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テオ、無双?

昨日投稿したロイド達の賭け、その中で人物の描写が全くされていなかったのに気付き、短い文ですがトーマが鑑定した人物に少し描写を足してます。


本当に簡単な描写なので、登場人物の姿は自分で脳内変換してるぜって方は見なくても大丈夫だと思います。


脳内設定で満足して文字に書き起こすのを忘れてしまうのはやめようと気を付けているけれど、勢いに乗って書いているとどうしても出てしまいます(汗)


ついに決闘が始まる、最初の相手はジーザだ、向かい合う距離は十メートル程、準備が整った所でハミルが合図を出した。


「始め」


合図がかかった瞬間に楽しそうにテオが飛び出す、全く緊張しないテオは本当に凄いな。


向こうはテオを舐めていたのだろう、ヘラヘラと笑っているジーザにテオが一瞬で詰め寄る、そしてテオは躊躇無くジーザのお腹に右足を突き刺す。


「なっ、ぐぇっ」


踏み込んだテオの蹴りをまともにお腹に受け、ジーザの体がくの字になる、そのままテオの左足がジーザの顔を蹴り飛ばすとジーザは呆気なく吹き飛んだ。


「勝者テオ」


ハミルの声に、一拍遅れて周りから大歓声があがる、ニル達は呆気に取られ口をパクパクさせている、そしてドルント達は笑みを浮かべながら面白そうにテオ見ていた。


次の相手はゲイラン、ニルから油断するなよと声が飛ぶ、そして対峙する二人。


「うっ、うわ、このっ」


先程と同じ様に合図と共に飛び出すテオ、ゲイランは慌てて剣を振るうがテオはゲイランの少し手前で進路を変えて剣を躱し、剣を振り下ろした体勢のままのゲイランの横っ腹に右足を突き刺す、そしてくの字に折れたゲイランの横っ面を左の拳で殴り飛ばした。


「勝者テオ」


再びの大歓声、ニル達は何か揉めているが今更慌ててもどうしようもないだろう。


次の相手はクズノス、槍使いだ。


「始め」


ハミルの合図にまたも飛び出すテオ、だが向こうが槍を突いてきたので一旦止まり、様子を見る。


既に仲間が二人やられているのでクズノスもかなり真剣だ、槍を油断なく構えている、ジリジリとテオが近づく、そして距離が縮まりクズノスが槍を突いた所でテオが突きを躱し、槍を掴んだ。


槍を掴まれたクズノスは力を入れて踏ん張るが、テオが力を入れて槍を引き寄せると堪えきれずにたたらを踏んで前屈みになる、顔が低くなった所でテオがクズノスの顎を蹴りあげる、脳が激しく揺れたのかクズノスは槍を手離し目を回して倒れた。


「勝者テオ」


ハミルの声が響く、周りではニル達に向けてだらしない等の声、そしてテオにはあの子供すげぇと讃える声があがる。


「くっ、くそっ」


ニルが俺を睨む、そして見苦しい言葉を叫んだ。


「てっ、てめぇ卑怯だぞ!子供を出して油断を誘いやがって」


俺は油断を誘ったつもりもないし見た目で判断する方が悪い、と言っても俺も真眼無しでテオと相対したなら油断するかもしれないが。


まぁ既に決闘は始まってるんだ、俺はニルを無視して続きを促す様にハミルを見る。


「次、不戦敗でいいのか?」


俺の視線に頷き、ハミルがニル達にそう言うと、ニルがオーラに何か耳打ちをする、そしてオーラがテオの向かいに立った。


向かい合うテオとオーラ、そしてハミルが合図を出す。


「始め」


気負いの無いテオは再び突っ込む、するとオーラは剣を前に出し、テオを牽制し始めた、腰が引け、飛び込もうとするテオを牽制するだけのその戦い方はまるで勝つ気が見えず、時間稼ぎにしか思えない戦い方だ。


