第24話
37日目
昨日の狩がよほど堪えたのだろう。ロンは昨日から食事のとき以外ほとんど起きてこない。いきなりハードに鍛えすぎてしまったようだ。なので、今日は家からあまり離れないようにすることにした。
まず午前中は魔法の練習と狩り。午後からは、地下室兼冷蔵庫を作ってみることにした。水さえあれば、氷は大量に作れるので毎日魔法をかけ治せば充分な機能を果たしてくれるはずだ。
寝床の中で比較的地面が柔らかい場所を探し、縦横深さ50cmくらいに掘る。水を流し込み。全面に厚さ5cmくらいの氷の幕を張った。後は入れてるものが濡れてしまわないように、竹の籠に革を貼り付けたものを入れる。
後は空気の層をつくり断熱性を高めた蓋をするだけだ。
完成!!1日で作ったわりにはいいものが出来た気がする。
余った時間は紐を作ったり皮をなめしたりしました。
38日目
午前中は自分の鍛錬、(主に魔法を)とだいぶ元気になったロンの相手をした。獲物を持ってくることの訓練もかねて、毛皮を丸めて作ったボールを投げては持ってこさせるのを繰り返した。
なんかロンはすごい楽しそうにしていた。ただ午後にはかなり疲れたらしく、おやすみの時間にするようだった。
ロンが大きくなるまで遠出は出来なさそうなので、生活をより豊かにするための施設を作っていくことにした。
まず作ったのは、鳥小屋だ。前々から駝軍鶏のメスを捕まえて卵の生産をしようと思ってたので、家の
西側に竹などを組み合わせ、寝る用の小屋と、外にもそれなりの広さの柵を作る。
ものづく入りでかく汗は鍛錬や、戦闘とはまた違った爽快感がある。何より完成させて出来たときの達成感がいいね!!
夜は鎧作りの続きをして寝ました。
39日目
今日も鳥小屋の作りだ!午前中は魔法の練習と、近場での狩りをして、その後は日が落ちるまで鳥小屋と柵を作った。昼過ぎにはほぼ完成していたのだが、細部をこだわっているうちに夜になってしまった。
ロンは柵が完成したので、外でも安心して遊ばせれるようになった。
夜は前日と同じで鎧作り、モコ狸の毛とコモドドラゴンの革を張り合わせて作った銅部分はほぼ完成だ。ためしに付けてみると、頑丈そうなのだが屈んだりする動きがちょっしづらい。
まぁ多少はしゃないな。なかなか万能なものはないべ。
40日目
魔法の練習を終え、ロンを外で遊ばせる。昼近くまで遊ぶと、疲労困憊といった感じで、家に入るなりゴロンと転がって寝てしまった。
よし。作戦どうりだ。
俺はロンが熟睡したのを確認すると、狩に出かける。今日の目標は駝軍鶏のメスを捕まえることだ。
駝軍鶏が多く生息している小川の上流を目指し歩く。しばらくすると、地面に落ちている木の実をつつく駝軍鶏が4匹ほどいた。
3匹は良く見るメスなのだが、1匹がオスっぽい。ただ、以前見たオスのように大きくないし、足も折りたたんでいない。体長は足を伸ばした状態で1mといったところだ。
この前であった奴は希少種だったのかな?それとも成長したらでかくなるのか?
