◇1 part1
村田冥 レート61.00
村田冥(赤) レート79.00
パイロマン レート75.00
ラクダ レート73.00
サイローガ レート70.00
目星リュウト レート80.02
村田冥(白金) レート82.00
真夜 レート80.00
水原 レート60.01
水原(覚醒) レート70.02
械格 レート41.00
械格(紅) レート73.03
真有 レート52.00
真有(群青) レート70.02
マクロマル(神化) レート80.02
#1 激動
『全国INバトル選手権っ!!!』
「バカじゃねぇのか?」
一人の少年は目の前のPC画面に映る妙な言葉並びに反応する。
少年、村田冥はマウスクリックを連続で二回行う。
すなわちサイトにアクセスした。
『現在980人目の参加者様。よろしくねーっ☆最初にSNと性別の選択をお願いします』
SN「mei」、性別「男性」。
ごく普通に登録を済ますとPCを閉じてその場で眠ってしまう。
部屋で眠っている冥の後ろに年下の女性が現れる。
冥の妹の、村田真有。
身長170sm前の冥より20sm程度下の真有はうつ伏せ状態の兄貴の耳元で
「ねーねーINバトルにさっき登録された『mei』っての兄ちゃん?」
揺さぶりながら真有が聞くと
「・・・ああそうだけど?・・・ってオマエもやってたのかよ!!!」
冥は飛んでいる人間でも見たかのように飛び起きる。
真有の唖然とした姿を後目にPCをこじ開ける。
『通知:まう さんがあなたをフレンド登録しました。』
『通知:まう さんがコミュニティ『M’s』にあなたを招待しました。』
冥はとりあえず真有をフレンド登録して『M’s』に入団する。
「なぁ、このM’sってヤツのメンバーとエンカしたことあんの?」
“エンカ”とはインターネット上で知り合った相手と実際に会うことである。
真有はようやく我に返ると
「同校の友達と兄ちゃんのいつものだよ」
さらに
「つくったのは私」
と付け足す。
「はー。でさでさ?このサイトは具体的に何すんの?」
「それさ、私だってよくわかんないんだよ」
と、そのとき
『全プレイヤーの皆さん?ごきげんよう。』
PCより、突然ある男性の声が聞こえた。
『ワタクシの名前は『Mr.パイロマン』。このサイトの運営長です。
さてさて、このサイトをご覧の皆さんにある能力をさしあげます。
能力は個人で特有の差があると思うますが、とりあえず確認してみていただきたいです。』
「能力?」
冥が呟くと二人の手元に妙な光が漂う。
光は手に食い込まれてゆく。
「「えーっ、すご」」
『皆さん感激の最中だと思われます。
能力を発動させたいのなら、頭に“能力が使える”と念じてみてください。
さあ。』
冥と真有はそれを聞くと
(能力よ発動せよ)と中二チックな念を唱えてみる。
一分程度経つと
早速冥の能力の反応が現れる。
周囲の小物類が冥の手元に集まってくる。
さらに真有の手元からなにやら水晶のようなものが現れた。
『大半の方々の能力が発動したようですね?
ではここでこのサイトの存在する目的についてお話いたしましょう。』
『皆さんは今街の警察官です。
現存する警察官とは少し違う、特殊部隊と呼ぶべきでしょうか。
皆さんが今すべきことは外に出て治安維持活動をすることです。
能力の使用に制限はありませんよ。』
「ふざけんなよ!!!勝手にポリにされたじゃねぇかよ」
冥は浮かんだ小物類を散乱させる。
真有も落ち込んでしまう。
『なぁに皆さん。
そんなにガッカリしないでくださいよ。一回外を見てみるのもいいですよ。』
言葉につられて二人は外に出てみる。
いつも通りの住宅街。
いつも通りの通行人。
「なんもないじゃん」
冥が呟くと、突然街のスピーカーから
『やあやあワタクシ、Mr.パイロマンですよ。
さて。まずは街を通る人を凝視してみてくださいね』
真有は既に気が付いていた。
通行人の『スペック』が脳に送られてくる。
冥もそれに気が付いた。
『ここは仮想現実。皆さんの見ている人々は現実のと忠実にリンクさせてありますし、もしも影響を与えれば実際の現実の人々にも同影響が与えられます』
『ここを抜け出したけりゃ、この全日本の犯罪を全て解決してください。
手段は問いませんよ。』
言い放ってパイロマンは通信を切断する。
「冥」
真有が肩に手を乗せて
「面倒だけどやることは一つしかないね」
「正しくは一通りな」
冥はそう言うとスマホを取り出してM’sのメンバーに合流を招致する。
パイロ・ゲームの幕開けだ。
街の中心部にあるとある公園。
そこにM’sのメンバーは集合した。
メンバーは四人。
青髪の村田真有。
その兄で黒髪の村田冥。
冥の親友である金髪少年、水原叶春。
さらに真有のクラスメイトの少女が一人。
身長が一番高い水原はメンバーの姿を見渡した。
無論、身長はこのゲームにそれほど影響しない。
「でさ?折角四人いるんだし、でっかい事件解決しないか?」
冥が最初に切り出す。
すると
「賛成です」
真有のクラスメイトの一人が返答する。
「村田くんのスペックを確認したところ、動力操作。ランク付けされていてしかも凶悪事件の解決に向いているらしいんです」
そう付け足す。
「オレも賛成だぜ」と水原。
「たしかに、ここにいる人みんな高ランクだもんね」と真有も賛成する。
要するに殺人クラスの醜い事件の犯人を拘束して無力化することをメインに進めるようだ。
作戦会議の為に四人は「Gymic Host」という普通のファミリーレストランに陣を置く。
この仮想現実でも経済の仕組みや人物関係は現実と見事にリンクされているらしい。
となるとこのファミレスにも周りに一般客がいるようだ。
「殺人事件なんて手っ取り早く路地裏とか探せばいいんじゃね?」
「いいや」
冥の意見に対して冥は
「相変わらずそういう事件を一番多く扱っているのは現実の警察署だろ?
