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ドワーフ

誓断輪廻せいだんりんね 転生した異世界で課せられた転生者たちのルール『人殺し、死、自殺』


カニス 正式名称 カニス・アミークス この世界での犬の獣人種の名称

この世界のカニスには俺がまだ出会っていないたくさんの種族がいるらしい。

それをまとめたグループの名前。

それがデケンティス。


またの名を『十の牙』


そしてそのデケンティスは十のグループに分かれる。


第一のシェファラ

第二のラブリオス

第三のテラニス

第四のダクセルブ

第五のスピッツェルヴ

第六のスケンタール

第七のヴェナトリス

第八のリトリヴェラ

第九のトイメンド

第十のヴェントロス


俺の世界では聞いたことがない名前が大半だが、中には聞いたことがある名前もある。


第四のテラニスというのはさっきグレーターさんが言い直していたテリアのグループだろう。

そして、スピッツェルブというのが俺たちスピッツ、プリムスの村出身の仲間たちのグループらしい。


テリア、スピッツの方が聞き覚えがある単語なのだが、微妙に変化している。

他のグループももしかしたら俺が知っているグループでここでは別の単語に変更されている…のか?


シアン「グレーターさん。その十のグループについて知っていることはないんですか?」


俺はこの世界のことをほとんど知らない。

自分の種族であるスピッツのことも全然よく分かっていない。


なぜこの世界には俺が前にいた世界の犬と同じ種族名をしたカニスが存在するのか。

そしてなぜ人間と犬の獣人になっているのか。

だから少しでも知識が得られるなら知っておきたい。


グレーター「…わかんない」

シアン「そうですか…」

知りたいと思っても、詳しいことを知っているものにいつも出会えない。

そもそもこの世界にカニスについて詳しい人物はいないのだろうか…?


グレーター「あ!待て!ドワーフのジジイどもなら知っているかも!あいつら俺たちよりもずっと長生きだからよ!もしかしたら知っているかも!」


ドワーフって長寿なのだろうか?長寿の種族といったらエルフが真っ先に思いつくけど…それに聞けと言われても、まだ会ったことがないし…


シアン「でも村に俺たちよそ者が勝手に入ったらダメなんじゃ…?」

グレーター「安心しろ!俺様が許す!」


本当に大丈夫だろうか?正直結構不安。

マットやカーネに相談もせず人様の村に入って揉め事になるのは避けたい…


マコト「入っていいなら入る!」


まだ俺が決めあぐねているというのにマコトはそんなことも気にせず立ち上がり穴の入り口まで走っていく。


シアン「待ってマコト!危ないからせめて歩いて入って!」


本当は首根っこ掴んでも連れ戻したいが、少し距離がある。

マコトを追いかけ、手か足が滑って穴に真っ逆さま…なんて想像するだけで鳥肌が立つ…だから下手な真似はできない…

グレーターさんが話している時、マコトがあくびと伸びをしていたから、飽きて寝ているもんだと思って油断した。


シアン「ああ、もう!ソラ、おいで!」

ソラ「うん!」


ここでソラを一人にしていくのも怖いし、勝手に進んだマコトを放置するのはもっと怖い。あとで怒られるのを覚悟し俺達も下に降りることにする。


螺旋状になっている崖道には特に目立ったものはない。

道幅は車でも通れるくらいの幅があり、走り回ったりしない限り危険でもないが

一応、念の為なのか崖ぎわに転落防止用にあるロープとそれを固定するための杭が打ってある。


それと…足元を照らすために壁際に設置されたランプ…?があるが…

なんだこれ、火を使わずにランプが発光している?

電気も電池もこの世界にないだろうけど、どうやって火を使わずに(あか)りを(とも)しているんだろう?


グレーター「おい、シアン。こっちだ」


ランプの構造が気になって足を止めていたがグレーターさんに早く来るよう催促された。このランプの仕組みは気になるがそれはあとで聞こう。


多分グレーターさんに聞くよりドワーフの方が詳しそうだし…


グレーター「ここが俺様たちの村の本当の入り口だ」


案内されたのは中学生男子である俺の身長でちょうどいいくらいの大きさの横穴。

さっきよりも傾斜が少しきつく、そして狭い。

ここにも滑り落ちない用にロープと杭が壁に打ち込まれているから、片手でロープを掴み、もう片方の手でソラの手を掴みながら降りる。


そこをしばらく歩き、抜けた先に見えたのは…


シアン「おお…?」


目の前に広がるのは地下帝国。

でもあるのかと思ったが…

そこにあるのはもっと地味で現実的な世界。


俺の過去の知識にあるものと照らし合わせればここは鉱山の坑道だ。


あるのは岩、地面、そして坑道が崩れないように支えるために使われる木材。

あと何箇所か家らしい小屋があるくらい。


ドワーフが住む村。

というより、炭鉱夫の採掘場にしか見えない。

異世界ではあるが、なんか現実にもありそうな光景に少しがっかりする。


「なんじゃお前ら…?」

とそこにたまたまツルハシを持った小さい人が通りかかった。


いや、人じゃないおそらくこの人がドワーフ…

確かに小さいけど思ったよりも小さくない。

小学生高学年くらい?俺よりも小さいけどマコトよりは大きい。

グレーターさんと身長は同じくらいか?

