もうひとつの生存者達
優希らが調達に赴く前夜、まだ生存者がいた。
早朝、まだ夜も明けきらない空を一機のヘリが飛んでいた、機体には「海上自衛隊」と書かれていた。機内には顔をバラクラバで隠した6人の隊員が搭乗していた。
「小川二尉、いったいこの乱痴気騒ぎは後どれくらい続くんですかね」
この隊の指揮官小川直也二等海尉は部下の井上悠二一等海曹に言われ思った
「{まるで、ガキの頃にやった某ゾンビゲームの再現みたいだ・・・まるで終が見えない・・}」
そんな中
「日本中どころか世界規模でこの騒ぎが起きてますけど収束するといいですけど・・・と言うよりももう生きてる国民がいるかどうかも怪しい者ですが・・・」
もう一人の佐川成行三等海曹が外の景色を見つつ言った。
「縁起でもないことを言うな、一人でも助けを待つ人を助けるのが我々自衛隊の・・・自衛官の任務だ」
小川二尉が佐川三曹に言った。
「ですね、すみませんまだ全国で仲間達が頑張ってますし俺達も諦める訳には行かないっすね」
彼らは海上自衛隊の特殊部隊SBU。日本版のNAVY-SEALsとも言われているいわいる他国で言う所の海軍特殊部隊だ。今の自衛隊はてんやわんや状態で陸・海・空と総力を挙げて生存者の救出にあたっていた。
彼らはの任務は救助要請があった場所に趣き要救助者の安全を確保し輸送ヘリのランディングゾーンを確保する事だった。これまでは十分にその任務を果たしてきた。しかし、次の瞬間ヘリは大きく揺れ体制を崩す。
「おい?!、パイロットどうした?」
小川二尉は操縦席を覗き込むがそこでは既にパイロット二人が痙攣を起こし口からドス黒い血を吐いていた。
「まじかッ」
小川二尉はその光景に
「全員、衝撃に備えろ墜落するぞ」
部下に指示をだし自らも衝撃に備える。背後に積んである物資等には火器厳禁の物はないため、そこは安心できるがそれ以上に、墜落してその後に自らが生きている保証はない。周りを見れば皆、不安そうにしていた、永遠とも思える数秒の後機体を揺るがす大きな衝撃が伝わりそこで小川二尉の意識は途絶えた。
「う・・・・・いてぇ・・・・」
意識を取り戻し動こうとしたがどうやら何かに足が挟まれ動けないようだった。
「井上~~~~~~~、佐川~~~~~~~~~」
他の隊員らの名前を叫ぶが
「・・・・・・・・・・・・・」
周りはシーンと静まりかえっている。
「皆死んじまったのかよ・・・・・・」
そう思っていた時
「小川隊長~~~、井上無事です・・・・何かに挟まれて動けませんッ」
「同じく、佐川です~~~足をくじいて動けません」
なんと部下の二人が生きていたのだ。
「佐川、現在地はどこだ・・・・」
聞くと
「・・・・森の中としか言いようがありません・・・」
その一言に言いようのない絶望感がこみ上げて来た。現在地不明、すなわち今、自分たちが何処に居るか全くわからないと言う事だ。しかし、彼らはツキに見放されたわけではなかったからだ。なぜなら彼が墜落した所は「共白湖キャンプ場」だったのだから・・・・
すみません、予定を変更しました。次回
~明け方の救助活動~を予定しています。




