時刻表作成
カラオケに行こうと言う小岩の提案の理由は2つあった。
「理由としては、まず、俺と三奈美、下山、広瀬は顔馴染みだが、清美と小野上は全く話したことない。だから、カラオケでもやって親睦を深めようってこと。もう一つ、和気藹々やりながら計画を作成するってのも楽しいもんだろうって思ってさ。」
「それ、三条さん仕込み?それとも南条さん?」
と、広瀬が言うのに、清美が誰だと言う。
「小岩君と三奈美君の鉄道教官かな?SFアニメに出てくるような装備で列車を撮影したり、銃撃戦をやったりしてるよ。」
「一体この二人は何者なの?」
清美は特に「銃撃戦」という言葉に驚いていた。
今日は6人ともバイト等の予定は無く、放課後は大宮のカラオケ店でカラオケをしながら時刻表を見て計画を立てる。
「各自担当の区間を決めて決めたらその区間の計画を練る。その際、滞在時間も考慮して作成するように。最低でも30分は確保しろ。そのため、各自連携を密にしてほしい。なお、梅小路蒸気機関車館は最大45分でいい。」
と、三奈美がリーダーシップをとる。
しかし、三奈美と小岩はあっという間に行動計画を立ててしまった。
清美は慣れない作業に苦戦すると思ったが、彼も早かった。一方で、女子は苦戦している。
「バスの時刻表って読みにくい。」
と、小野上がいう。
「小野上って、小野上工臨の駅だよな。」
と、三奈美は言いながら小野上を手伝う。
「小野上工臨って?」
清美が聞く。
「群馬県の小野上駅から砕石を積んで高崎の操車場まで行くJR東日本の工事列車のこと。小野上からの工事用の臨時列車ってことで、小野上工臨って呼ばれているんだ。」
小岩が答えた。
結局、計画が組み上がったのは21時過ぎだった。
「どうする?「あけぼの」でも見てくか?」
「いや、腹減ったしケータイのバッテリー無いから引き上げるよ。」
と、小岩と三奈美が話している。
「それで、三条さんの言っていた、姉弟疑惑はどうなったの?」
広瀬が言う。
「年賀状ひっくり返してねえや。明日にでも、ひっくり返して見てみるよ。」
だが、それをやる必要はなかった。