「後ろに任せるつもりで少しでも体力を奪うつもりかな?」


「そうなのかな?でもアイツらが後ろに繋ごうなんて考えをするとは思えないけどね」


攻撃する素振りを全く見せず、防御に徹するオーラを見ながらリズと会話をしていると、テオに最初に倒されたジーザの魔力に反応が出る。


「あいつっ!」


決闘に集中しているテオに攻撃魔法を使うつもりだ、いくら何でもそれは無いだろう、俺は呪文を唱えて飛び出す。


『拍車』


踏み込みを強化する方の拍車を使い、二歩で距離を縮め、テオとジーザの間に割り込む。


『水面鏡』


ジーザからテオに向け、薄く小さい風の刃が飛んで来たので水面鏡で上空に逸らす、一対一で相手に集中している時に見えづらい風魔法で攻撃して隙を作るつもりだったのか、オーラが場に出る前にニルがオーラに耳打ちしたのはこれか…。


「どうしたんだトーマ」


魔法を逸らした後、俺がニルを睨んでいるとハミルが聞いてきた、テオはどうした兄ちゃんという顔を俺に向け、オーラは気まずそうな顔をしている。


突然乱入し、決闘が止まった事で群衆はざわつき、俺に向かって邪魔をするなと野次が飛んで来る、周りで見ていた人達、冒険者も多いのだがテオとオーラの決闘に集中していたので目視しづらい風の刃に気付かなかったようだ。


「け、決闘の邪魔をしたな、おっ、お前らの負けだ」


群衆の空気に乗せられたのか俺に睨まれて焦っていたニルが叫ぶ、邪魔をしたのは自分達だろうに俺のせいにしてテオの負けにするつもりか、まぁそれでもいい、今の不意打ちで完全にスイッチが入った。


「ならテオの負けで、次は俺が出るよ」


「ばっ、馬鹿野郎、邪魔をしたんだからお前らの負けだ」


怯えながらも叫ぶニル、だが助けに入る事の許可は得ていたはずだ。


「テオが負けそうだったから助けに入っただけだよ、仲間が負けそうなら助けに入ってもいいと決めていたはずだけど?」


俺がハミルに確認をするが尚もニルはお前らの負けだと叫ぶ、ハミルが何か言おうとした所でニル達の後ろにいたドルントが口を開いた。


「見苦しいぞ、お前の仲間が最初に風魔法を使って決闘に横やりを入れたんだろうが。お前らの負けだ」


ドルントの言葉に目を見開くニル。


「ドルントさん何をっ、おっ、俺達は魔法なんて使ってませんよ」


魔法を使っていないというニル、冷たい目でニルを見ていたドルントは仲間のナンシーに顔を向け、説明しろとでも言うように顎でしゃくる。


「私ね、魔力を感知出来るの」


ナンシーがドルントに頷き、集団から前に出て、周りの群衆にも聞こえる様に大きな声で喋りだした。


「二人の決闘を見ていたらそこの彼から魔力の高まりを感じたの、何かと思って見ていたら彼がいきなり風魔法を打つんだもの、ビックリしたわ。そこの坊やはそれに気付いて魔法を防ぐ為に飛び出しただけよ」


ナンシーが出てきて様子を伺っていた群衆が、ナンシーの説明を聞いて再びざわつく。


「今の説明は確かか?」


ハミルに聞かれたので頷く、するとハミルはニルとオーラを睨んだ後、テオの勝利だと告げる。


「仲間の不正によりオーラの敗けとする、ニル、お前も敗けだ」


ハミルの強い口調に押し黙るニル、だがテオがその決定に口を挟む。


「おっちゃん、向こうの反則敗けは一人でいいよ、俺はあの人とも決闘したい」


テオがニルを指差す、いつもの訓練と違うのでテオは純粋に沢山戦いたいだけだろう、だがニルはテオに舐められたと思ったのか顔を赤くして激昂している。


ハミルはテオの言葉を聞き、しかしなぁ、と言いながら困った顔で腕を組む、するとドルントが笑いだした。


「はははっ、面白いじゃないか。どうやらそのチビはまだまだ戦い足りない様だ。おい、お前、反則敗けにならなくてよかったじゃないか」


ドルントは笑いながらニルに良かったなという。


「えっ、あっ、いや、俺は…」


テオの言葉に顔を赤くして激昂していたニルがドルントの言葉に戸惑う、舐められたと思って激昂していたが冷静になるとテオには勝てないとわかっているのだろう、ニルの慌てた様子に楽しそうに笑っていたドルントが真顔になる。


