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相談

誓断輪廻せいだんりんね 転生した異世界で課せられた転生者たちのルール『人殺し、死、自殺』


カニス 正式名称 カニス・アミークス この世界での犬の獣人種の名称

ドルゴ「ここは危ねえから子供はもう帰れ」


何やらトラブルを抱えてるように見えたが、詳細は「ネズミが出た」としか教えてもらえず。

ここから早く退場するように促されてしまった。


ソラ「帰っていいの?お兄ちゃん?」

ソラは俺にそう問いかけてきたが、ここで下手に首を突っ込んでも迷惑にしからないだから大人しく帰ることにする。

シアン「ソラ、マコト…上に帰ろう」


グレーター「…」

外に出ようとした時、グレーターさんが一瞬何か言いたそうな表情をしていたが、ネズミが出た穴を埋めるために呼び出され、ここまで案内してくれたお礼も言えず別れてしまった。


ネズミが出ただけであんな大騒ぎするとは思えない。

おそらくここにいるネズミもあの魔熊と同じで俺が知っているネズミとは違うのだろう。

本当なら何か手伝えることがあるなら手伝いたい。

だけど俺たちはまだ子供だ。


他所の地域での問題に勝手に首を突っ込めば、問題をさらに大きくしかねない。

だから何かできることは今の俺にはおそらく何もない。


マコト「……」

ふと気づくとマコトが俺の顔をじっと見つめている。


シアン「…何?」

マコト「何か考えてる?」

シアン「…え?」

どういう意味の質問なんだ…それは?


マコト「帰ろう」

そういうとマコトは一人で螺旋の崖道を駆け上がっていった。


シアン「ソラ…今のマコトの質問はなんだったと思う?」

妹にそう尋ねると


ソラ「お兄ちゃんが何か考えてくれてるから心配ないって意味だと思うよ」

なんだそれ…もしかして期待されているのだろうか…?

俺にそんな大事(だいじ)を解決する能力なんてないのに…


だけど俺には無理な問題でも、()()()ならできるかもしれない。

今の俺にできるのはせいぜいその人に相談することぐらい。


とにかくドワーフに貸してもらっている居住区に帰ろう。


居住区になる俺たちの部屋に帰ると部屋にはカーネだけがおり、食事の準備をしていた。

カーネ「おかえり〜」


父であるマットはいない。おそらくまだ狩りから帰ってきていないのだろう。

そういえばアンナも今日は姿を見ていないな?


さて…まず俺がやることは…

シアン「ごめん、お母さん。相談もしないで勝手にドワーフの住んでいる穴に降りちゃった…」


ここで黙っていてもどうせ俺のことだ。

いずれ下に勝手に降りたことはバレる。

隠しておくくらいなら今のうちに謝っておくべきだと思った。


カーネ「え〜?シアン一人で降りたの〜?」

ソラ「あと私とマコちゃん!」


あ!俺が謝ってる時はソラは大人しくしててねって約束したのに!

怒られるのは俺一人でいいのに…


カーネ「どうせマコトちゃんが勝手に走り出して下に降りようとしたんでしょ〜?」

……もしかして見ていたか?と思うような的確な分析…


カーネ「しかもシアンはちゃんと止めたんだけど、入らざるおえない状況になったんでしょ〜?」

ソラ「すご〜い!お母さん!大正解!」

いや、本当に見ていたのでは?


カーネ「シアンが勝手にそんなことするわけないもん。謝ってきたのもどうせ、ソラやマコトちゃんにお説教がいかないように自分が悪いって名乗り出ただけでしょ?」


〜〜〜〜ッ!!

ここまで思考を読まれているとなんか恥ずかしい。

これが母というやつか…


カーネ「だからお母さんから怒ることはありません〜」

怒られるのは苦手だ。

だけど勝手なことをして怒られないのもなんかモヤモヤする。

仕方ない。お説教はマットの方にしてもらうことに…


カーネ「多分お父さんもシアンに怒ることはないと思うけどね〜」

ソラ「お父さんがお兄ちゃん怒るとかなさそう〜」


えぇ…?もしかして俺の思考って本当に読まれてる…?

わかりやすいとは前から言われていたけど、ここまで酷いといつか人を傷つけるかもしれないから気をつけよう…


というかこの親娘。俺のこといじってるなこれ…


母と妹に「わかりやすい〜」「単純!」としばらくいじられていると、小屋の入り口が開く音がした。

ようやくマットが帰ってきてれた…!助けてお父さん!


と思ったら


「ただいま」

帰ってきたのはマットではなく、アンナだった。


シアン「あ、おかえり…!アンナ!」

アンナ「……なんか…私じゃなくてマットさんの帰りを期待していたって顔」


ダメだ。

顔に出ないよう反省したはずなのに…もうアンナにも何考えてるかばれた…


カーネ「おかえりアンナちゃん〜さっきまでね〜二人でシアンの単純さをいじってたからお父さんに助けて欲しくて帰りを待ってたんだよ〜」


アンナ「そうなんですね?じゃあ…私も加わろうかな?」


待ってくれ…ただでさえ前の世界でいじられるような仲のいい友達なんていなかったのに、それを女性に、しかも三人同時にされたら俺はどうリアクションすればいいのかわからない!


