寝台特急「北斗星」
今日は入学式だけで、午前中で学校が終わった。
小岩剣は、広瀬まりも達に連れられ大宮に行きカラオケをするが、小岩は何を歌えばいいか解らず、とりあえず「銀河鉄道999」や「クイーンエメラルダス」を歌ったがやはり浮いてしまった。
19時にカラオケを終えて大宮駅9番線に向かう。
19時30分に札幌へ行く寝台特急「北斗星」がやって来るのだ。
列車の編成やヘットマークこそ違うが、小岩剣の記憶の中にある寝台特急「はくつる」と同様、赤いEF81電気機関車が牽引するブルートレインである。広瀬は、これを見て小岩の記憶の手掛かりが掴めないかと思い、19時にカラオケを切り上げたのだが、列車を見るという事はすでに小岩はやっていたため、無意味に終わり、とりあえず写真だけ撮って終わりにする。
この列車は2010年の夏に機関車が赤いEF81電気機関車から、新型のEF510電気機関車に変わるのだ。これにより、首都圏でEF81が牽引する定期運行の寝台列車は無くなるのだが、廃止により無くなるのではなく新型に置き換えられるのだから寂しくはない。
だが、寝台列車の置かれた状況は依然厳しい状況にある。
寝台列車は次から次へと開業する新幹線等の高速交通網により、料金も高く更に車両も老朽化が進み、利用者の少ない列車から廃止されて行くのだ。
小岩の家には、両親からの仕送りや貯金で購入した鉄道模型があるが、その多くは廃止された寝台列車の物だ。
「北斗星」を見送った4人は高崎線に乗る。
「群馬に居たな。お前みたいに「銀河鉄道999」をカラオケで歌う奴が。」
と、三奈美は言う。
「群馬には、鉄道マニアの大部隊。群馬帝国国有鉄道、通称「郡鉄」って連中がいる。またの名を、群馬帝国帝都防衛連合艦隊。その中の第4艦隊上信越方面隊って部隊の指揮官がそうだったな。」
「へっ。妙な奴等だな。」
「全てを統括する指揮官は、エヴァンゲリオンの碇ゲンドウに似ている奴だ。んで、上信越方面隊の指揮官は碇シンジ似と来た。今に、「エヴァ艦隊」って呼ばれるぜ。今年の夏は群馬と長野でイベント列車が多々走る。俺はそいつらを仕留めに群馬に行くが、一緒に来るか?」
「行かせてもらおう。その、群馬帝国帝都防衛連合艦隊だか群馬帝国国有鉄道だか知らんが、顔見せ程度にな。」