群馬帝国国有鉄道
バイトを始めた小岩剣は、三奈美と共に初任給を使って群馬に行く。
群馬に存在するという鉄道マニアの大部隊。群馬帝国国有鉄道、通称「郡鉄」と対面するためだ。
今回も、広瀬まりも、下山我孫子が一緒だ。
高崎線で高崎駅に着くと、すぐに例の群馬帝国国有鉄道の指揮官と合流した。
「君が小岩剣君だね。群馬帝国帝都防衛連合艦隊指揮官、霧降要だ。」
霧降は確かに、エヴァンゲリオンの碇ゲンドウに似ていた。歳は21だという。
霧降は待たせていた車に案内するが、車も特別設計の物だという。
「地上空母エンタープライズ。空中撮影を行う無人戦闘機の発着プラットホーム。まあ、動く空港みたいなものだな。」
艦内には運転手と管制官が乗っているだけだったが、定員は9人。いざと言うときはこれで寝泊りするのだというので、キッチンや寝台、シャワー、トイレまで付いている。
応接用座席に案内される。
「小岩君は記憶喪失の鉄道マニアと聞いた。それで、失われた記憶を探していると。」
これには、下山と広瀬が肯いた。
「連合艦隊も色々なタイプの奴が居る。」
霧降は言った。
「これから案内するのは、連合艦隊の中で最も技術力や情報量の多い奴のところだ。最も、奴の車両は完全に戦闘艦で、こんな豪華な設備はないのだがな。奴は前橋に居るんだ。着くまで、これでも見ていてくれ。」
霧降は今まで、群鉄が撮影してきた写真や調査した鉄道に関する資料を見せる。
「この、三条神流って奴と、南条美穂。この内、三条が前橋に居る。」
前橋には15分で着いた。
目的地に着く。
そこには、エンタープライズより一回り小さい車両が止まっていた。
三条神流はちょうど、出撃準備をしていた。
「何の用だ?」
「昨日連絡した、記憶を無くしたという鉄道マニアだ。」
三条神流は見た目以上にピリピリしていた。
「記憶喪失ねえ。」
と、馬鹿にする。
「小学生の頃に先生に迫害されて、精神病になって、記憶が消えてしまったのです。ただ一つ、ブルートレインの記憶を辿って連合艦隊を訪ねました。」
広瀬が言うが、三条神流は「ふん」と鼻を鳴らす。
「それなら、俺達を訪ねても仕方ないだろ。」
と、三条神流は言ったが、
「まあ、俺も妙な状況であることには変わりはないからな。」
と言った。