身長はないがすごいガタイをしている…全体的に太いが

一番気になるのは手の大きさ…小さいのに俺の顔を覆えそうなほど大きい。


「お前ら…まさか…?」


あれ?このリアクションを見る限り、やっぱり俺たちは入っちゃいけないやつだったのでは?


「グレーター!!!お前!!他所様のところの子供勝手に連れ込みおったなああ!!」


ぐうぅ…!大きな声…!

坑道で反響もする上に俺たちは人間よりも耳がいい。

そのせいでかなり頭が痛い。


グレーター「うるさ!!!…だ、だって知りたいことがあるっていうからよぉ…」


「ここは危ねえから他所様のところの子供は入れたらダメだって前に決めたじゃろうがい!!!!」


グレーター「キャイン!!」


ものすごく情けない犬の鳴き声を上げながら、グレーターさんは尻尾を丸め俺の背中に隠れてしまった。


兄貴分になりたい、といっていた割には少し情けない姿だが、俺も怒られるのは苦手だ。気持ちはわからなくはない。


それに入ると決断した俺にも責任はある。

とりあえず謝らねば…


シアン「あの…申し訳ありません。ここに入ってはいけないというのを知らずに勝手に入ってしまって…」


深々と頭を下げる。


「………?お前マットとかいうカニスの息子か?」


え?

シアン「あ、はい。そうですが?」

「暗くてよく見えんかったが顔が似すぎじゃろ。なんじゃお前」


なんじゃお前…って…


ソラ「お兄ちゃんはお父さんに似てるけど似てないよ?」

それはフォローなのか?判断が難しいことをソラがドワーフの人に言うと。


「なんじゃ?そっちはマットの嫁さんにそっくりじゃねえか?ほんとカニスって個体差ないのぉ」


確かに似てるとは言われるが、カニス以外の種族から見たらそう見えるのだろうか?

どうなんだろう?プリムスの村で一緒に住んでいた人間は俺たちのことを割と識別できていたような…

あれ?どうだったかな…?


それよりもマットもカーネもここに訪れたことがあるのか。

…まあそれもそうか。

俺が治療中している間にここに訪れ、交流を行っていたんだろう。

このドワーフたちには色々と借りがあるらしいし。


「なんじゃあ騒がしい」「なんじゃ、またグレーターがなんかやったんか?」「うるさくて寝れんわい」


なんか奥からゾロゾロと他のドワーフが集まってきてしまった。


というか…


マコト「全員同じに見える」

シアン「うん…」


最初に出会ったドワーフは俺たちのこと個体差がないと言っていたが

そういうドワーフたちは、ほとんどがヒゲを蓄え、同じような身長で、同じような喋り方をする。

そのため誰が誰だか全く見分けがつかないほど似ていた。

正直少し思った。俺たちよりも個体差なくない?と…




「んで?なんで入ってきたんじゃ?」

とりあえず一番最初に会話したドワーフの人に話を聞いてもらうことにし、他のドワーフたちには戻ってもらった。同じ顔がたくさんあったら混乱しそうだし…


シアン「えっと…」

あれ?何を聞こうとしてたんだっけ?色々ありすぎて整理が…


マコト「マコト。シバ一族」

え?

あ、自己紹介してなかったか!


シアン「ごめんなさい。僕の名前はシアンといいます。そして妹の」

ソラ「ソラ!」


「おお、儂ゃードルゴというよろしくな。マコトにシアンにソラ」


マコト、グレーターさんの時には自己紹介がなんなのか分かってなかったけど、しっかり理解していたのか。

する理由が分かってなかっただけで、教えれば案外なんでもできるかもしれない。



ソラ「おじいさんたち、私たちの種族のこと詳しいの?」

おお、ソラもここに来た理由をしっかり把握している。

お兄ちゃん結構嬉しいぞ。


ドルゴ「知らん」

……

………え?


あまりにもあっさりと答えられ、最初何を言ったのかわからなかった。

結局ここに降りてきたけど何も収穫なし?


ドルゴ「お前らのことに詳しいんわ儂等じゃなくてエルフじゃ」


エルフ…ドワーフがいるんだからやっぱりこの世界にもエルフはいるのか。

けど詳しいと言われても、ここにはエルフはいないはず。


ドルゴ「儂等が知っているのはせいぜいこの村で一緒に住んでるそこのグレーターと同じ種族、テリアのことくらいかの」


その言い方だと…

シアン「この村にはグレーターさん以外のテリアも結構いるんですか?」

ドルゴ「おお、おるぞ」


俺が生まれたプリムスの村がそうだったように、ここでも複数の種族のカニスが、別の種族と共生しているということか。


シアン「あのそのことを詳しく「やばい!また出たぞー!」「塞げ塞げ!」」


坑道の奥の方から聞こえる喧騒。

明らかに緊急事態の気配。


ドルゴ「またか…お前らもう帰れ。ここは今危険なんじゃ。何か詳しい話が聞きたいなら今度儂が上に行って聞いてやる」


ソラ「ねえ?何か出たって聞こえたけど何が出たの?」

俺にもそう聞こえた。

何か危険なもの、例えばガスとか掘り当ててしまったのだろうか?


ドルゴ「ネズミじゃよ」


ね、ネズミ…?

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