「詳しい経緯はしらないが少しだけ話は聞いた、これはお前が望んだ決闘だろう?向こうもああ言ってるんだから勿論戦うよな?それと、さっきから俺の名を気安く呼んでいるが俺はお前を知らないぞ、依頼を終えて帰ってきたら面白そうな話になっていたから乗っただけだ、まさか今噂の兎の前足と戦えるとは思わなかったからな」


なんだ、ニルが一方的にドルントを知っていただけか、ニルの言い方からドルントはニル達の兄貴分的な立ち位置なのかと思ったがドルント達が参加したのは俺達と戦いたいだけだったようだな、俺が一人で考えているとナンシーが笑いながら話し掛けてきた、色気のある大人の笑みだ。


「それにしても坊や凄い動きするわね、それに魔力の動きも滑らかで見事だし無駄も無いわ、テオちゃんもとっても強いし貴方達は噂だけじゃないみたいね。」


ナンシーがテオを助けた時の俺の動きや魔力の扱いを褒める、それにしても坊やって、確かにナンシーは大人の女の人だなって思うけど…。


「ドルント、あの坊やは貴方より強いと思うわ。もしかしたら噂以上ね、楽しむ余裕なんてないと思うわよ」


ナンシーの言葉に笑みを深めながらドルントが言葉を返す。


「それでこそ参加した甲斐がある、噂を聞いてこの町に来たが正直期待はしてなかったんだがな、噂以上とは面白いじゃないか」


そういうドルントの顔は、決闘と聞いてワクワクしていたテオの顔と一緒だ、ドルントは戦闘狂と呼ばれる人種なのかもしれない。


ナンシーが俺の事を坊やと呼んだり、ドルントがテオと変わらない、ワクワクした顔を見せたりするので憎めない人達だなと思ってしまった、だからと言ってこの決闘は絶対に負ける訳にはいかないが。


「ニル、早く構えろ」


おっと、俺がドルント達に気を取られている間にハミルもテオとニルが戦う事を認めたようだ、ニルがやってやる、やってやると繰り返しブツブツと呟いている。


「始め」


開始の合図とともにテオが飛び出す、そこにニルが持っていた剣を投げつけた。


「うわっ」


手に持っていた剣を投げてくるとは思わなかったのか不意をつかれ、動きの止まったテオに、剣を投げた後で接近していたニルが素手で仕掛ける。


膝蹴り、拳の打ち下ろし、回し蹴りと攻撃を繰り返すニルだがテオはその全てを避ける。


「くそっ、くそっ」


悪態をつきながらニルが懐に手を入れ、ナイフを取りだし尚も攻撃を繰り返すが実力の差は明白だ、テオがニルのナイフを落ち着いて躱し、鳩尾に拳を突きいれ、そのままニルの体を右足で蹴り飛ばした。


群衆の方に蹴り飛ばされたニルを群衆が慌てて避ける、ニルはそのまま派手な音を立てて噴水に突っ込んだ。


「勝者テオ」


ハミルの宣言に大歓声が起こる、噴水に落ちたニルは仲間に助け出されたがどうやらテオの蹴りで左腕が折れたようだ。


ずぶ濡れで腕まで折れ、痛ぇと喚くニルに周りから卑怯者と罵声が浴びせられる、これに懲りて町から出ていくか大人しく従ってくれたらいいけどそうはならないんだろうな、まぁそれは決闘に勝利した後だ。


俺はニルから目を離し、決闘の続きを見る。


次の相手はロイド達に絡んでいた冒険者の一人、ダイマンだ、ニル達との戦いを見ていたのでダイマン達には油断は全く無いようだ、杖の部分を左手に構え、鎖の部分を右手に持ちながら、いつでも攻撃出来るように鉄球を体の横で回している。


