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ただ一つの記憶

「これ、ずっと預かっていたね。」

 と、話終えた広瀬が鞄から何かを出した。

「青森のおじさんから貰ったって言ってた、D51の文鎮だよ。覚えていないの?」

 小岩は首を振った。

「あと、お姉ちゃんの写真。」

「お姉ちゃん?」

「あっ。お姉ちゃんの事も―。」

 広瀬は肩を落とした。

「覚えていることは、ブルートレインの事だけらしい。」

 と、三奈美は言う。

「ああ。小岩君言ってた。「星の寝台特急ブルートレイン。それは夢と希望を乗せ夜の鉄路を駆け抜ける青い流れ星。寝台特急「はくつる」のヘッドマークは紺に翼を広げる鶴。鶴が、翼を広げて羽ばたいている。誰の心にも翼がある。それが「ココロノツバサ」。何処までも夢を追ってブルートレインと共に飛んでゆくのだ。」」

 広瀬が思い出す。

「ココロノツバサねえ。」

 小岩は溜め息をつく。確かに、「はくつる」のヘッドマークは鶴が翼を広げた物だが、それがそこまで想像力を掻たてたのだろうか。

「ところで―。」

 三奈美が言う。

「かつての小岩を知る君達は、小岩の記憶を蘇らせる気はあるか?」

 これに小岩は驚いた。

「お前、何言ってんだよ。俺の問題だこれは。関係ない奴巻き込むなよ。」

「関係無い?なら俺はなんなんだ?同じ鉄道マニアで仲間なら、協力してやらなけりゃならんだろ。」

「しかし―。」

 下山と広瀬は肯いた。

「一緒に探そう。だって、せっかく再会したのにこれじゃあ、一緒にいて楽しくない。昔の小岩君はいきいきしていて、好きだった。鉄道だけじゃなくパイロットにも興味を持っていた頃のね。」

「私も。小岩君の笑ったところ、もう一度見たい。」

 二人はそう言って、小岩に協力すると言った。

「協力してくれるのは良いが―。」

「その前に、小岩君。ちょっと放課後付き合って。」

「えっ?」

 小岩は戸惑った。

「今日、9502レは来る?」

「今日は運休だよ。」

 三奈美が首を降る。

「鉄道関係無いからダメか。小学生の頃から電車好きだったしね。カラオケじゃあ、鉄道関係無いね。」

 小岩はどうしようかと思った。

「じゃあさ、三奈美君もアビコも一緒に行こうよ。そうしたら、安心して遊べるっしょ?」

 ようやく、小岩も重い腰を上げた。


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