第五項/紫は紫。
忙しいので今回は短めです。
すみません。
「うう……頭が痛い……」
目を覚ました睡蓮が最初に見たものは――
「……ここは地獄かな?」
酒瓶と猪口、徳利が山のように落ちている惨状、いわば地獄絵図だった。そんな中睡蓮は、起きたばかりの働かない頭で、「あー紫さんいなくなってるー」と、陽気なことを考えていた。
「……あれ、これ片付けどうすんだ?」
ようやく気付いたアホ睡蓮だった。
「ん?……また張り紙か」
片付けをはじめようとした睡蓮だったが、壁に貼られた貼り紙を発見した。
「なになに……
『言い忘れていたけれど、貴女の楽器の『てぃんほいっする』ってやつに一曲吹いたら女体化する術式かけといたから。有効活用してね。
あと、貴女の能力で料理掃除なんでもできるっぽいから仕事とかしなくてよさそうだわ。妬ましい。
あ、あと貴女は一応能力持ちだから、お世話になりそうなところだけでも挨拶にいきなさい。
――プリンセス☆マジカル☆ゆかりん』
……うん。」
どうやら紫はやっぱり紫だったようだ。
「いや、でも一曲吹いたら女体化か……自由に曲が吹けないじゃないか……」
どうやら睡蓮にとって、ティンホイッスルのアップデートは余計だったようだ。しかし、睡蓮はある考えをひらめく。
「ん……?まてよ?紫さんに聞かせた方のティンホイッスルだけが女体化するんじゃないか……!?」
実は、睡蓮は昨日の宴会で、紫の前でティンホイッスルを吹いていたのだが、そのときは真鍮製の金色のティンホイッスルしか使っていない。
しかし、睡蓮はティンホイッスルは二本持っている。
そのときに女体化する術をかけられたとすれば、もう一本、黒色の笛にはかけられていない。
睡蓮はその考えに至り、歓喜した。
「よし!まだいける!これで練習するたびに女体化しないですむ!!
……そう思ったら早速吹きたくなってきたな」
思い立ったが吉日、睡蓮は意気揚々と黒の笛を取りに行った。
「……さて、早速なんか吹くか。何にしようか」
何の曲にしようかしばらく迷った後、睡蓮は思いつく。
「そうだ、『神々が恋した幻想郷』にしよう!」
幻想郷に越してきたばかりだから、これがいいよね――という理由である。安直だ。
「さて、吹き終わったわけですが。――どうして僕はお胸が大きいのでしょうか?」
睡蓮は女体化していた。なぜかというと――
それは昨日の夜に遡る。睡蓮が里から帰ってくるときのことを覚えているか。
睡蓮は、今の今までそのことを忘れていたようだ。
「そういえば、紫さんは昨日ドタドタ凄い音を立てて家から出てきた……あのときかぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
そして最後に一つ。
やはり、紫は紫だったようだ。