シアン「待ってアンナ。違うんだ。いや、違くないけど!いや…あれ?アンナが帰ってきてくれるのは嬉しいんだけど、いやちょっと違うな?いや、違くないけど!

確かにお父さんが帰ってきてくれてこの状況なんとかしてくれる!って期待したところにみた顔がアンナで少しびっくりしたけど!それはアンナが帰ってきたことをがっかりしたわけじゃなくて!」


なんか自分でも何言ってるのかわからなくなってきた。

女性陣はなんかクスクス笑っているが、こっちは一応必死に弁明しているのになぜ笑うの!


「随分元気になったねシアン」

色々テンパっていたせいか、後ろから声をかけてきた人物がいつ部屋に入ってきたのか全く気づいていなかった。


シアン「うわ!!…おかえり、お父さん…」

マット「うん、ただいま」


マットの「ただいま」に女性陣も「おかえり」と答える。


なんか久々に正面に立ってまともに挨拶したような気がする…

最近マットとは会えたとしても、朝の挨拶する程度でまともに会話していなかった。


さっき女性陣にいじられていたせいで少し頭がこんがらがっているせいなのか何を話せばいいのか忘れてしまった。

え〜っと?とりあえず一旦深呼吸して…頭がクリアになったところで。


シアン「お父さん、ごめんなさい。相談もせずドワーフの村がある穴を勝手に降りて中に入ってしまいました」

なんか畏まりすぎではないか?この謝罪の仕方は自分でも違和感を感じる…


マット「そうなんだ?元気になったらシアンを連れて行こうと思ってたからちょうどよかった」


……横を見ると、カーネが「ほら〜」って顔をしている。

本当に怒られることもなく、なんなら連れて行く予定だったとまで言われてしまった。


シアン「怒らないの?」

変な話だが少し怒られたがっている俺がいる。


マット「…?…怒らないよ?考えた上で入ったんでしょ?それにシアンだからドワーフに失礼なことすることもないだろうし」


信頼されていることを嬉しいと思う反面、少しその信頼を重たく感じた。

みんなが俺のことを良い子と言ってくれるが、良い子というのが俺にはよくわからない。

だけどこれから先、俺はみんなからの信頼に応え続けなければならないのかと思うと不安になる。


だけど…まあいいか…

誰にも信頼されておらず孤独だった前の世界に比べればそのくらいのプレッシャーはあったほうがいい。

もしかしたらこの信頼を受けることこそが、大人になるってことなのかもしれないし。


カーネ「ねえ?とりあえずご飯にしてからその話しない〜?」


……それもそうだ…せっかく帰ってきたのに立ち話もおかしいし、とりあえずご飯にしよう。



マット「う〜ん」

食事も終わったので俺がドワーフが住むエルデの村で起きたこと、出会った人物の話をマットに聞いてもらった。


マット「そうか…ネズミかぁ…」

リアクションはあまりよろしくない。


ソラ「ネズミが何かおかしいの?」

ソラが尋ねるとマットはおでこをポリポリ掻きながら

マット「ネズミは俺たちには狩れないと思う…」

と困り顔で答えた。


ソラ「どうして〜?」

カーネ「ネズミって小さくて速くて穴にすぐ隠れちゃうくせに数は多くてね、私たちみたいな大型の魔獣をみんなで囲んで狩るスタイルのカニスとは真逆すぎて狩るのが大変なの〜」


確かにネズミを狩る動物といったらまず思いつくのは犬よりも猫だ。

犬がネズミを狩っているイメージはあまりない。


マット「この村でドワーフとよく話しているのは俺たちより先にこの村に来ていたロドルフォだけど、ロドからはドワーフがネズミに困っているなんて話は聞いていなかったな…」


そっか…ドルゴさんとマットは面識あるみたいだったし、てっきりマットが対話している人物かと思ったけど、ロドルフォさんがドワーフたちと話していたのか。


カーネ「どうせ頭カッチカチのロドのことだから知ってても他の仲間には言わなかったんじゃない〜?なんで教えてくれなかったの〜?って聞いても『俺たちはよそ者だ。余計なことに首を突っ込むな』とかムカっとすること言ってくるに決まってる〜!」


うん。カーネはプンプンしているがロドルフォさんが言っていることもわかる。

俺たちがよそ者であることは事実だし、首を突っ込んだことで事態が大きくなったら洒落にならない。


だけど…


マット「ごめんねシアン。力になれなくて、明日も早いから俺は先に寝かせてもらうよ」

シアン「あ、うん!おやすみ、なさい…」


ソラ「お父さん、最近疲れてるね」

アンナ「朝はやくから狩りやお手伝いや色々やってるみたいだからね…」

カーネ「…ソラも早く寝なさい〜大きくなれないよ〜?」


もし、もしこの件を解決できたのならドワーフたちにある借りを大きく返済できるかもしれない。

そしたらマットは今ほど忙しくならずに済むし、家でゆっくりソラといられるかもしれない。


ならこの件に首を突っ込むのは余計なことではない気がする…

だけど俺は何も知らない。

前の世界で見たことあるのはせいぜいハムスターくらいだ。

ネズミのことなんてまるで無知。


だからまた聞きに行こう。

ドルゴさんと、そしてグレーターさんにも。

うわあああ

2話連続書けなかった〜来週は2話書きたい!!

書きたい欲はあるんだけど時間と体力が…

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