第01話 プロローグ
ーー注意ーCAUTIONーー
この物語はフィクション(創作物)であり、実際の人物・事件・場所とは、全く関係ないため、お断り申し上げます。
This story is fiction, and it has nothing to do with the actual person, incident, or place, so I decline it.Thank you
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第一話 プロローグ
後の世に、大化の改新と呼ばれた時代。
長きに渡った戦乱が終わった時代とされるが、戦乱を終わらせた本当の集団は、時の権力者から表舞台から抹消された存在となっていた。
歴史の陰に隠れたのは、権力者と集団、どちらの意向であったのか、定かでなない。
その真実すら、その当時の者でも本当に把握している者は皆無であった。
時の政権すらも転覆させられる程の力を所有していたことから、権力者側の意向が強く反映されたと、誠のしやかな噂も挙がったが、あくまでも推測の域を出ないものであった。
その中でも人々の一番の関心は、その者らが何処の誰々とというものであった。
曰く、その集団は若狭国を根城とする佐渡椿の一族ではないか、もしくは陸奥国を中心とした奥真の一族でないか、というものがあった。
しかし真実にたどり着けたのは、ほんの一握りの者だけであった。
奈良の都のとある豪邸の一角、そこに皇極天皇と呼ばれ、後に斉明天皇と呼ばれる女性と、御神宗明と呼ばれる黒装束の男がいた。
黒装束の男は、黒子の様に顔を黒い布で覆い、皇極天皇と向かい合わせにいた。
「また日向国(現在の宮崎県)へ戻るのか、宗明。もう一度問うが、歴史の影に潜ることなく、表舞台で立ってみたいとは思わないか。
そなたの力が民に知れることなく、時代が過ぎるのは、我は心苦しい。」
「我が草薙の一族の宿命は、古来より天照大御神の子孫らを影から守護することである。
我らの存在を隠すことこそ、我が望み。
我らを気遣うなら、それは不要。
心遣い感謝する。」
なおも皇極天皇は、発言しようとするが、それを察知し、宗明は溶けるようにその場から、姿を消した。
皇極天皇は、その場から動かず、月を見上げながら、独り呟く。
「宗明、いつの日か、民が、そなたらの活躍を知る日まで、長らえよ。」
奈良の夜空には、月の光だけが輝いていた。
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時は現在に至る。
イアイダーと呼ばれた男、針貝半次郎は全てを終え、高千穂の地に立っていた。
彼は、彼の頭の中で流れる言葉を口にする。
「誰が、此処に、辿りついたのか。」
・・・その者こそ・・・・
彼は、ここでない、遠くの景色に思いを馳せていた。