第一項/小山(物理)
はじめまして、今日から投稿を始める夜ウサです。
このssは、前から書きたかったのと、ssはどんな感じで書けばいいのかをつかむための物です。
よって、至らぬ点はありますが、意見、感想をいただけると幸いです。
それでは、本編どうぞ。
「あなたの能力を教えるわ。ただし、現実だから認めてね。」
「え、どういうことです……?」
八雲 紫は水菊 睡蓮――この物語の主人公――にそんなことを言うが、睡蓮はどういうことか理解ができていない。
「分かった?」
「はい、どんな能力です?」
「貴方の能力、それは…………」
(ごくりっ)
睡蓮は固唾を呑んで紫の次の言葉を待つ。
すると、紫はなんとうつむいて震え始めた。
「え、紫さん!?」
睡蓮も紫の震えに気づき、そう声をかける。が、顔を上げた紫は――――
(ぷるぷる)
「え!?」
笑いを堪えていた。
「あっははははは……ふう。ごめんなさいね?取り乱して」
「いえ、でもなんで笑っていたんですか?」
「それはね――
貴方の能力が『元気があれば何でもできる程度の能力』だからよ?……ふふ」
紫の言葉を聞いた瞬間、睡蓮の顔がキョトンとしたものに変わる。
「それ……なんてアントニオ猪木?」
「あーなんど聞いてもダメだわあはははは」
「……ネーミング最悪だ」
次いで、睡蓮は絶望する。能力の名前のせいで。アントニオのせいで。
「まあ、落ち込まないで?能力自体は凄いから。出鱈目よ出鱈目。」
「まあ確かに、なんでもできますし。……でも『元気があれば』ってどういうことです?」
「そう、この能力の問題はそこ。逆に元気がなければ、今までみたいに何の能力も無いのと同じだわ。」
そうなのだ。この能力の問題点は、「元気があれば」という要素。
元気という状態になるのは非常に難しいことだ。
たとえば、RPGなどのゲームでは、「魔力を使って体力を回復」や、「体力を削る代わりに魔力を回復」などはあっても、
体力、魔力を同時に回復する技など無い。
それは、現実にも同じことが言える。
体力を失ったならたくさん寝ると良い。しかし、もしもやりたいことがあったらどうだろうか。
多くの人は、「寝て無駄な時間を過ごした」と思うことだろう。
つまり、「完全に元気な状態になる」事は非常に難しいのだ。
どうやら、睡蓮もこの結論に至ったようで、考え自分の考えを紫に相談した。
「でも、完全に元気になるのは難しくないですか?」
「いや、貴方に限ってそれは簡単なことだわ。」
予想外の答えに困惑する睡蓮。
「え、どういうことですか?」
「貴方、趣味は音楽でしょう?無論弾くほうの」
「はい、それがどうかしました?」
「貴方は音楽でストレスを発散しているし、音楽はあまり体力を使わない。まさに、反動なしのMP回復魔法よ。」
「……なるほど」
睡蓮は紫の言葉に深く納得するとともに、自分が音楽をやっていてよかった、と心から思うのであった。
しかし、またも睡蓮は問題を発見する。
「でも紫さん、自分は今日幻想郷に来たばかりで楽器などないのですが?」
そう、睡蓮は幻想郷で言う『外来人』なのである。しかも、今日いきなり幻想郷に来たばかりで楽器が無いどころか家も無い、無い無い尽くしの状態であった。
「それに関しては大丈夫よ。」
「それはどういう……」
「はいはいごあんな~い♪」
「え、ちょっと、待っt……いやぁぁぁぁぁ!!!」
問答無用でスキマに落とす紫であった。
因みに幻想郷に来るときと今回、スキマに突然落とされた睡蓮は、スキマが軽くトラウマになっていたりする。
………………
…………
……
「はい、とうちゃーく♪」
「あぁ、死ぬかと思った……」
スキマから出てくる紫と、なぜか上から落ちてくる睡蓮。
スキマが開いたそこは、それなりに広めな家の前だった。
「幻想郷に来るときも言ったのですが、地面から5メートルくらい上にスキマを開かないでください。」
「あら、ジョークよ?いっつあゆかりんじょーく」
「…………」
「……悪かったからその冷たい目をやめて頂戴。」
「もうやめてくださいね?」
「……はい」
さすがの紫とはいえ、睡蓮の冷たい目攻撃は堪えたようだ。
「さて、本題に戻りますが、家と楽器はどうするんですか?」
「何言ってるの?ここよ?」
「……」
「……」
「……え?まじで?」
「ええ、まじよ。」
紫はさも当たり前のように言うが、それなりに広い家なので睡蓮は結構驚いている。
「こんなに大きいと掃除が大変そうだなぁ……」
「……え、そこ?」
前言撤回、睡蓮はどうやら掃除の大変さを嘆いていただけのようでした。
「まあいいけれど、明日になったら近所だけでも挨拶まわりはしなさいね?ここに外来人が来るって事は一応慧音に伝えてあるから。」
「慧音さん……ってことはここは人里ですか?」
「そう、大正解。やっぱり東方知ってると話が楽でいいわ。」
「それ褒めてるんですか?」
「微妙に褒めてるわ。」
「さいですか」
紫への態度が微妙に砕けているのはご愛嬌である。
「それで、楽器のほうはどうするんですか?」
「うん、ちょうどいいからこの家のことと一緒に説明するわ。」
「分かりました。」
「それじゃ、ついてきなさい?」
そういって家のドアを空ける紫に睡蓮はついて行った。
………………
…………
……
「なにこのいえやべえこわい」
テレビがあったりウォーターサーバーのクリ○ラがあったりと、幻想郷にはなさそうな物ばかりが置いてあった。
さらにそれだけではない。ク○クラなどに必要不可欠なプラグもそれを差すコンセントもなかったり、どうなっているのか分からない物ばかりが置かれていた。
「ふふ、どう?気に入った?」
「それよりこの電化製品の電源がどうなっているのか教えてください。」
「企業秘密よ」
「さいで」
外の世界で初めてあったときから時間があまり経っていないのに漫才ができる程仲良くなった紫と睡蓮であった。
「ところで楽器が見当たらなかったのですが……」
「ああ、楽器は今から運ぶわ。」
「え、どうやって……」
どさどさどさっ!!!
「こうやってよ」
「Oh...Super Sukima Magic...」
衝撃からかなぜか英語になっている。
「それにしても、良くこんな大量の楽器を集めたわね……」
「ええ、外の友人に『小山(物理)』ってよくいわれましたもの。」
「ほんとその通りだわ……」
紫自身この小山(物理)を見て相当驚いているようだ。
「この量の楽器はどこから手に入れたの?」
「リサイクルショップとかを200件くらいまわりましたね。さすがに疲れました。」
「200……」
紫はいとも簡単に言う睡蓮の行動力に驚きを隠せていない。まあその反応が妥当だろう。
「さて、今日はこれくらいにして続きは明日話しましょう?」
「そうですね。布団はどの部屋に?」
「二階の一番奥の部屋にあるわ。」
「わかりました。おやすみなさい。」
「また明日。明日は能力の説明をするわ。」
「了解です。」
そう言って睡蓮は紫と別れた。
「さて、明日もやることが沢山あるし速く寝るか。」
睡蓮は一人そうこぼし、家に入っていった。
不定期で更新していきますが、できるだけがんばります。