とりあえず全部捕まえるか
俺は咆哮を上げながら近づくと、抵抗するそぶりを見せるオスをなぎ払い、メス達を組み伏せ、至近距離で咆哮を上げる。スキル魔獣使いのおかげか、失神した1匹をのぞき逆らう感じもなく大人しくなった。
あたりを見回すと、木の上に1mくらいのところに一つだけ巣があった。中には卵が5個ある。すごと卵を失敬すると。木の下に落ちている木の実も拾えるだけ拾う。
気絶しているオスと、メスを背負子に載せ、大人しくなってる2匹を抱き上げると家に向かった。家に着くとすぐ4匹と卵の入った巣、食料の木の実を鳥小屋に放り込む。
ここで問題が一つ発生だ。さっき気付いたのだが、木の上に巣があるって事は、俺が作った柵なんか簡単に飛び越せるんじゃないのかなと……とりあえず新しい環境に慣れるまで小屋から出さないようにして、その間に柵を高くするかな。
柵の問題もあるが、もう少し駝軍鶏の数を増やしたいのでまた狩に出かける。
今回は中々駝軍鶏と出会えず、かなり上流まで来てしまった。ごつごつとしたがれ場を歩いていると、はじめてみる獣を発見した。
一見すると山羊なのだが、角が一本だ。それに生え方がユニコーンのように、額から斜め前方に突き出ている。ユニコーン山羊?ユニ山羊か。
ユニ山羊は親子の2匹でがれ場を歩いている。
なんとかして捕まえたいな。子持ちなら乳も出るだろうし、家畜としては結構いいかもい知れない。
俺がユニ山羊に近づいていくと、向こうも俺に気付いたらしく、母親山羊がこちらに向かってきた。がれ場を巧みに駆けて向かってくる。岩場が生息区域なのだろう。
至近距離まで近づいてきたところで、ユニ山羊の目の前に火の玉を放つ。ユニ山羊が驚きバランスを崩す好きに距離をつめると、足を払い仰向けに転がすと、喉を押さえつけながら耳元で怒鳴る。
「暴れるんじゃねぇ」
するとユニ山羊は抵抗をやめ大人しくなった。こっちが殺す気がないことを悟ったのだろうか?やけに素直になる。
さっきの駝軍鶏もそうだが、この辺の仕組みがいまいちわからない。とりあえず捕獲できたからよしとしよう。
木のつるで作った即席の綱を作り、ユニ山羊の首に縛り付ける。紐を引っ張ると後をついて来た。子山羊は親が大人しく俺に従うのを見ると、素直についてきた。
帰り道でもう2匹駝軍鶏を発見した。2匹ともメスでなにやら、いも虫みたいなものを食べている。駝軍鶏は結構雑食性が強いのかもしれない。
その2匹をユニ山羊を捕まえた要領で大人しくさせる。あたりを見回すと、やはり木の上に巣があった。その巣も卵が3個ほど入っていたので、巣ごと背負子に縛り付けて持ってかえることにした。
上々の成果に、ホクホク顔だった俺に耳をつんざく様な叫びが聞こえた。
「クケェェェェッ!!」
声のするほうに眼をやると、長い足を威嚇するように振り回すオスの姿があった。恐らく今捕まえたメスのつがいだろう。
俺は背負子をおろし臨戦態勢に入ると、すぐさま威嚇するため咆哮をあげた。
「%Э#$~~~~~~~~」
あたりの空気が揺れ、木々がざわめく。
駝軍鶏のオスは少しビックリしたような顔でこちらを見た。予想以上の相手だったのだろう。再度気を取り直して向かってくるのだが、先ほどまでの覇気が無い。
俺は炎を作り出すと、細く収束させ槍を作る。時間が許す限り魔力の密度を高め、駝軍鶏が飛び上がるのに合わせ、炎槍を放つ。
ヒュッ!!
炎槍は一直線に駝軍鶏に向かうと首を貫き空中に霧散していく。
すごい威力だ。
地面に落ちた駝軍鶏の死体を見てみると、炎槍の貫通した部分だけがきれいに抉れている。他の部位にほとんど損傷が無いのだ。
この魔法かなり使えそうだ。素材が欲しいときは、効率は悪いが氷槍を作らなきゃいけないかなと思っていたが、炎槍で十分事足りそうだ。
傷口は焼け焦げ血が出ていなかったので、頭を落とし簡単に血抜きをすると、山羊の背中にくくりつけ再び家に向かう。
家に着くと、もうほとんど日が沈みかけているところだった。駝軍鶏のメスと巣を鳥小屋に入れると、ユニ山羊にもっと丈夫な紐をつけ、手ごろな木に結び付けておいた。
駝軍鶏肉と、卵さらに、山羊から絞ったミルクでロンと晩御飯を食べる。ロンはミルクをおいしそうに飲んでいた。やはり体が欲していたのだろう。
食事が終わると駝軍鶏を解体していく。以前しとめたオスに比べるとやや小降りだが、小屋の中にいるものよりはだいぶ大きい。最初に出会った奴は固体としてはかなり強く、年齢を重ねた奴だったんだろう。
今回の個体はすねの骨もそこまで弾力は無かった。
すねの骨といえば明日あたり弓でも作るか。魔法がここまで使えるようになた今では、あまり必要性も感じられないが、新しい発見があるかも出し。
後は眠たくなるまで新しい篭手作りをするとしよう。




