣人種の名称
ロドルフォ「お前ネズミの狩り方知ってんのか?ここのネズミがどういうやつだかも知らねえくせに口出そうとする「だからそれを知るために下に降りさせてくださいってお願いしてるんですよ!」」
……あ、やばい…少し熱くなって言い返してしまった。
俺はまだ高校生にも満たない子供。
そんな俺が大の大人相手にに生意気なことを言ってしまったなんてしれたらマットやカーネにどう思われるか。
シュウ「グルル」
しかも俺が反論したのに反応したのかシュウまで牙を向け始めてしまった。
何やってるんだ俺は…これじゃあマットたちの期待に答えるどころか、より問題を拗らせてしまう…
シアン「いや、あのごめんなさい…生意気なこと言いました…」
ドルゴ「子供相手に大人気ないぞ。ロドルフォ」
ロドルフォ「チッ」
ドルゴさんが仲裁に入ってくれたおかげで、ロドルフォさんも引いてくれたけど、もしいなかったらどうなっていたか…
俺は大バカだ…
マットならここで売り言葉に買い言葉なんてしないで冷静にロドルフォさんと話していたと思う。
俺も普段は感情的になんてならないのに…なんでよりによって今、感情的になってしまったんだろう…
ドルゴ「シアンよぉ?どうしてお前はネズミやテリアたちのことをもっと知りたい?」
ドルゴさんが訊ねてくる。
知りたい理由…それは…
シアン「テリアのことを知りたい理由は、俺たちと一緒に住んでいるジャーマンシェパードの女の子は鼻を使うのが得意でした。ここにいるシュウの一族である、アキ一族は魔熊相手にも怯まずに立ち向かうことができる勇敢なカニスです。
こういった感じでカニスには何か特性を持っていることが多いってことを知りました。
さっきドルゴさんはテリアのカニスたちは土を掘るのが得意だと、おっしゃいましたが何か引っかかるんです。だから会ってどんな人たちなのか知りたいんです。
そしてもし、迷惑じゃなければ、ネズミの対策も一緒に考えさせてほしいです」
ドルゴさんから聞いた話だけではテリアのカニスの方達がどういう種族なのかよくわからなかった。
土を掘るのが得意というのに間違いはないのだろう。
だけどなぜ土を掘るのが得意なのかがわからない。
ここ掘れわんわんなんて言葉もあったし、本当に採掘が好きなだけなのか?
それとも他に何か理由があるのか?それを確認したい。
ドルゴ「上の奴らにも有益になるっていうのはなんじゃ?」
…さっきの質問にはすぐに答えられるだけの道理があったけど、こっちを答えるのは少し躊躇する。
何故ならこっちは完全に個人的なわがまま。
住む場所も俺の入院中の治療薬も…いろんなものを提供してもらった立場なのに図々しいと思ってしまうから…
シアン「父が…毎日狩りに出ていて疲れています。せっかく屋根のある場所に定住させてもらえているのに、家族団欒できる時間が少ないのは俺も、妹のソラも寂しいんです。
この件を解決したら助けてもらった件全てチャラにしてほしいなんて図々しいことは言いません。
だけど、今より少しでもゆっくりできる時間ができたらいいなって…」
ドルゴ「なるほどな…お前らはどうして揃いも揃ってそうなんじゃろうな…?」
まずい…やっぱり心象を悪くしてしまったか…?
これじゃあ解決どころの話ではなくもう関わることすらできなく…
ドルゴ「ああ、勘違いするな?今のはあれじゃ。
カニスという奴らはどうして揃いも揃って誰かの役に立ちたいと気張っている連中ばかりなんじゃろうなぁ?と思っただけじゃよ」
誰かの役に立ちたい…?
……
………確かに思い返せばみんなにはそういうところがある。
ドルゴ「何でか知らんが下の奴らもそうなんじゃ。
何かあれば手伝えるか?あれするか?ってじゃからお前の親父にもネズミのことは言わんかった。『何か手伝えることがあったら教えて欲しい』とか言いおりよって
別にな?儂等はお前らに恩はしっかり返せ!なんて思っとらん。むしろやりすぎだとも思っとる。上の居住区なんてもう誰も使っておらんかったし、使いたい奴らがいるなら好きに使ってもらっていいんじゃよ」
ロドルフォ「だが、恩は恩だ。それに好き勝手なんて絶対にさせない。俺たちはよそ者で助けてもらっている立場だ。礼儀ってものがある」
ドルゴ「……な?こういう頭が固くて律儀なやつがおるから断ることのも面倒じゃし、それに下にいるテリアどもの食い扶持や、加工できる毛皮や骨を納めてくれるのはとても助かっているのも事実。だからいらないとまでは言わないが、毎日狩りになんか出ずとももう少し減らしても全然ええと思っている」
……これは本当に口出すべきではなかったことかもしれない。
ドルゴ「この堅物もな。別にお前さんの邪魔をしたいわけじゃなくて、本当に危険な真似をさせたくないからこうやって口を挟んでくるんじゃよ」
ロドルフォ「…そんなんじゃねえ」
俺はもしかして調子に乗っていたのかもしれない。
周りの人に期待されてるのを感じて、もしかしたら解決できる気になっていたのかも…
だからロドルフォさんに少し邪魔されて苛立ってしまったのか…
ドルゴ「それにここもいつまで平和かわからんしな」
ロドルフォ「あ、言うな馬鹿!」
ドルゴ「なんじゃお前ら子供らには言うておらんのか!?」
……え?
