フリスの災難
ーー神官長フリス視点ーー
「ミカさんに、今日家に来るように言われてるんですね・・・・・」
フリスは、ソファーに座った状態で頭を抱えていた。
「ミカさんは、大変な時しか呼ばないからな・・・・・・今回は何があるんでしょうか?」
ミカは呼びに来るときは、決まって異常事態が発生している。
「今回は、墓地ですかね。・・・いやいや、定期的に状況を確認してますが、墓地であの時のような事はないでしょう・・・・・」
フリスは昔のことを思い出した。
ーー10年前ーー
ミカが冒険者ギルドに来ると受付嬢が声を掛けてきた
「ミカさん、ギルドマスターが『ミカが来たら、俺の部屋にに来い』って言ってましたよ」
「ルカ、今日は『アタシはギルドに来なかった』ってことで・・」
ミカは回れ右してギルドを出ていこうとした。
「いやいや、だめですよ!ミカさん、私が怒られちゃうじゃないですか!」
ルカは泣きそうな目でミカの腕を捕まえた。
「はあー・・・しょうがないね。分かったすぐ行くよ」
「ふうー・・・助かりました。」
ルカが安心した顔になったのを確認したミカは腕を外して逃げようとしたが、ルカはミカの腕を決して離そうとしなかった。
ーーーーー
「ミカ、王都の墓地について知っているか?」
冒険者のギルマスはミカに質問した。
「知らないけど、何かあったのかい?」
「ああ、最近ゴーストの発生数が増えているんだ」
「ゴースト?・・・あの雑魚の事かい」
「ゴーストはそこそこ強いんだが・・・まあいいか。」
ギルマスは呆れた顔でミカを見た。
「ゴーストの発生数については対処出来ているから問題は無いんだが、気になる報告があったからミカに行ってもらおうと思ってな」
「気になる報告?」
「怪しい人物を見たって報告が30件以上は、上がっているんだ。」
「その怪しい人物が今回の原因って思っているのかい?」
「俺はそう思っている」
ーーーーー
「分かったけど、知り合いにゴーストについて詳しい奴がいるから連れてっていいかい?」
「問題はないが、そいつは強いのか?」
「ゴースト相手なら強いよ」
「分かった。・・・なら頼んだぞ。ミカ」
ギルマスは、真剣な表情でミカを見た
ーー教会ーー
フリスは窓を拭いていた。
「んっ・・何か騒がしいですね?」
気になったフリスは部屋の外を見る為、扉を開けた。
カチャ・・・・ガシ・・・
フリスは扉を開けると顔を掴まれた。
「な、なんですこれ『今は、大丈夫かいフリス?』・・この声はミカさんですか?」
「お願いがあるんだが、来てくれないか?」
「ミカさん、人の顔を掴んだ状態でのお願いは脅迫ですよ。」
「・・・・フリス、・・・行くよ」
ミカはフリスを引き摺って廊下を歩いた。
「え、ちょ・・待って下さい。私は、仕事があるんですよ」
「他の人が笑顔でアンタの仕事をしてくれるって言っていたから問題ないよ」
「あれミカじゃないか?」「まじかよ」「可哀想に・・・」
周囲の声がフリスの耳に届いた。
「ミカさん、お願いを拒否してもいいでしょうか?」
「アンタに、拒否権はないよ」
「お願いでは、なかったんですか!」
ミカは教会を出て行った。
「分かりましたから、顔から手を放して下さい。・・ミカさん?なんで、手の力が強くなってるんですか?痛、痛いです。ミカさん、ミカさーーーーん」
町中にフリスの絶叫が響いた。
ーーーーー
墓地に来ると墓地の中央に魔法陣と呪文を使って儀式をしている男がいた。
「・・・・・・・・・・」
「・・・取り敢えず殴って止めるか・・・・」
あまりに無防備に背中を向けて儀式をしている様子を見ると罠を疑ってしまうが、こちらにはまだ気が付いてないようなので取り敢えず殴って止めようとミカが動き出したが、それより男の儀式発動の方が早かった。
「完成だ、これで墓地にあるゴーストを生贄に悪魔を召喚出来る」
墓地にいるゴーストが魔法陣の上に集まっていき扉が成形され始めた。
扉は禍々しい雰囲気を出して扉が開き腕が出てきた。
「悪魔召喚の成功・・」
ドゴーン
ミカは取り敢えず男を殴り気絶させた。
男を気絶させると魔法陣の光が消え、扉が崩れ始めた。
扉が崩れ始めたことに気が付いたのか悪魔が扉から急いで出てきた。
「はあー・・はあー・・」
悪魔は荒い呼吸をしながらもミカを見た。
「おい!このババア!! 召喚途中で止めようとするとかあほなんじゃないか」
「ババアってのは、アタシの事かい」
「10歳を超えた奴は、ババアだ『もういい、消えろ』」
ミカは悪魔を殴って消滅させた。
悪魔は触れたものに呪いが発生するが、ミカには効かなかったようだ
「ミ、ミカさん。ババアって言われても気にしないで下さい」
目の前で悪魔を殴って消滅させたミカの姿を見て動揺しながらもフリスは、励ましの言葉をかけた。
「それは、アタシがババアって言ってるのかな?」
ミカは、フリスの顔を掴んだ。
「え、いや。違う。」
ミカはフリスにアイアンクローを思いっ切りした。
ベキ・・・ピキ・・・ピキキ・・・バキキ・・・
「ミカさん、頭が割れます!」
「大丈夫、どんなに割れようと回復魔法を使って治してやるよ」
「それは、大丈夫じゃないで、ぎゃあああああああああああああ」
ーーーーーーー
昔を思い出したフリスは、落ち込んだ雰囲気になった。
「・・・・・・・・無視してもいいでしょうか・・・・・・」




