第28話地図あり
仕事が忙しく中々更新が出来ませんでした。申し訳ありません。これからは前と同じくらいのペースでやっていきたいと思います。
どうぞこれからもよろしくお願いします。
44日目
午前中のうちに日課の鍛錬と家畜の世話を終えると、これからの人生設計について考えた。
能力がだいぶ上がり、生活は安定してきた。家畜たちやロンがいるので寂しし思いをすることもないし生きて幾分には申し分の無い環境だ。
しかし、昨日のことで一つ問題が発生した。やはり俺個人の力では対抗しきれない事があるということだ。昨日は俺一人だったから簡単に逃げれてから良かったが、この家を襲われたら家畜たちは当然として、ロンも無事ではすまないだろうし、ロンをかばえば俺も命を落としかねない。
やはり当初の予定どうりゴブリンの群れを探し群れの一員となるべきなのだろうか?でも俺のかすかな記憶や、前世でのイメージどうりだとすると、あまり相互扶助など社会性のある種族とは思えない。それにどこに居るかもわからないのに、森の中を旅するのもリスクが高すぎる気がする。
俺は今までの情報や、冒険者達から奪った地図を元に作成した地図を広げ考える。
こうやって見ると俺の行動範囲は相変わらず狭いな。とりあえず、西にはゴブリンはいないらしいし、大きな川を越えると人間達の領域に近づくみたいだから探すなら東だな。
一点気になるのは冒険者の地図に記載されていたコボルトとという文字だ。この種族が炎魔猫クラスの知能が有るのなら接触してみるのも一つの手だ。
俺が倒した冒険者が通ってきた道なのだから、そこまで強い魔物が居るとも思えない。
ただ、その前に炎魔猫の様子でも見に行くかな?
あいつらがそれなりに使えるようだったら、コボルトや、緑狼と出会った時にかなり心強い。
ロンもかなり成長してきたし、ちょっと遠出してみるかな?
そうと決まれば善は急げだ。俺は急いで装備を整える。一角猪革の鎧にマチェット、ナイフ数本と弓矢それに保存食と水を持った。戦闘をするつもりではないので軽装で行く。弓を試す機会が有るかもしれないので、槍ではなく弓を持っていくことにした。
ロンに声をかけ出発だ。
一度通った道順なので迷うことは無かったが、ロンのペースに合わせていていたので炎魔猫の集落についた頃には日が沈みかけていた。
約2週間ぶりに訪れた炎魔猫の集落はどこか活気が無く、寂れている雰囲気がした。
「おい!!長老はいるか?」
俺は近くにいた猫に声をかける。猫は軽く会釈をすると、一軒の小屋の中へ入っていった。
全然歓迎されてないな。俺を崇めるように言っといたはずなのにどうなってるんだよ!!今さら皆殺しにしようとは思わないけど…なんだかなぁ
「これはご主様。お出迎えもせずすまなかったニャ。」
俺が若干ふてくされながら待っていると、聞き覚えのある声が聞こえ、振り返るとそこに長老がいた。少しやつれている気がする。体調でも悪いのだろうか。
「ささ、こちらへ。」
俺は言われるがままに、集落の中心にある広場に腰を下ろした。
「今お酒を持ってくるニャ。」
「おお、よろしく頼む。」
なんか暗すぎるぞ、こっちのテンションまで下がってくるよ…一体何があったんだ?
村を観察していると長老が戻ってきて、器に酒をよそってくれる。
グッと飲み干す。
ん~~~~~良いねぇ。最高だ!この辛気臭い感じさえなければ。
「おい長老。これは一体どういうことだ。雰囲気最悪じゃね~か。お前以外誰も挨拶こねーしよ。」
「申し訳ないなにゃ…男達は狩りに出てるニャ。あと主様が来るまでこの集落でも色々あったニャ」
「色々って何だよ?」
「それは………」
長老の話は長かったので要約すると。
・今までニャファイヤの加護で強化されていた魔法が弱くなり、狩がうまくいかなくなった。
・他の獣達になめられ襲撃を受けるようになった。
この2点だ。ニャファイヤの魔力は結構なものであり、外では戦闘になっても集落まで外敵が来ることは無かったが、群れの数が減ったこともあり頻繁に襲撃されるようになったらしい。
炎魔猫たちの能力も落ちており、撃退するのもかなり大変らしい。俺の魔力の影響力がまだある洞窟に皆で立てこもり何とか死者は出していなかったが、体力的にもそろそろ限界だったそうだ。
そんな状況だから、俺に対する信仰も厚くなるわけが無く、結果魔石に思いをのせた魔力が集まらず、加護がちっとも強くならない。まさに負のスパイラルだ。
なんていうかあれだね、俺のせいって感じだよな。少し申し訳なくなって来た。
ちょっとこの辺の奴らに、ここが俺の縄張りだって事を知らしめる必要がありそうだ。ただその前に、この集落の食糧事情を改善してやらなきゃだな。
長老との長い話の間に狩りに出ていた男衆も返ってきたようだ。狩りの成果見てみると、駆鼠1匹、大型の鼠が5匹、山鳥が3匹だ。正直少ない気がする。
「長老集落の皆を集めてくれ。」
「はいにゃ。」
長老がこたえると、男衆のまとめ役がすぐに全員を集めた。
俺の前に集まったのは全部で18匹で、子供が5匹、大人が雄、雌5匹づつ、老猫が3匹だ。この人数であれだけの獲物じゃ絶対少ないよな…この集落の辛気臭さもうなずける。
俺は一人一人をゆっくり見ていった。ステータスを見れたのは長老を入れて8匹だけだった。半分以上は俺を主だと認めてないってことだな。まぁ上に立つものとして何もしてないから仕方がないが。
ステータスを見れた猫の内訳は老猫3匹と、長老の補佐をしていた2匹それと割と年が上そうな雌が2匹と押すが1匹だ。
年配の猫は経験から俺に従ったほうが良いというのがわかっているのだろう。しかし若い者になればなるほど生活の苦しさからか、素直に心を開けないでいるようだ。
ステータスの中身も詳しく見てみたところ、あれっと思うものが1匹いた。その猫は、長老に付き従っていた2匹の片割れなのだが
炎魔猫 オス
村の長
炎魔猫リーダー 戦士 群れを率いるもの
レベル7
スキル
炎魔法 5Lv
統率 6Lv
索敵 3Lv
短剣術 9Lv
隠密 2Lv
スキルレベルが上がってるのはいいのだが、レベルが以前より下がっているし、さらに村の長、炎魔猫リーダーが気になりすぎる。てっきり長老が群れを率いてると思っていたのだが、世代交代したのか?
そのことについて聞いてみると、魔法の威力が弱くなってしまったので、炎魔猫にしては珍しく、魔法より体を動かすほうが得意だった、この個体が今は中心となり群れを率いてるとの事だった。
よく見ると、リーダーを中心に男達は傷だらけで、今の生活の厳しさをあらわしていた。
「おいおまえ。」
「はいにゃ。」
「今まで良くやってきた。これからしばらくは俺がけつを持ってやるから安心しろ」
「ありがとうニャ」
今日はもう遅いので、幹部で集まり今後の方針を固め明日から動き出すことにした。