シアン「なんでですか…?ここって森の奥の方にありますし、人間が簡単に辿り着ける場所ではないはずではないんですか…?」
ロドルフォ「俺らが住ませてもらっている場所、なんでドワーフがいるのに誰も住んでないと思う?」
それは…
シアン「ドワーフの皆さんが下に住むのが好きになったから…とか?」
ドルゴ「お前らが住んでる場所は元々人間が住んでいた跡地じゃからじゃよ」
人間が…住んでいた…?
シアン「その人間たちはどこに行ったんですか?」
ドルゴ「さあな?人間どもは元々儂等の技術を学びたくてここにおったし、いなくなるまでの間に生産した武器を城下まで売りに行って商売をしたりもしていたが、いかんせんここは僻地も僻地。ある程度の知識を手に入ったと目処を立てたらここから撤収しおったわい」
ロドルフォ「つまりだ。ここは僻地ではあるが、元々人間が城下まで武器を商売をするために使っていた拠点。だからここは人が通れる道が開拓されてるんだよ」
俺たちがここまでたどり着くために必死に歩いてきた道は裏道で、ちゃんとした道が他にもある…
ということは人間でもここまで臭いなどを使わずにも辿り着けるということ…
ドルゴ「ちゅうかなんで子供達にそのことを教えなかった?」
ロドルフォ「うるせえな。今は平和なんだ。ガキは難しいこと考えないで、追いかけっこでもして平和を謳歌しとけばいいんだよ」
ああ、俺は本当に大馬鹿だ。
ロドルフォさんはロドルフォさんで色々考えていてくれていた。
それなのに俺は…苦手意識を持って…まずは話してみるべきだった。
ドルゴ「まあいうて、当分ここには来ないはずじゃけどな。
前に来た人間のアホんだらが言うには、ここまで来るにはそれなりにコストと時間がかかる上に、他にも優先せねばならぬ場所があるらしいし、多分それまでには儂等が穴を掘り終えておる」
アホんだら…?アホんだら…
『さいなら〜また会おうな?シオ…じゃなかったシアンくん』
脳裏に浮かぶ軽薄そうな人物…
そういえばここの人たちにリオンのことを聞いていなかったな。
アホんだらとか言われているあたりどう思われているんだろう?
だけどなんとなく、今話の腰を折ってまで聞くべき話でもなさそうだな。と思った。
シアン「穴を掘り終えているっていうのは?下を掘っているのも何か理由があるんですか?」
ロドルフォ「おま
「今更お前は知らなくていいというわけにもいかんじゃろ。それにシアンはそこいらの子供とは違う感じがするわ。全部話してええんじゃないか?」
……ハァ…もう好きにしろ俺はルカとララが狩りをできるように鍛えてくる」
ルカとララを鍛える…?あの超奔放型カニスの二人を…?
そんなことできるのだろうか?
俺にはできる気がしない…
というか平和を謳歌しておけばいい、ってさっき言ったのに狩りをする練習はさせるんだ…
いや、それは俺たちの生活の一部だからか…シュウも狩りに出ているし狩りができなければ生活ができなくなるから…できるようになって損はない。
ドルゴ「儂等が穴掘っているのは人間対策じゃよ。まあ元々採掘はしておったし穴掘るのは日常的にやっておったんじゃがな。その延長線だから苦ではない。入り口が入りずらかったろ?あれも対策の一部じゃ」
確かにあの入りづらい入り口だったら攻めてきても簡単に通れない。
ドルゴ「アホんだらがいうには、人間どもが最優先に襲っているのは同胞であるはずの人間かカニスかのどちらからしいから、儂等を積極的に襲ってくることはないかもしれんらしいが。だが水の湧く鉱石や作った武器などを狙ってくる可能性も否定できないらしい。それに人間はどうやら変わっちまったみたいじゃ」
シアン「変わった?」
ドルゴ「お前らも味わったろ?襲ってくる連中は交渉よりもまずは略奪。それで対話なんて二の次らしいじゃないか…儂等も話せる相手なら話すが、話す気もなく奪うつもりでくるのであればブチかまして追い返してやる覚悟じゃがな」
ガハハと笑っているが、ドルゴさんが言っているのは略奪に対する報復。
笑える話ではない。
カニスを狙う理由は前回襲われたからわかっている。白い髪のカニスは商売に使えるから。
だけどなぜ同胞であるはずの人間も襲う?そんなことをしていたら周りに敵ばかり作ってしまい、面倒になるだけだ。
本当に俺たちを襲ったのは白い髪のカニスを誘拐するためか?それとも何か別の目的が…?




