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嫉妬

 小岩剣が三条神流率いる群馬帝国国有鉄道第4艦隊に入った事、更にその後ラジコン飛行機操縦免許を取得した事を、三奈美を通して広瀬と下山は知った。

 だが、小岩は広瀬や下山と再会した時よりも僅かに明るい顔をしていた。

 それが、二人には腹立たしかった。

「三条さんは鉄道、航空、軍事、ミリタリ好きだそうだ。今まで、ノタノタ鉄道だけ追っていたが、こっち方面も極めてみたいな。」

「小岩君、ホモなん?」

 広瀬が言う。

「違う。ただ、今までのやり方が不満なんだよ。記憶の手掛かり探すにも、今までのやり方は同じところを無限ループしてる。三条さんと行動していると別の視点が生まれて、そこから手掛かりを探せる気がするんだよ。後、広瀬が俺は昔パイロットになりたかったなんて言ったとか言っていたが、その方面の記憶も思い出すかもしれない。」

 このとき、初めて小岩は笑った。だが、広瀬は、

「私と笑ってよ。」

 と言う。

「昔みたいに、私と笑って欲しい。だから私と一緒に小岩君の記憶を―。」

 広瀬は泣き出した。

 小岩はどうすればいいか解らなかった。

「どうすりゃいいんだよ。」

「ほっとけもう。」

 三奈美も頭を掻いた。

 この日、小岩が広瀬を泣かせた事はたちまち、学年中に噂になった。

 しかし、小岩からすれば腹の立つ話だ。

 こういう噂が流れたときに限って、関係の無い第3者が横槍を入れてくるが、小岩も例外ではなく、それまで話したこともない男子が「女泣かしたクズ」と罵声を浴びせてくる。

 これにまた、小岩の欝症状が再発した上、相手が殴りかかってきて乱闘になり職員室に呼ばれる事態に陥ったが、三奈美の弁護と目撃者の証言から小岩に非は無いということになった。だが、

「次やったら停学だ。」

 と警告されてしまった。

 帰り際、小岩は腹の虫が収まらず、

「なんだよあいつ!」

 と、広瀬の下駄箱に強烈なパンチを食らわせた。

 小岩の手は真っ赤に腫れ、下駄箱から扉が外れどこかに吹っ飛んだ。

 保健室で手を診てもらったら、見事にアザが出来ていたため、湿布を貼って帰宅した。


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