3話
「くぅ〜今日はいい天気ね! 購買のパンが美味しく感じちゃう!」
「ガハハ!! 夜月は天真爛漫だな!!」
「なにそれ大吾、褒めてるの?」
美夜と大吾がひたすら会話をしている。
(………………気まずいぃぃ!! とてつもなく、気まずい!!)
美夜の良い考えは聖奈さんを誘って昼飯を一緒に食べよう作戦の事だった。
明日のお花見の前に親睦を深めようと提案したところ、快く承諾してくれたらしい。
(せっかくのチャンスなのに話す勇気が……)
『ねぇ賢斗!! なにぼーっとしてるのよっ!! あんたからも何か言いなさい』
美夜が俺に囁く。
(んなもん、言われなくてもわかってる!! よし!!)
「せ、せ、聖奈さん。ほ、本当に今日はいい天気だねぇ。明日もいい天気だと良いねぇ」
(…………俺きもすぎぃぃいい!! どんだけチキンなんだぁぁああ!!)
「賢斗くん」
「ひゃっ、はい!」
「もう、大丈夫なの」
「あ…………うん。心配かけて、ごめん」
「本当に心配だったんだから……何かあったら私を頼って」
「え……!! あ、ありがとう」
(…………こんな俺でも心配してくれる人なんていたんだ。)
急に深刻な会話になり、空気が冷めてしまった。
何か仕切り直しに会話しなきゃ!っと、口を開こうとした時だった。
『ズゴーッ!!!!』
俺らの前に、黄色がかった髪をひよこのピンで留めた小さい子供が通り過ぎて行った……いや、盛大に転んでいた。
「う、うううひょ〜!!! そ……そんなぁ、私のお弁当がぁああ! どうしましょうどうしましょうどうしましょう」
お弁当の中身が転んだ衝撃で弾け飛んでいる。
(なんだこいつ。)
「ことりちゃん……大丈夫?」
「あ、聖奈さん! えへへぇ、見られちゃいましたか」
「私達の目の前を盛大に転んでたもの……嫌でも見る事になるわ」
「ことりって言うのね……私は夜月美夜」
「俺は桐島大吾だ! 宜しくな!」
「ぁあ、えーと、柊賢斗」
「美夜さんに、大吾さんに、賢斗さんですね!! 私は2-C組の胡鳥胡鳥ことりと申します!! ことりって呼んでください!! 宜しくお願いします!」
(……転んだくせに元気だな。)
「ううう……私のお弁当がぁ〜」
「ことり、もし良かったら私達と食べない? 学食のパンならまだあるわよ!」
(俺のお金だけどな!!!)
「え、美夜さん良いんですか? 本当に良いんですか?」
「もちろんよ! さっ、その弾け飛んでるおかず達を拾ってこっちへ来なさい」
「うひょ〜!! やったぁ!! ありがとうございます!!」
『サッ!サッ!サッ!サッ!サッ!』
ことりは物凄い速さで弾け飛んでいたおかず等を回収した。
そしてすぐさま俺らの手元にあったパンに遠慮なく手を差し出し、口いっぱいに頬張った。
「うひょ〜!! この学校のクリームパンは格別なのですぅ〜!!」
「んんんもう可愛いすぎ〜!! ほっぺにスリスリしちゃう!!」
「むぎゃぁ〜!! クリームパンが食べずらいのですぅ〜」
「ねぇ、ことり、あなた何でそんなに急いでたの」
美夜が問いかける。
「えへへぇ、それはですね。 鳥さんにお弁当のおかずを分けてあげようと思って追いかけてたのです。そしたら案の定逃げられたので全力で追いかけてたのです!!」
(ああ、こいつはバカだな。)
「へぇ……なんか楽しそうね!! 私も今度混ぜてよ!!」
「抜け駆けはずるいぞ!! 俺も混ぜてくれ!!」
(訂正、こいつらバカだな。)
「ねぇ、ことり。もし良かったら明日空いてたりしない? みんなでお花見をする予定なんだけど」
「うひょ〜!! お花見ですかぁ? 私、桜大好きです!! 是非ご一緒させて頂きます!!」
「決まりね!! 明日12時に双葉公園の時計塔の下に集合よ!! 遅刻した人は買い出し確定!!」
(まぁ、人数多い方が楽しいだろうし、聖奈さんと話すチャンスだ!! 全力で楽しむぞ!!)
こうして、ことりを含め5人でお花見をする事になった。
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