そこに能力を使って潜入して情報を盗む」
「それこそ犯罪じゃん」と水原。
「Mr.パイロマンが言ってたろ?“手段は問わない。”」
「たしかにな・・・」
水原はドリンクバーから持ってきたジュースをメンバーに配る。
すると真有が
「そーいえばさ。みんなの能力おしえてよ」
「スペックを見りゃわかるだろうけど、オレの能力は放電能力。
使い方によっちゃぁPCごとハッキングできちまうぜ」
水原が最初に答える。
「ワタシの能力は鉄鋼防御です。体に鋼を纏ってある程度の攻撃は防ぐことができます」
真有のクラスメイトの十条美奈も続いて答えた。
「おれの能力は知ってるよな。それよりオマエの能力は?」
冥は真有の方を見る。
「水晶操作。水を空気中の窒素と化合させてエレメントを作り出す能力。
だけどランクはそこそこなんだよね」
「なるほどなぁ」と水原。
「それぞれ使い方次第だね」と冥。
四人は話を進めながら食事をも進める。
食事が終わりに差し掛かったそのとき、
「このミセは俺らが占拠した!!!おとなしくしないと殺すぞ!」
ここぞといわんばかりに黒マスクの集団が店に乗り込んでくる。
「ったく、治安悪いな」
「テメェもだ。口を閉じろ」
集団のメンバーの一人が冥達のいる席に現れる。
「お断りだね」
「んだと・・・??」
冥はピストルの銃口を向けられる。
冥はそれに動じずにピストルごと弾き飛ばす。
“初陣だ”と言ってその男性を取り押さえる。
しかし集団は諦めないで冥を囲む。
そのとき。集団が弾丸を放ったそのとき、
十条が冥をカバーする。
後ろから水原の放電が飛んで連中が動きを封じられている間に
真有の水晶を冥が飛ばして集団のメンバーは皆気絶する。
初陣にしては最高のチームプレー一つの犯罪を無力化できた。
冥と水原はハイタッチする。
どうやら拘束した犯罪者はMr.パイロマンの工作で回収されるらしい。
「いやぁいやぁお見事だったねぇ。
アナタ方がこの『パイロ・ゲーム』最初の依頼達成者だよ。」
四人の前に一人の長身の男性が現れる。
そう、Mr.パイロマン本人だ。
「どうしたんだい」
「ここにオレらを閉じ込めた目的はなんだ」
水原は攻撃的な調子で言う。
「そうだねぇ。説明したまえ」
するとパイロマンの後ろから二十代ぐらいの女性が現れる。
「アナタ達は大半を学生が占める。
これは次世代戦力の育成なんですよ。」
そう言って女性は去ってしまう。
「・・・!!!」
「先程の女はワタクシの妹。
因みに彼女も能力者でアナタ方に協力してくれるんじゃないかな?」
冥が何か言おうとすると
「アナタ方はセンスがある。他の者にも伝えてあるんだけど第一クエストだ。
この仮想現実には犯罪者側に加担する能力者組織がある。
そいつらを無力化してほしい。
報酬もあるぞ。
能力者を撃破した能力者は『レベルアップ』するからね。
くれぐれも考えて達成したまえ」
「・・・。」
「ごきげんよう」
そう言うとパイロマンは去ってしまう。
隣町に拠点を置く一人の能力者がいる。
名はマフィア。高校生ぐらいの容姿をした女性だ。
このパイロ・ゲーム有数の高ランク能力者でトップ7だ。
マフィアが拠点を置くその町にはある犯罪加担組織のアジトがあった。
パイロマンの話を聞いた冥は
「あのさ、二手に分かれないか?」と切り出す。
真有が
「どうやって分かれるの?」
「男女」
「いいかもしれん」
水原が答える。
「私はいいよ。十条は?」
「乗ります」
十条も賛成する。
冥は“よし、行こう”と水原を連れて去る。
「なんで分かれたんだろう・・・?」
「たしかに・・・」
二人は顔を見合わせた。
これには冥のある大胆な考えがあった。
パイロマンは管制室に戻る。
「・・・分かってますねぇ。meiって人」
パイロマンはモニターを眺めながら
「ワタクシに目を付けられたことで集団ほど狙われやすいってね」
パイロマンがそう言うと妹の方も微笑んで
「期待できそうですね」
「・・・ふ」
こんにち、わんこ。
いやぁのうりょくのかつやく
tのしみですねーーーーーーー。(語彙力)