マンチェスターテリアのグレーター
誓断輪廻 転生した異世界で課せられた転生者たちのルール『人殺し、死、自殺』
カニス 正式名称 カニス・アミークス この世界での犬の獣人種の名称
ドワーフが住むというエルデの村。
そこの入り口で初めて知り合ったカニス。
マンチェスター・テリアのグレータさん。
マンチェスターというのはイギリスの地名だった記憶がある。
イギリスのサッカーチームにそんな名前がついているチームがあったのを覚えている。
シュウやトラさんと同じでここにも地球の地名が種族名に入っているカニスがいる。
いったいなぜなんだろう?
それにもう一つ名前についている。テリアという言葉。
テリアと名前に入っている犬は何匹か知っている。
ヨークシャーテリアやジャックラッセルテリアなどの犬種が有名だったかな?
映画やテレビに出たり、街中で散歩している姿も見たことがある。
そしてもう一つ。
デケンティスという言葉。ただ『俺はテリアのデケンティス』と言っていたし、
犬種とは別の、仲間とかそういった意味がある言葉だろうか?
グレーター「だはぁ〜足痛え〜!」
今思えば、プリムスの村出身じゃないカニスと出会うのはアンナ以外では初めてだ。
だからだろうか?
よくみるとグレーターさんと俺たちにある特徴とは少し違う。
まず耳。俺たちは耳が三角形のような形をしているが、グレーターさんの耳は途中で折れるように垂れている。
そして、さっき荷車を押している時に見えた尻尾の形。
俺たちは尻尾の先まで毛があり狐のようにしっかりとした太さがあったり、マコトやシュウみたいにお尻の方に丸まった巻尾だったりするが、グレーターさんの尻尾は俺たちに比べ細く、そして長かった。
逆に全体的に毛は短い。
俺たちの中だとカーネとソラは髪の毛から尻尾の毛までかなり長いがグレーターさんの毛は髪も尻尾も短い上に、全体的に黒く、毛が光沢を出ているようにツヤツヤしている。
触ったら少し気持ちよさそうな毛並みをしている。
これはグレーターさんだけの個体差によるものなのか?それともテリアという種族の特徴なのか、他の参考になるテリアのカニスにまだ出会っていないからわからない。
だがもしかしたらカニスというのは地球に住む犬と同じで見た目にかなりの差があるのかもしれない。
グレーター「なんだ!俺の体をじっと見やがって!すけべ!」
シアン「え?あ、いやそんなつもりは!」
一切ない。
だが新しいカニスを見ると物珍しさ故にジロジロ観察してしまうところはあるかもしれない。気をつけねば…
グレーターさんは「よっと」という掛け声共にようやく大の字から起き上がりこちらと対峙してくれる。
俺の目の前に立ったグレーターさんの身長はマコトより少し大きいくらいのサイズ。
俺とマコトのちょうど中間くらいの身長だ。
俺の身長がようやく高校生の平均くらいになろうとしているからグレーターさんは中学生くらいの身長か?
さっきほど俺のことを「少年」と呼んでいたことから俺よりも年上の可能性は高い。
年齢を聞くのはもう少し関係性ができた時にしよう。
ここでお別れする可能性がある人に失礼なことを聞くことないし…
グレーター「そういえばお前らの名前聞いてないな」
あ…そうだった。まだ名乗ってもいなかった。
シアン「失礼しました。俺の名前はシアンと申します。そしてこれが妹の」
ソラ「ソラ!」
シアン「そしてもう一人が…」マコト「…」
シアン「マコト?」マコト「?」
シアン「自己紹介は?」マコト「?」
右に左に首を傾げながら不思議そうな顔をしている…
その仕草を可愛らしいと思う反面、自分から自己紹介もできないのはこれからのことを考えると少し不安になる…
そういえば、リオンとあった時もマコトって自己紹介してなかった気がする…
これからのことを考えると社交性というのは学んでおかなければいけないし、ここは…
シアン「マコト…自分の一族の名前と自分の名前をグレーターさんに教えて」
マコト「…?シバ一族。マコト」
んん〜…これは今すぐにちゃんとできるようにしたほうがいいのか…?
いや、まだ子供だし、今まで自己紹介する習慣なんてなかったからしょうがないか。
また時間がある時に教えよう。
グレーター「おう!シアンにソラにマコトだな?よろしく!ところでシアン。お前がこの子達のボスか?」
ボス?なんだそれ?俺はこの子達をそういうつもりで連れているわけではないが?
シアン「いえ、ソラは妹で、マコトは幼馴染なので…ボスとかそんなやつじゃないです」
グレーター「そうなのか…じゃあ俺がボスになってやろうか?」
なぜ?
