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物怪七物語  作者:
其ノ零
1/13

001


「これが、きみの望んだ世界だ──これが、きみの現実だ」


これが、俺の望んだ世界──俺の現実。

真っ暗闇に不気味に佇む"何か"はゆっくりと俺の元へと近付いてくる。

つい先程まで踏切をはさみ、向かい合っていたはずの距離はもうない。


その"何か"は今まさに俺の前に──


「なにボーッとしてるんだよ。死ぬのにはまだ早すぎるんじゃないの?」


突然聞こえたそんな可愛らしい声は、しかし感情のこもった声音ではなく、まるで温度をもたない冷淡な声音で、まるで俺を責め立てているかのようだった。


声とともに、目の前の"何か"は霧散した。何も無かったかのように、俺の目の前にはただただ空間のみが広がっていた。


「よっと」


そして、刹那の沈黙のあと、それがあった場所──つまり俺の目の前に一人の少女が舞い降りた──というより、降り立った。


そしてその少女は体勢を整えると、真っ直ぐ俺に向き直り、こう言うのであった。


「やあ、はじめまして。私はきみの命の恩人──名前はまだない」


とんだ黒猫に目をつけられたものであった。

これは、こんな俺が願ってしまった不思議な物語──すべてはこの日、数時間前に始まった。

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