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第16話

30日目



 朝目が覚める。横を見ると、ロンが気持ちよさそうに大の字になって寝ていた。


 やっぱり家族がいるっていいな。


 ロンを起こさないように外に出ると軽食をとってから鍛錬をする。槍や木刀の素振りで汗をかくと、魔法の練習だ。

 う~~~ん全く上達しない。今日も右手を火傷してしまった。ほんとなんなんだ?何で猫に使えて俺は出来ないんだよ。


 鍛錬を終え家に入るとまだロンが寝ていた。


 離乳食を作っていると、匂いで気がついたのかロンが起きてきた。器によそってやるとがつがつと食いだす。1日でこの食事にもなれたようだ。今のところ下痢をしたり体長を崩す様子もないので一安心。


 朝食を終えるとロンを狩りに連れて行こうかと思い、外に連れ出した。しかし、少し走り回ると、すぐ俺のところに来てゴロゴロしだす。

 

 昨日のプールがまだ効いてるな。


 家に帰り、昨日なめし終わった父親狼の毛皮を広げてやると、すぐに横になって寝てしまった。


 これはしばらく起きなさそうだな。いい機会だしちょっと遠出するか。

 手早く離乳食を作ると器に入れて置いといた。


 

 俺は今は拠点から北西の方向を探索している。


 炎魔猫と会えたら良いんだけどな~


 そんなことを考えながら歩いていると、とんでもないものと遭遇した。


 人間だ!!

 おお~~~~この世界にも居てくれたか。

 

 すぐに声をかけようと近づこうとしたが、すんでのところで足を止めた。


 この世界で俺は人間にとってどんな存在なんだ?ファンタジーの世界なら間違いなく敵、害獣だ。違ったとしても身近な存在とは考えにくいよな。身近だとしても動物園の折の中とかそんなレベルの気がするし。

 どうしよう・・・めっちゃ話したいのに


 気配を消しながら近づくと人間を観察した。

 確認できるのは二人。今は岩に腰をかけ休憩している。二人とも旅装束で、一人は大柄な男で身長は180cmくらい、上半身に革の鎧をつけ、腰には刃渡り60㎝ほどのマチェットを、それ以外にもサバイバルナイフや、ザックなどを持っていた。

 もう一人は小柄で身の軽そうな男だ。長物は持ってなく、腰に刃渡り30cmほどのナイフを2本下げていた。その他は大柄な男と大差ない。

 立ち振る舞いから大男の方が立場が上のようで、今まで常にイニシアチブをとっていた。ただ、どちらもそれなりの修羅場を経験しているのか、この密林の中で怯えるでもなく、堂々としている。おそらく自分の意思で密林に足を踏み入れたのだろう。


 それとなく周囲の様子を探ってみたが他に人間は居ないようだった。


 どうしたもんか。考えられる行動は3つだよな。

 一つ目は、人間の前に姿を出し声をかけてみる事だ。うまくいけば仲良くなれるかもしれないし、人間の町に連れて行ってもらえるかもしれない。ただ、人間がゴブリンに良くない感情を持っているとかなり危険だ。下手したら殺されるかも知れない。


 二つ目は、どこか手ごろな場所で奇襲をかけることだ。成功すれば人間達が持っている装備を丸ごといただける。デメリットとしては、仮に成功しても人間からの情報を得られなくなってしまうことだ。


