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第一話『異世界に召喚されました』

目が覚めて気がつくと木造の家屋のような所に居た、覚醒したばかりで朦朧とした意識の中周囲を見渡してみる。

羽の生えた人の像、その後ろにはカラフルなステンドグラス・・・まるでゲームに出てくるような教会そのまんまだった。


「こ、ここは・・・?確か普通に家で寝たはずなんだけど・・・。」

「気づかれましたか?光の中から現れましたが、もしかして・・・。」

「うわぁっ!?」


声のする方を向けば見たこともない風貌の人達がいる。

俺に喋りかけてきたのは見た目は女の子だが、まず日本では見かけない金髪に長い耳をしている女の子だった。

この異様な光景を見て、少し頭の中が整理されてきて先程の女神とやらの会話を思い出す。


「そうだ・・・、たしか女神とかに声をかけられて、それで異世界に・・・。」


手足の感覚を確かめる、魂を肉体から分離したと言っていたが普通に何ら変わりないように見える。

つねれば痛いし、ものに触れている感覚もある・・・、どうやら動きに支障はなさそうだ。


「ということはやはり女神様の使徒の召喚士様なんですね!」

「え?召喚士??どういうこと???」


話を聞こうとしたその時、教会の入り口が荒っぽく叩かれる、どうやら穏やかでは無さそうだ。


「詳しい話は後で、召喚士様はまだ顕現されたばかりですし右も左もわからないでしょう、ひとまずこちらへ。」


彼女の仲間とおぼしき人達が教会のカーペットをめくりハッチを開ける、どうやら抜け道のようで薄暗い地下通路に通じているようだ。

俺は彼女の言う通り、この異世界?に来て何もわからない、俺のことを召喚士と呼ぶのも全くの謎だ、まずは知らねばならない。


言われるがまま俺は彼女たちについていく、その途中にこの世界について色々と教えてもらった。


まずこの世界は群雄割拠の戦乱の世の中だということ、さらに人間同士での戦争続きなのに魔界と呼ばれるところから魔王の軍団も進出してきて混迷を極めているらしい。

話を聞けば聞くほどこの世界は現実離れしている、異世界というしかない場所だ、刺激を求めて非日常を渇望していたがまさか実現するとは思いもよらなかった。


「世界については大体わかった、だけどまるでわかっていたかのように君たちが居合わせたのはなんでなんだ?後は何か追われてるみたいだったけど。」

「私達があの場に居たのは偶然じゃありません、予兆があったからです。」


「予兆・・・?」

「はい、詳しい詳細は省きますが、召喚士様が現れる時に特有の予兆が現れるのです、それを見つけ先んじてあの場に居合わせたということです。」


なるほど、そういう特定の何かがあるなら出現に合わせて待ち伏せることも出来るわけか、ん?ということは・・・。


「待ってくれ、つまり俺以外にもこの世界に来ている人がいるということか?」

「はい、女神様の祝福を受けた召喚士様が我々の知るところでもう何人かいらっしゃいます。」


あの女神、この世界を救ってくれと頼んだくせに他にも人をよこしていたのか・・・。


「あの入り口を叩いていたのも同じように、召喚士様を狙った王国兵です。」

「王国兵?つまり君たちは反乱軍か何かなの・・・?」


「いえ、私達は元々は女神様を信奉する教団でした。しかし今の王になって召喚士や女神を信ずる事は禁止、信徒たちは弾圧処刑され、生き残りはこうやって地下に潜ることになったのです。」