というか何でじゃあ、なのかまるでわからない。
今日初めてあった人にいきなりボスになられても困るしここは丁重に断るしか…
ソラ「ボスなんていらない!」
俺がお断りしようかと思ったところで、ソラが一言で叩っ切る。
グレーター「んなっ!」
グレーターさんもショックだったのか一歩後退り固まっている。
ううん…忌憚ない一言。
俺には真似できない…
グレーター「じゃ、じゃあ兄貴分になってやらないこともない」
ソラ「お兄ちゃん以外いらない!」
ソラの即答に打ちのめされてまた大の字になって寝てるグレーターさん。
なんかチーンという効果音聞こえたような気がした…
シアン「あの…?なんでそんなにボスとか兄貴分みたいな立場になりたいんですか?」
一度断られた相手に別角度からまたアプローチを仕掛けるんだから何かこだわる理由があるのかもしれない。
グレーター「これは俺の爺さんに聞かされた話なんだが…俺の一族であるマンチェスターテリアには本来トイ・マンチェスターテリアという弟分が存在したらしいんだ……だけどこの村にはそんな種族のやつはいない。聞いてた話と違う…寂しい。弟分が欲しい…」
それは村に複雑な事情があっての理由なのか?
それとも単に舎弟が欲しい欲求が強いだけなのか?判断に困る。
トイ・マンチェスターテリアという犬種がどういう犬種だか知らないが、名前にトイがつくということはこのグレーターさんの種族よりも小型という意味なんだろう。
日本で一番人気がある犬種のトイ・プードルも本来は大型犬のスタンダード・プードルを改良し小型化した姿だ。
まだプードルにはあったことがないが、この世界ではサイズが小さい同種族は兄弟分のような扱いなのかもしれない。
少し気になったのがこの人は爺さんからカニスについて色々聞かされているみたいだ。
もしかしたらこの人は俺たちよりもこの世界のカニスについて知っているのかもしれない。
シアン「あの…さっき言っていた。デケンティスってなんですか?それにテリアじゃなくてテラニスとも言ってましたよね?」
デケンティスとテラニス。
あれほど得意げにこの言葉を使う、ということは意味をちゃんと理解し使っているはずだ。
グレーター「………ない」
シアン「え?」
今なんて言った…?かすかに聞こえたけど耳を疑うようなこと言ったぞ?
グレーター「弟分以外に教えない…」
えぇ…めちゃくちゃ不貞腐れてる…
そんな重要で欲しいもの…?何がそんなにこの人を動かしているんだろう?
ソラ「じゃあいいじゃんお兄ちゃん。帰ろう!さよなら!」
マコト「じゃあね!」
そしてこの二人のワンコ二人組は構ってちゃんなんて放っておいてもう帰ろう!とすごいドライ。
確かにこのグレーターさんはめんどくさいところがある。
だけどこの世界のこと、カニスのこと、知らない単語のことを知ることは俺にとってもプラスになる…
俺は元々コミュニケーション能力が高いわけではないから、この村に住んでる方たちに聞いて回るの少し避けたいし…
それにこの大穴の先を俺たちが進んでいいのかも判断が難しい…
今、グレーターさんに教えてもらえるならここで教えてもらいたい。
シアン「えっと…なります。弟分に…だから教えてください。デケンティスがなんなのかを」
ソラ「えええええ!お兄ちゃんのお兄ちゃんになったら、この人、私のお兄ちゃんになっちゃうじゃん!!」
グレーターさんはさっきまで大の字で寝てたのに飛び起き
グレーター「しゃあああああああああああああああああ!!!!ふっふっふ、お前も今日から俺の妹分だ〜」
なんてルンルンのドヤ顔をソラに披露している。
ソラ「違うもん!私のお兄ちゃんはお兄ちゃんだけだもん!」
とソラは抵抗しているが、もはやただのコントのようなものだから気にしないでいいだろう。
それよりも…
シアン「もう一度聞きます。デケンティスってなんですか?」
グレーターさんは俺たちに背中を見せ、なんか済ました感じを見せながら語り始めた。
グレーター「デケンティス。俺たちカニスには十のグループ分けが存在することをお前たちは知っているか?」
十のグループ…?
ソラ「知らないから聞いてるんじゃん!」
グレーター「ング…おっほん!…えっと…まず第一のグループ シェファラ」
シェファラ?また聞いたことがない言葉…
グレーター「そして第二のグループ。ラブリオス」
また聞いたことのない単語、犬種でも聞いたことがない…
そしてグレーターさんは淡々と十のグループの名称を語っていた。
第一のシェファラ
第二のラブリオス
第三のテラニス
第四のダクセルブ
第五のスピッツェルヴ
第六のスケンタール
第七のヴェナトリス
第八のリトリヴェラ
第九のトイメンド
第十のヴェントロス
それらの総称がデケンティス。
またの名を『十の牙』




