8話
「うひょひょ〜!! 海なのです!! ねぇねぇ早く入りましょうよ!!」
「ことりちょっと待ってぇ、もうクタクタよぉ〜。少し休憩しましょうよ、誰かさんの腹痛のせいでバスに乗り遅れて歩く事になったんだもん」
「俺はまだまだ元気だぜ? なぁ、賢斗」
「ううう、なんかまだお腹がゴロゴロ鳴ってやがるんだ。全部出し切ったはずなのに、どうしてこんな目に……」
朝に食べた賞味期限切れのヨーグルトが俺の腹に爆裂パンチを繰り出したせいで便が急降下してしまったのだ。
俺は別に捨てれば良いと言ったのだが、美夜が『勿体無い、全部食べるまで家を出ない』と言い張るため仕方なく完食してこのザマだ。
美夜も一緒に食べてくれたのだが、なぜかお腹を壊していない。
(恐るべし、死神様。)
「賢斗、そんな汚い事言ってないで早くレジャーシートとパラソルを建てましょうよ。賢斗の持ってるリュックの下につっこんだおいたから」
「クッソ! だから少しリュックが重かったのか! 自分のなんだから自分で持て!」
「はいはい、わかったからさっさと設置しましょう?日陰がないと暑くて溶けちゃう」
「本当ね、ここの海、綺麗で色も透き通っていてとても魅力的だけど、美夜ちゃんの言う通り、暑いかも」
聖奈さんが頬に滴る汗を拭っている。
「聖奈さんが暑いっていうなら設置しますかぁ。大吾少し手伝ってくれ」
「任せとけ!! 俺の筋肉があればなんでも出来る!!」
「じゃあ私達、女性陣は先に水着に着替えちゃいますか」
「うひょーい!! 私この日のために水着を新調したんですよ!!」
「実は…………私も新しいの買った」
聖奈さんが頬を赤らめて恥ずかしそうにカミングアウトする。
(せ、聖奈さんの水着だと!?!? ことりのロリ水着を見れる事に関しても実にお兄さん心をくすぐられ興奮ポイントだが……。いつも落ち着いていて冷静で、あまり肌を露出する事を好まなそうな性格の聖奈さんが水着を披露するのいうのか!? ああ、俺は久しぶりに生きてて良かったと感じている……!!)
「じゃ、そういう事だから男子2人、設置は任せたわよ?」
「おう、気をつけてな」
この「気をつけてな」の意味は、水着を着た女の子達を狙うオオカミ男に狙われない様に願ってますの意味である。
それから俺はリュックからパラソルテントを取り出し、大吾と共に設置を完了させた。
組み立てにはそこまで労力を使わない簡易式だったため時間はさほどかからなかった。
そしてパラソルテントは美夜が自分のお金で買った物である。
この旅行に合わせ、美夜がパラソルテントが欲しいと駄々をこねていたため、俺は『そんなにパラソルテントが欲しいなら自分でバイトをして買え。そしてついでに旅行代も稼げ』と説教をしたところ、素直に聞き入れ、派遣のバイトをこなしていた。
俺も暇だったから美夜と共に派遣バイトとやらをしてみた結果、単純作業ばっかで死ぬほどつまらなかったが美夜は楽しそうにテキパキこなしていた。
もうあんなつまらないアルバイトはやるまいと考えていたところ、美夜の声がする。
「お二人さんお待たせ! お、ちゃんと設置できてんじゃ〜ん!」
俺は声のする方を振り返る。
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