「珍しい武器だよね」


俺がダイマンの持つ武器について聞くとレイナが答えてくれた。


「フレイルですね、この辺ではあまり見ないですがステルビアの町には珍しい武器が沢山あるそうです。彼等はステルビアの町から流れて来たのかもしれませんね」


モーニングスターって字面が面白くて印象に残っていたがあの武器はフレイルと言うのか、あの武器も槍と同じ様にリーチが長い、テオはどう戦うのかな。


レイナから説明を受けている間にハミルが合図をする。


「始め」


例によってテオが飛び出す、と見せて動きを止めるテオ、突っ込んで来ると思ったのかダイマンがテオに向けて振り下ろしていた鉄球がテオの前に落ちて地面を砕く。


そのままテオがダイマンに突っ込むがダイマンは後ろに退がりながら杖を使い鎖を引き寄せ、鉄球を大きく回して遠心力を使いながら再びテオに向かって振り下ろす。


テオも後ろに退がって一旦距離を取る、群衆からいいぞぉ、と歓声があがる。


「はあっはあっはあっ、こ、この素早しっこいチビめ」


今の攻防で既にダイマンの息があがっている、太っているのもあるだろうが相当に集中して神経を使っているせいだろう。


それに構わず再びテオが仕掛ける、先程と同じ様に突っ込み、ダイマンの鉄球を誘い、それを右に躱すと同時にテオの右足に魔力が集まる、部位強化だ、その足で地面を蹴ると一足でダイマンの懐に飛び込む。


急に速度の上がったテオから慌てて後ろに退がろうとするダイマンだが、既に懐に入っていたテオが退がるダイマンのお腹を強化したままの右足で蹴り飛ばすとダイマンは武器を手放し群衆の方に転がって行ってしまった。


「勝者テオ」


周りから指笛や歓声が上がる、決闘が始まってから結構な時間が過ぎているが、冒険者はともかく町の人は午後の仕事は無いのだろうか?


俺の心配をよそに次の相手が出てくる、ミーヤに執着しているモストールだ。


足に鉄の脛当てを着けたモストールのスキルは蹴術、俺の格闘術も珍しいと思うが更に珍しいスキルだ。


「へっ、兎の前足だかなんだか知らねぇが兎野郎に絡んで何が悪いんだ。格好つけやがって、俺達は楽しく遊んでいただけだろ」


モストールが酒の瓶をあおり、俺を睨みながら出てくる。


お前らにとっては遊びでも遊ばれる本人には迷惑だと言いたかったが、決闘の時にまで酒を飲みながら出てくる酔っ払いには言っても聞かないだろうなと考え直す。


「トーマ、ちゃんと見ててよ」


隣からリズが声をかけてきた、しっかり見ているよと思いながらも頷く。


「始め」


開始の合図で飛び込むテオにモストールが下段蹴りを合わせる、それを飛び上がって躱しながらモストールの顔を殴ろうとするテオに、モストールが口から酒を吹き掛けた。


それに驚き顔の手前で腕を交差させて酒を防ぐテオにモストールの蹴りが当たり、テオが蹴り飛ばされる。


「「テオっ」」


俺とセオが同時に叫ぶ、がテオはすぐに立ち上がる、右腕を蹴られた様だが大丈夫そうだ、しかし骨にヒビが入ったのか痛そうに二の腕を抑えるテオ。


「っつ、おっちゃん汚ねぇぞ」


「ああん?勝負に汚ねぇもくそもあるかよ。へへっ、あれで折れないとは頑丈な体だがヒビくらいは入っただろ」


「そうじゃなくて、口から物を出すなんて汚いぞ。それに食べ物や飲み物を粗末にするとレイナ姉ちゃんやセオに怒られるぞ」


少し冷や汗を流しているが笑顔で話すテオ、それを聞いてモストールの顔が引きつり、周りの冒険者からは笑い声が起こる、テオを心配する声も出るがそれは町の人だろう。


「トーマもテオと同じで相手はただ酒を飲んでるだけだと思ったでしょ?」


テオが大丈夫そうなので安心していた俺にリズが聞いてきたので頷く。


「初めて見る魔物も厄介だけど一番厄介なのはやっぱり人間だよ、いくら弱い相手でも油断しちゃ駄目だよ」


リズに言われ頷く、俺は鑑定で見えたスキルにばかり目が行って、相手が小細工をするという考えが無かった、モストールを最初に見た時も酔っ払っていたというのもあるが、蹴術というスキルにばかり目を取られて、モストールが決闘前に酒を飲んでいてもただの酒好きなんだとしか思わなかった。


