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死花咲かす少女の庭園で  作者: ハバネロあんこ
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小国の功労者

――舞台は少し前に遡る。



少女の名はロセリア。

齢16歳にして最強の魔術師と名を馳せる。

只の魔力持ちならば平民にすら存在していた。

しかし、この世界において魔法を意のままに操れる者は、極僅かな天賦の才持ちだけである。


北の弱小国オロゾルカを大陸の覇者にまでにしたのは、この少女の武功と誰もが称えた。

愚かな一部を除いて。


――


「昨年は南の地ネブルヘイドも属国に落とした、いまこそ東の帝国イーザヴァルを攻める好機である!」

声高に宣言するのは、この国オロゾルカの王子にして勇者と称えられる「カルバード」である。

《おおおおおおーー!》

大会議室の窓がビリビリ震えるほどの勝鬨をあげ、応えるは大将軍猊下と武官達である。



それと対象的に宰相、財務大臣と文官達は冷ややかな反応であった。

「カルバード様、先の勝ち戦の武勲は見事でございましたが、遠征において国財が減り疲弊しておるのは敗国と同様でございます。本年度の総歳出概算の書面は目を通されておりますかな?」


「うぐ・・・しかしだな」

ノウキン王子は答えに詰まり、目が泳いだ。


「やれ、我らは賊ではございません。属国を持てばそれ相応の国費を使います。瓦礫と化した戦地の支援へ回さねばならないのです、勝戦は国へ栄華を齎すとともに国力も削ります。いまは立て直しの最中でございますぞ」


ノウキン達は属国や敗戦国から富だけを吸収できると勘違いをしている。

国土の広さ=富だと信じている節が見えた。

国富とは戦後の国頭の采配と民の力で開拓してこそ得られるものなのだが。


***


「どうして幼子でさえ判りそうなものを・・・」

「勇者などと祭り上げるバカ共が多いせいでしょう」

宰相の執務室で初老の重鎮二人は深いため息を漏らす。


「民を蔑ろにしておれば内乱が起こるであろうに」

「さよう、いまだ反抗勢力がのさばっておる。奴等は先導し国を瓦解する機会を狙うだろうな」

王子の手綱を引くべき国王陛下は床に伏している、それゆえに将軍らがこれ幸いとばかりにデカイ顔をして議会を掌握しつつあった。


「ノウキンに国を任せたら1日で滅ぶぞ」

宰相リーレンは頭を抱えた。



ノックとともに従者がとある人物の来訪を知らせた。

「入れ、待ちかねたぞ」

従者の陰からおずおずと小さな客人は顔を覗かせた。


「畏まらんで良い、ロセリア。お前の好きなマシュマロがあるぞ」

従者に背を押され少女はぎこちなくカーテシーをした。


「お久しぶりでございます、叔父様」


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