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バイパス

「今、小岩のかつての記憶は小学生の頃の教師の虐待により寸断されてしまっている。おまけに手掛かりは微かに残っているブルートレインの記憶だけ。これでは何をどうやってもブルートレインの記憶以外、何も思い出せない。」

 それまで黙っていた小岩がかすかな声で、

「じゃあ、何をどうしろってんだ。」

 と言った。

「寸断されている部分を迂回して昔の記憶を―。」

「だから、それが出来たらこんな苦労はしねえっつってんだよバカ死ね。」

「広瀬や下山ともっと遊んで、仲良くなれば、それがバイパスになって欝の原因を迂回して昔の二人の事も思い出せ―。」

「だから!」

 小岩は三奈美の胸ぐらを掴む。

「理想主義的なことは何度もブルトレや鉄道でやった!だが、その度に欝は酷くなる!どうせお前も金欲しさにやってんだろ!もう何もするな!」

 もう、小岩は話すら聞く気にならなかった。

 放課後も一人で東武バスのスクールバスに乗る。

「おーい!奥まで詰めろよ馬鹿野郎!」

 と、運転士が暴言を吐く。

(それでも旅客の命預かってんのかよ。二種免許なんか捨てちまえ!クソ運転士!)

 小岩は座席に座って思う。

 不意に携帯が震える。

(また、皆で群馬に行かない?)

 と言う、広瀬からのメールだった。

(ふざけるな。)

 小岩は返信した。

 家に帰っても、両親はいない。

 父は今、海上自衛隊の護衛艦「てるづき」でソマリア沖。母も外交官の仕事のため海外へ行っている。

 悪夢を見た日の夜は眠れない。

 また悪夢を見ると言う恐怖に襲われるのだ。

(こうしていても、始まらないか。)

 と思う小岩だが、目を瞑るとまた悪夢を見るのではと怯える。

 それでも、睡魔が襲ってきて午前3時半頃眠ってしまった。

やはりまた、夢には例の担任教師が出てきた。今度は広瀬と下山を電気椅子に縛りつけて目の前で殺そうとしていた。

 だが今回は違う。小岩を罵る教師の背後に覆面を被った人物が数人いる。一人は電線を切断し、もう一人は背後から教師にナイフを刺した。

 小岩と広瀬と下山の拘束具を破壊する時、彼等は拳銃を使った。

「貴方は?」

「名乗るほどのものではない。これが群馬帝国帝都防衛連合艦隊のやり方。悪魔の第4艦隊のやり方だ。」

 まだ息がある教師を逆に縛り上げると、片方は額を踏みつけ、もう片方は日本刀を振り翳した。

「切断作業終了。」

「よし。このゴミはどっかに埋めちまえ。」


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