 三つ目は、このままやり過ごし一切の接触をしないことだ。まぁ却下だけどな。


 一と二どっちにするかな~。リスクが少ないのは二だけど・・・やっぱ人間と話したいしなぁ。よしこうなったら出たとこ勝負だ。なるようにしかならん。


 そう決心し俺は茂みから出た。


「ア、ハジメマシテ。」

「オイ、アニキ#$а:%…ゴブリン」

「オドロ$〇ヾ…ヤリモッテヤガ$Р☆г。ミセモノ…ドレイ%£#」


 言葉が…わからない単語が有りすぎる。でもあんま良い印象ではないな。逃げるか?でもあいつら完全に俺のことなめきってる感じだしな。一泡拭かせてやりてぇ


 その時大男が大きく息を吸い込むと。人間では有りえない声量で咆哮をあげた。

「ヴォ~~~~~~~~~」


 この技この世界では皆使えるのか?ちょっとがっかり。


「アニキ%Рビビラナイ…」

「ホウ、オモシロイ」


 やべ警戒されたか?腰抜かしたりしなきゃ駄目だったか?今からでもびびった振りするか。いやこのまま固まってれば恐怖で動けない的な感じになるんじゃね。


 その時ちょうど良く小男が石を投げつけてきた。俺は石が当たった瞬間に我に返ったふりをして尻餅をつく。


「アニキ、コイツビビッテР=И%&」

「ギャハハハハハ、%&жЮ…オレⅵマカセロ」


 良い感じに勘違いしてくれたようで、大男がマチェットを抜くと大股で近づいてくる。下卑た笑みが鼻につく。弱いものを見下している奴特有の醜悪な顔だ。

 絶対ぶっ殺してやる。


 「シネ」

 大男がマチェットを振り上げそう呟いた。


 俺の間合いに入ってるのにのんきなものだ。

 大男がマチェットを振り下ろすために力を込める。俺はそれに合わせ槍を突きだした。

 槍が大男の胸を貫く。

 全く予期していなかったのだろう、目を見開き口をパクパクしている。


 ざまーみろ。


 俺は力なく垂れ下がった右腕からマチェットをもぎ取ると、後方にいた小男に突っ込む。

 小男は動揺していたが、すぐに身構えると何事かぶつぶつ呟き始めた、奴が軽く腕を振ると、モーションからは考えられないスピードで小さなナイフが飛んできた。

 見切れない速さではなかったので、俺はナイフを篭手で受け止めると、マチェットを振り下ろす。小男は後方に下がってよけるが、それは俺の思惑どうりだ。よけた先には大木がありこれ以降の行動を制限する。

 俺はさらに踏み込むと逆袈裟に切り上げた。小男は両手にそれぞれ短刀を持ち防ごうとするが構わず全力で振りぬく。

「痛いてぇ~。」

 マチェットが小男が右手に持っていた短刀を砕き、その勢いのまま左手を切り落としたのだ。

 俺はマチェットを離すと、間髪居れず呻いている子男の顎に拳を叩きつけた。


 色々聞きたいこともあるからな。とりあえず今は殺さないでおこう。


 俺は失神している小男を木に縛り付けると、失血ししないように魔法で左手の傷口を焼いてやる。俺の野手もちょっと焼けちゃったけど。


「ふ~~~~~。何とか勝てたな。」

 俺は岩にこしかけると大きく息を吐いた。


 勝てて良かったよ。やっぱ油断は良くないよな。真剣にこられてたら1対1でも勝てなかった気がする。それに小男のナイフ、あれ絶対魔法だな。全然動いてないのにめっちゃ早かったし、あと魔法に呪文とかあるのかな?俺は呪文を知らないから魔法をうまく使えないとかか?だったら期待が持てそうだ。この男からうまく聞き出せればとうとう魔法を使えるようになっちゃうかもだぜ。


 一息入れた後、大男の身ぐるみをはがしざっくの中身を確認する。革の鎧は元々の損傷が激しかった上に、俺の一撃で使い物にならなくなってしまったが、他は上々だった。

 ゲットしたものは

・武器類が。鋼鉄のマチェット×1、青銅のサバイバルナイフ×1、鉄、青銅のナイフ小×3

・防具類が、衣服類は。革のブーツ×1、布のズボン×1、革のベルト×1、血だらけの布のシャツ×1、布のマント×1、下着×3

・食料関係は。皮袋に入った水役5ℓ、干し肉約1㎏、麦約1㎏、塩少々、胡椒少々

・その他は。銅の鍋×1、木の食器1セット、液体の入ったガラスのビン×3、ガラスの空き瓶×2、毛皮毛布×1、ザック×1


 などである。武器の素材は勘だ。でも、色的に間違ってはいないと思う。それにしても統一性がないよな。鋼鉄に、青銅、鉄となんか文明レベルがメチャクチャだな。


 まぁいい小男に聞けばわかることだ。

 そろそろ起こすかな?


 

 

 

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