第21話
31日目深夜
急いだこともあり、日付が変わるころには家に着いた。ドアを塞いでたものをどけて中に入る。
「ただいま~~~。」
「クンクンクンッ。」
すぐにロンが足元に擦り寄ってきた。
可愛いやつめ。俺にはもうお前しかいないよ。
しばらくロンとモフモフして癒される。ん~~~~最高
炎魔猫に色々聞くことあったけど…魔石とか俺を供物にした理由とか、早く帰って来てよかった。
「ロン遅くなってごめんな。もう一人にしないから許しておくれよ。」
「ワンッ」
よ~しもう遅いから寝るよ
おやすみ
32日目
いつもどうり、日の出とともに眼が覚める。
まず、魔法の特訓から始めよう。
魔法についておさらい。
・魔力は誰にでもある。人間達はマナと呼ぶらしい。
・必要魔力と適正があればイメージするだけで魔法が使える。
・精霊や、神と契約することでも使えるようになる。その際は呪文や魔方陣など制約がある。
・魔法は大きく分けると操作と精製がある。
・操作は元々あるものを動かす魔法。
・精製は魔力を他の物質に変化させること。
・他にも色々あるらしいが詳しいことはわからなかった。
忘れたら嫌だから、羊皮紙にメモでもしとくか。
それでは魔法の練習を始めよう。最初は性能の確認からだ。
まずは右手に力を集中し火の玉を作り出す。これは何度もやってるし、うまくいった。次に形を変えていく。とりあえず槍をイメージする。
球体だった炎が細長くなっていく。成功だ。ただ、結構魔力を使ってるな。
空に向けて飛んでいくように念じてみる。炎の槍はそれなりのスピードで飛んでいくと、30mくらいで消えた。
もう一度炎の槍を作る。今度は魔力をより強くこめた。同じように空に向け撃ってみる。さっきより飛距離が伸び60mくらいで消えた。
最初と同じくらいの魔力で炎の槍を作ると、振りかぶり投げると同時に魔法を放つ。かなりのスピードで炎の槍が飛んでいく。スピードも飛距離も通常時の倍以上に伸びた。
なるほどね。複雑な魔法をイメージするほど消費する魔力は増えるし、自分で投げたほうが全然早いな。投げるのは俺の魔法のレベルが低いからかもしれないけど。
次は操作の実験だ。
小さな焚き火を起こすと、その炎を操ってみる。枯れた木を近くに置き燃え移らせたり、消したりしていく。最後に手のひらに炎を集める。すると今までよりも格段に魔力を消費し始めた。
なんとなくだけど法則がわかってきたかな。
炎魔法を使っている時は、魔力を炎に変えているというよりは、魔力を燃料に炎を起こしているようだ。自然と燃えている炎を手元に集めても、結局そこからは自分の魔力を使わなければ、燃焼を継続できない。炎操作は防御向きだな。
水辺に行き水冷魔法で同じ事をやってみる。
こっちは魔力そのものを水に変えていく、水球を作ると木にぶつけてみた。
バシャン
ただ木を濡らしただけだ。攻撃に使える気がしない。それに魔力の消費効率が物凄く悪い。炎魔法の10倍くらい魔力使ってるきがする。
う~~~~んどうしたものか。水冷魔法だし氷とか作れないのかな?
手から水を作り出すと槍に形を変える。
よし凍れ!!
すると、徐々に水の槍が氷の槍に変わっていく。時間をかけカチンカチンにすると、木に投げつけた。すると見事木に突き刺さる。
いいね~使えそうだ。
その後元々ある水を使って氷の槍を作ったり、空中の水蒸気を使って水を精製してみた。
結論、水冷魔法は水気がないと使い勝手が悪い。湿度高い空気から水を精製するか、元々ある水を使うかしないと、魔力の消費が激しすぎる。
たぶんこれは炎熱魔法にもいえる事だろう。雨の日とかは炎を維持するための魔力が膨大になると思う。
他にも風や、土、電気を操ったり、精製しようと試みたが、うまくいかなかった。せいぜいそよ風を起こしたり、静電気みたいのを発生させれてくらいだ。
まぁ魔法の訓練はこんなもんかな?最後に一個試したいことがあるから、それをやって終わりにしよう。
試したいこととは、ニャファイヤの尻尾にあった青い炎だ。ガス溶断に使うアセチレンガス火とかも高温になると青くなるし、それをイメージすれば出来る気がする。
火の玉を作ると、それを熱するように魔力をこめていく。
だんだん炎の熱が上がっているのがわかる。近くにいてもすごく熱い。
体を包む様に魔力をめぐらし、熱から体を守る。魔力を同時に使いすぎてるせいか、疲労感が半端じゃない。
もう辞めようかと思ったその時、炎が青に変わった。徐々にとかではなく、突然変わったのだ。
どういうことだろう?
まぁいいとりあえず威力のほどを確かめてみるか。
青い炎を木に接触させる。魔法を解いて接触部を確認すると、炎があった場所はえぐれており、周りも黒く炭化していた。
威力すご・・・でもそうそう使える代物じゃね~な。下手したら自分にもダメージ来そうだ。
一通り魔法を試したところで、昼近くになっていた。
さすがに休憩を挟みながらとはいえ、朝からずっと魔法の練習をしていたので疲れた。今日の鍛錬は終了にして、ちょっと休もう。
「ク~~~ン」
家に近づくと寂しそうな声が聞こえてくる。
やば、ロンのこと忘れてた…
急いで家に戻り謝る。
「ごめんごめん、今飯の用意するから待っててくれ。」
狩りをする時間もないので、あるものですませよう。コモドドラゴンの肉かぴかぴになってるけど、軽くゆでたら食えるかな?
お湯を沸かしながら、コモドドラゴンの肉を咀嚼する、ある程度柔らかくなったところで軽く湯通しし、ロンのえさ入れに移す。相当腹が減っていたのか、あわてるように食べ始める。
「そんな慌てないでも、とったりしないぞ。」
あれか朝飯やるのも忘れてたし腹減ってるだけかな?
ご飯を食べ終わると、ロンを外で遊ばせた。俺は片手間で相手をしながら皮をなめしたり、糸を紡いでいく。
羊みたいな毛を持った狸、通称モコ狸の毛が結構頑丈そうだったので今日は毛長山猫ではなく、狸の毛で糸を作っていく。
まだ製作途中だが結構いいものになりそうだ、今日は紡ぐだけだが、縒りがついた後が楽しみだ。
他にコモドドラゴンの革を鎧用にわけていく。すね宛、篭手、銅鎧まで全部出来るくらい充分な量があった。
ロンは気ままに森の中を走ってはなにかを持って戻ってくる。俺がひとしきり褒めてやると、また走り回り見つけたものを持ってくる、虫が多かったが、たまに動物の骨や木の根っこなんかを持ってきた。
ただ遊んでいるだけなのだろうけど、将来楽しみな狩猟狼になりそうだ。
もう少ししたらしつけも始めてみるかな。
そんな感じで和みながら、紐や糸、革や籠、バックを作って一日が終わりました。




