第04話 受理されない理由
交番からの帰り、半次郎は先ほどまでの警察官とのやり取りに、憤慨を覚えていた。
被害届を出すため、暴漢たちに襲われた一連の事象を話していた時のことだ。
最初、警官たちは、真面目に話を聞いてくれていたが、暴漢らの特徴を挙げていく最中、敗れた暴漢の袖を見せると、ギョッと表情を曇らせた後、それまでの姿勢を一転して、ぞんざいな態度を露わにしてきた。
嘘なんじゃない。
作り話でしょ。
こっちも忙しいんだからさ・・・
明らかに、この話に関わりたくないという態度に出てきた。
やるせない気持ちになったが、日中の仕事で、そこそこに疲れたところに暴漢騒ぎ、その後なのに警察の、この態度。
もういいです、と言って、駅前の派出所から出てきた。
このためだけに、駅まで戻ってきたというのに、なんていう態度だ。
これでも税金で食ってる公僕か。
この税金泥棒め。
ひととおり、警察官への態度に憤慨した後、被害届とともに提出しようとしていた、暴漢の衣服の袖部分をポケットから取り出し、改めて見てみると、紋章がきれいにあった。
思えば、警察官の態度が一変したのは、この紋章を確認してからだ。
半次郎は、改めて自宅への帰り道を急いだ。
帰宅後、しまったと思った。
自宅が荒らされていたからだ。
これを確認してから警察へ行くべきだった。
くそっ
部屋を確認すると派手に荒らされてはいたが、不思議と金銭や転売できるような価値のあるものは、そのままであった。
ほんとに今日はもう、散々だよ!
部屋を最低限片づけた後、冷蔵庫から持って来たビールを開けた。
パソコンを立ち上げ、あの紋章を検索する。
幸い明日は祭日であったため、時間を気にすることなく検索を続けることができた。
2時間ほど検索した後、関係ありそうな箇所を特定することができた。
何なに・・
マサガミキョー・・
画面を見ると、宗教法人「真神教」という教団の紋章にそっくりなことが分かった。
うわーー、宗教サマだよ。
気持ちわりー。
つか、なんで、こんなところが関係あるんだよ?!
半次郎が検索したディスプレイには、真神教のホームページが映し出されていた。
---
駅前の派出所の中。
若い警官は、先ほどのことを思い出していた。
暴漢に襲われたと被害届を出そうとした人物は、名前を半次郎と名乗り、話だした。
自分も世間一般には十分に若い部類に入るが、先ほどの者は、更に若い者であったにも関わらず、半次郎という古めかしい名前を持っていたいたので、記憶に残っていた。
半次郎が一通りの話を終えた後、証拠品として提出しようとしていた暴漢の衣服の方切れを出すと、傍でその事情徴収見ていた上司から、突然、後ろから肩を叩かれ、奥の倉庫へ一緒に来るようにと指示を受けた。
訳も分からず、彼をそのまま残すと、その上司から、「それ」に関わるなという「業務命令」を受けた。
なんでだろう、と思ったが、この地域に赴任してきたばかりの若い警官は、何かあるんだろうな、くらいに思い、なるべく半次郎の話をはぐらかし、帰宅を促した。
若い警官は、わだかまりが残りつつも、終業時間までは、まだ仕事があるし、この後すぐに警ら巡視もあるため、気持ちを切り替えて仕事に向かった。