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第18話地図あり

31日目



 朝目がさめると、血のにおいで昨日のことがよみがえる。


 あ~そうだったな。死体の処理もしないで寝てしまったか。墓くらい作ってやるか。


 俺は今だはっきりしない頭を無理やり起こし、人間2人分の穴を掘ると、身包みをはがし投げ入れた。そこで重大なことに気がつく。

 図鑑鏡が壊れている。


 まじかよ!!結構なレアアイテムらしいのに…縄を解いたときに踏んじまったか、最悪だ。


 あまりにも腹が立ったので、穴の中の死体に向かってファイヤーボールを打ちまくる。

「クソッたれが~」

 人間の肉がこげる香ばしい匂いがしたところで、魔法を打つのをやめ、木の根元に腰を下ろした。


 昨日聞いた情報でも整理するか。


 この世界は予想どうり、ファンタジーの世界だった。人間以外にもエルフやドワーフ、獣人や亜人、魔族なんてのがおり。それぞれ仲が良かったり、悪かったり、群雄割拠している状態だそうだ。生活圏的にも人口的にも単一種族としては人間が1番大きな勢力らしい。

 文明的には、古代ローマ帝国か、中世ヨーロッパかわからんがそんなに進んでない。種族ごとに差もあるそうだ。その代わり魔法が発達しているらしく、簡単な生活魔法なら使える人が結構いるみたい。

 魔法についてだが、戦闘に使えるレベルで操れる人はそんなに多くなく、魔法使いというのは貴重なんだとか。俺はかなりの逸材なのだろう。

 冒険者について、一言で言えば何でも屋だ。仕事は多岐にわたり、落し物探しや、薬草の採取など簡単なものから、狩猟や害獣の討伐、商隊の護衛や傭兵など物騒なものまである。ロチャックのステータスにあったランクだが、SSを頂点にS、A、B、C、~G、見習いまでの10段階があり、Aランクにもなると、超一流との事だ。なり手もピンきりで、農家の口減らしから一攫千金を狙う腕自慢まで色々なんだとか。

 今回2人は、未開地の地図を作りそれを売って一儲けしに来たみたいだ。


 次に地理的なこと。まず二人が作ってた地図だが、羊皮紙に黒のインクで書かれてた。地図を作り始めて2日目らしく、地図左側の川から東側が今回の目的地だったようだ。ちなみに赤いところが歩いてきた道みたい。



挿絵(By みてみん)

 

 改めてみてみると、全然出来てないな。もっと精度高いもの作れや。

 川の西側も森なのだが、獣人の村などがあり、さらに西に進むと人間に辺境の地と呼ばれる場所に出るらしい。一応村や、都市もあるそうだ。

 地図に記入されている文字だが、そのモンスターを発見した位置だそうだ。俺がまだ見た事ないものとして、狼と緑狼、コボルトがいる。

 どれも犬系か…群れでこられたらやだな。


 ウォォォ~~~~ン


 噂をしてたら来ました。緑じゃないので普通の狼なのだろう。3匹ほどがこっちに駆けてくる。


 人間燃やしたのは失敗だったか?こおばしい肉の匂いが狼を引き寄せてしまったのかも…まあいい俺の新しい力を見せてやるぜ。


 狼は俺に気がつくと、俺を中心に三角形を作るように囲んできた。なかなか連携が取れている。

 今にも飛び掛ってきそうだったが、俺が両手に火の玉を作ると、警戒を強めた。


 ほう、相手の力を考えるくらいには頭がいいんだな。ただの獣だと思って油断は出来ないな。


 俺は右側の狼に向かい突進すると、火の玉をつけたまま左手を狼に向かって突き出す。狼は横に飛びのきかわそうとした。


 あまい!!

 

 狼が地をけった瞬間に火の玉を発射した。スピードはたいしたことはないが、狼を捉えるには十分だ。殺気を感じ振り向くと、後ろにいた狼が迫ってきていた。

 右手を振り上げ、火の玉を円盤状に引き伸ばし射出。威力は弱まったが、牽制には十分のはずだ。俺は腰のナイフを引き抜くと左側に位置していた狼に向かう。


 ガチッ!!

