プロローグ
「唯那!今日のテストどうだった?」
「麻里佳ちゃん……うーん、普通かなぁ」
「そう言っていっつも高得点取ってくるからねー、唯那は」
「まあ、それなりに点数は取らないとお母さんが厳しいから」
「あー、そういえば唯那のところはすごい厳しいんだよね?」
「うん、1人で旅行とか行かせてもらえないしね」
「それは、唯那の方向音痴がひどいからじゃ……」
「うぅ、わかってますよーだ!」
「どうどう、そんなに怒らないで。ね?」
「別に怒ってるわけじゃないけど」
「それよりさ!今日学校終わったら一緒にカラオケ行かない?」
「いいけど……2人で行くの?」
「たまにはさ、2人で楽しまない?」
「…そうだね!」
「じゃあ決まり!」
私、五刀 唯那はいつもと変わりなく学校で数少ない友達、四条 麻里佳ちゃんと他愛もない話をして盛り上がっていた。クラスの前の方ではカースト上位の陽キャたちがワイワイ盛り上がっていたし端っこのほうではオタク系の男の子がアニメの話をして盛り上がっていた。私のクラスは上下関係なんかはなくみんなそれなりに仲がいいのでオタクの子達の中にも陽キャが混ざってたり逆もあったりと和気あいあいとした雰囲気が漂っていた。
そんな私達の普通の日常は突然終わりを迎える。
???国???城地下祭場
「さあ、皆さん。私達の悲願である勇者召喚を遂に行う日がまいりました。それも宮廷魔導士の皆さんの力によるものです。感謝いたします」
「儂からも礼を言わせてもらう。皆よくやってくれた。では、話はこの辺りにして儀式を始めよう」
『世界を覆いし闇を払う聖なる星々よ 今ここに顕現せよ』
???
「ハハッ、人間達が遂に奥の手に手を出したか。だが、俺がそれを見逃すと思うなよ?……と言いたいところだが、ここからでは阻止しきることはできんか……まあいい、妨害だけでも行っておこう」
「魔術阻害」
私達は、一日の授業を終えて教室でホームルームをしていた。
「それじゃあ、明日はテスト最終日だ!みんな気合入れていけよ?」
「「「はい!」」」
「じゃあ今日はここまで。日直、挨拶を」
「起立」
「気をつけ」
そして、日直の子が礼と言おうとした瞬間だった。突如として教室の床が眩く光り始めた。
「何が起こってる!?」
先生も含めてみんなパニックになっている中、オタクの子達は冷静に分析していた。
「このパターンは……」
「これは、異世界に転移するための術式かと」
「い、異世界!?」
そして最終的にみんなが理解するよりも早く、光が強くなり私達はこの世界から消えた。