「つまり俺も命を狙われていたのか・・・。」


いきなり異世界に送られたというのに、歓迎どころか命を狙われることになるとは、開幕からハードモードで気が重くなる。

しかしこの世界には俺みたいな異世界から送られてくる存在がよくあることみたいだ、国規模で捜索させられているみたいだからかなりの異世界人がここに来ているのだろう。


「そういえば、俺のこと召喚士って呼んでたけど、それってどういう事?」

「魂を司る女神様の祝福を受けた方々の共通した特殊な力がその名を表しております、魂を引き寄せて顕現させ従える能力だそうです。」


なるほど、それは確かに召喚だな・・・しかし女神からはその扱い方については何も聞いていない、どうすればいいのだろうか。


「詳しいやり方などは大司教様にお聞き下さい、大司教様も召喚士として顕現なされたお方なので。もうすぐ外へ出ますよ。」


長く薄暗い抜け道をやっと抜けて出口ドアが開く、外の明るさに一瞬視界が真っ白になって目が眩む。


「動くな!やっと捕まえたぞ背教者どもめ。」


目が慣れてきて周囲の状況がわかる、鎧を着た兵士が周囲を囲んでいた。

どうやら抜け道は把握されていたらしい、これならおそらく後ろからも追手が来ているのは想像に難くない。


「無駄な抵抗はやめてその異世界人を引き渡してもらおうか、そうすれば貴様ら背教者は見逃してやらんこともない。」


彼女たち教団の信徒たちは俺を庇うように兵士たちの間に立ちふさがる、そして腰に隠してあるナイフへと手を伸ばしているのが見えていた。


「お、俺が出ていけばほんとに見逃すんだな!?」

「しょ、召喚士様何を!?」


立ちはだかってくれている彼女たちを割って前に出る。正直この世界のことはまだよくわかっていない、しかし彼らも理性ある人間だと思う。

その証拠に彼らは俺たちを問答無用で攻撃してこないし、狙いは俺だけみたいだ。それなら彼らとの話し合いの余地もあると、そう思ったのだ。


「君たちを犠牲にすることは出来ないよ、俺まだ来たばかりで何も知らないからさ、俺が捕まれば見逃してくれるって言うならそうさせたほうがいいよ。」

「ダメです!あなたは騙されているんですよ!彼らの交渉に乗ってはいけません!」


そうは言っても、いくらなんでも俺のために犠牲になってもらうのは申し訳ない、色々と物騒だがいくらなんでも命までは取りはしないだろう。


「中々物分りがいいじゃないか、よし!ひっ捕らえろ!」


俺が隊長クラスの人物と思われる兵士の前にでて素直に拘束される。

その様子を見ると彼は号令を下し、信徒たちはまたたく間に捕縛されてしまう。


「なっ!?どうして!?話が違うじゃないか!!」

「お前達異世界の人物は頭がお花畑で助かるよ、綺麗事を並べればすぐに信用するからな。」


こうなるなんて予想打にしなかった自分が甘かったのか、この状況に至って悔しさと後悔がこみ上げてくる。

ここは異世界だ、自分の世界の常識が通用しないなんて当たり前じゃないか、そんな事も今になって気づくほど馬鹿だったのか俺は。


「あいつら教団の信者たちはアジトを吐いてもらわねばならん。しかしお前のような召喚士は存在そのものが危険でその場での処刑も認められている、覚悟!」

「___っ!!」



「諦めるな、貴様も召喚士なら魂を召喚してみせろ!」



もう駄目か、そう思った瞬間刀を持った人物が乱入し一瞬で数人を切り伏せると信徒たちを救出する。


「くそっ!増援か!!」

「万が一を考えて行動するのは兵法の基本だ、よく覚えておくのだな!」


突然の乱入者に乱れが出るも、彼らも兵士だ、すぐに態勢を立て直す。

そして俺はというと、情けないことにまだ兵士に捕まったままだった、特に身体能力が高いわけでもない俺が屈強な兵士に捕まったまま抜け出すのはまず無理だ。


「お主、此度に顕現した召喚士なら何か召喚してみせよ!それが今助かる道だ!」

「しょ、召喚するって言ったってどうやって!?」


まだ召喚するやり方も何も知らないのだ、どうすればいいのかもわからないのに無茶なことを言ってくれる。


「お主の理想を強く思い描け!そうすればそれに見合った者が出てくるはずだ!」



理想、理想の人物を想像すればいいっていうことか!

俺は今にも殺されそうだ、早急にかつ手早く教えてもらった通りに想像する。



まずはこの状況を切り抜けられる強い人物がいい、加えるならさっきみたいなドジをしないように賢い人物がよさそうだ。



そういえばこの前アニメでみた歴史上の人物にそんなの居たっけな、かなり脚色されていたが有名人だしこの状況も切り抜けられるだろう。



確かどんな名前だったか、色々ありすぎて咄嗟に名前が出てこない。なんでこんなときにど忘れするんだよ俺は・・・!



ええと、あだ名!そういえばあだ名みたいなのがあったはずだ・・・!たしかそのあだ名はええと・・・!



「たしか、第六天魔王・・・!」

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