 狼の牙をナイフで受け止める。つばぜり合いのような形で、押し合いになった。狼も簡単にはやられてくれない。ちらりと視線を後方にやると、さっき炎の円盤を受けた狼が立ち直っていた。


 まずいな。


 俺は大きく息を吸い込むと、魔力をため、一気にはきだした。

 口から炎が噴出し狼の顔をおおう。


 炎の息吹じゃ。ぶっつけだったけどうまくいって良かった。


 顔面を焼かれた狼は悲鳴を上げ地面をのた打ち回る。それを見て最後に残った狼が、俺に飛び掛るのを躊躇しだした。


「ヴォォォォァァァ~~~~」

 俺が咆哮をあげると、ようやく決断が出来たようで、仲間を見捨てて逃げていった。

「薄情者だな。」

 顔を焼かれ苦しんでる狼に近づくと、止めを刺してやる。


 早いところここから立ち去らないと、もっと強い獣まで呼び寄せて今いそうだな。荷物まとめたらここからすぐ出発しよう。

 

 

 しかし、装備が一気に増えたな。

 荷造りしながら再確認していこう。まず食料関係が干し肉、ビスケット、水筒5ℓと2ℓだ。はっきり言って少ない気がする。旅をする時の量じゃないだろ。まぁ現地調達する気だったのかも知れないが。ちなみにビスケットは粉の味しかしなかった。


 次に衣類、防具関係。シャツ、ズボン、下着、タオルが何枚か、小さめの革の鎧が一つ、革のブーツが一にサンダルが一。奴らが着ていた服は汗と血で気持ち悪かったから一緒に埋めた。そういえば2人ともおそろいのペンダントをつけていた。皮製のプレートで出来ていて、軍隊とかで所属や名前を記入しとく奴みたいのが、こいつらのは何も書いてなかったが。鎧とかはサイズが合わないので、持ってかえって調整しようと思う。


 次は武器関係。まず鋼鉄製のマチェット!!これが最高だね。これからしばらくはメイン装備になりそうだ。他は青銅の短刀が一つ、サバイバルナイフが二つ。短刀はロチャックが持ってた奴で、両刃のものだ。あと、鉄と青銅のナイフが合わせて7本。

 人間はまだ鋼鉄を作ることが出来ないらしく、武器は主に鉄か青銅を使っているらしい。特徴としては、鉄の方が軽くて切れ味はいいが、青銅の方が丈夫で錆びづらく長持ちだそうだ。さらに青銅の方が量産しやすく、軍隊では青銅を採用しているところが多いんだとか。鋼鉄については、ドワーフや、エルフ、ごく僅かの人間のみが製法を知っているらしく、高級な武器らしい。

 鉄と、鋼鉄を主要武器にしてたこいつらは、結構やり手だったのかもしれない。


 次は医薬品関係、包帯と三角巾が少々で後は薬だ。こいつらが持ってたのは全部で5種類で、胃腸薬、増血丸、回復薬、解毒薬、止血薬だ。胃腸薬と増血丸は丸薬で、それ以外は瓶詰めの液体だ。回復薬は緑色で、その名の通り、体力を回復するらしい。ちょっと期待してたのだが、傷がたちどころに治ったり、瀕死の状態から復活したりする物ではないらしい。解毒薬は青色で、その名の通り、たいていの毒なら解毒してくれるようだ。無理なものもあるみたいだが。最後の止血薬は黄色いで液体というよりは軟膏みたいな感じ。傷口の上から蓋をするように塗ると、血液を凝固させ、そのまま皮膚と一体になっていくらしい。

 戦闘で重傷をおった場合、増血丸、回復薬、止血薬を同時に使い治していくそうだ。魔法で傷を治療できる人間もおり、一流の治療士で骨折を1~2時間で治せるそうだ。

 とりあえず、この世界では蘇生術はなさそうだということがわかった。


 その他のものとして、裁縫道具、羽ペン、筆、黒のインク、羊皮紙が何枚か、食器、鍋、あとお金が手に入った。1番嬉しかったのはなんと言っても裁縫道具だ。布を縫うようの針は勿論なのだが、革も縫えるような太い針やいともあったし何より、武器にもなりそうな千枚通しがあった。これで革の加工がすごいやりやすくなる。

 お金は小金貨が3枚、大銀貨が3枚、小銀貨が5枚、大銅貨が4枚、小銅貨が2枚だ。小銅貨5枚で大銅貨、大銅貨2枚で小銀貨、小銀貨5枚で大銀貨、大銀貨2枚で小金貨となる。小金貨の上にもまだ貨幣があるのだが、森の中で金は使わないから、持ってこなかったらしい。まぁ俺も今のところ必要ないんだけど。



 そんなこんなで、文明の利器(そう呼ぶには原始的なものばかりだが)を大量に手に入れた俺は、それらザック二つにつめると家路に着いた。

 狼はなんだかやせ細ってたのでそのまま放置してきました。この辺の動物達におすそ分けです。



 


 

 

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