ラシェリにもフェリックにも言われた、素直過ぎるという言葉を思い出す。


俺も相手の動きを見る様にはしているがやはり鑑定で得た情報を優先してそこに注意が向いてしまう、人は自分で得た答えは疑わない、だったかな?ちょっと違うか、とにかく真眼で得た情報だけに頼らず色々な可能性を考えないといけないんだな。


そう思い直して再び二人に目を向ける。


モストールは思ったよりテオが平気そうだったので焦っている、テオは少し辛そうだが構わず攻めていく、そして部位強化したテオの右足とモストールの右足がぶつかり合う。


鉄の脛当てと、木の具足、普通なら鉄の方が固いのだろうがテオの具足は長年生きたタイドゥトレントの素材を使ってスゥニィが作り、テオの魔力が浸透した特注品だ。


「あっぎゃあああ」


モストールの叫び声が響く、鉄の脛当てが砕け、脛の骨が折れたようだ、その場に崩れ落ちるモストール、それを見てハミルがテオの勝利を告げる。


「も、もうテオの出番はいいんじゃないかな?」


ここで敗けを認めればテオは決闘にはもう出れなくなるがもう十分だ、そう思いリズに提案するがリズは首を横に振る。


「まだまだテオは戦いたそうだよ、それに沢山勝つ事で自信もつくし、これはあまり心配はしてないけど敗ける事でテオが増長する事もなくなると思うよ。中途半端に止めるのはテオの為にもならないと思うしね、今は命のやり取りをしてるわけじゃないんだから」


リズに苦笑いをしながら言われてしまい、側にいたレイナも口を開く。


「トーマさん大丈夫です、どんな怪我でも私が治します。それにテオにはまだ余裕がありますよ」


やっぱり俺は過保護だったようだ、リズとレイナにわかったと返して再びテオを見守る。


次の相手はバッゲ、少し短めの矛を右手に持ち、左手には直径三十センチ程の丸い楯を構えている。


「始め」


ハミルの開始の合図と共に、左手の楯を突きだしたバッゲにテオが突っ込む、右に行くと見せ掛け左から回り込もうとしたテオにバッゲが矛を斜めに振るうがそれを屈んで躱し、攻撃をしようとしたテオにバッゲは左手に持った楯で殴りかかる。


それを後ろに退いて一旦距離を取るテオ、その後も何度か突っ込むが、テオは右腕が痛むのか動きが少し鈍く、矛と楯で攻撃してくるバッゲに攻めあぐねている。


汗も右腕の痛みから来る物だけでは無さそうだ、俺の側でいつも濃い魔素に触れ、それを取り込み、更に魔力の扱いも上手くなっているテオの魔力はまだ半分近くは残っているが、テオもまだ十才だ、純粋に体力が無いのだろう、それに楽しそうに戦っているが精神的な疲労もあるはずだ。


俺が心配しながら見守っているとテオの右足に魔力が集まる、勝負に出るつもりか。


そう思って見ているとテオが再び突っ込む、そこにバッゲが楯で殴りかかる、それを飛び上がって躱すテオ、そこにバッゲが右手に持った矛を横薙ぎに振るう。


「危ない!」


俺がそう叫ぶと同時に周りの群衆からも悲鳴が上がる、だが空中でテオが何か言葉を紡いだ。


そしてテオは空中で右足を踏み込む、するとテオの体が空中で跳ね、前方に回転しながらバッゲの矛を躱す。


驚愕するバッゲの顔にテオが回転した勢いのまま踵を叩き込んだ。





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