表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/35

第15話

28日目



 子狼のぬくもりを感じながら目が覚める。

 

 今日から俺一人じゃないんだな。そう思うと、なんかすごい嬉しい。


 腕の中で眠る無垢な存在を見ていると、顔が自然とにやけてくる。


 ほんと癒されるな。そうだこいつに名前をつけてやらなきゃ。

 どうしようかな。う~~~~ん・・・よしロンにしよう。俺が人間時代実家で飼っていた犬の名前だ。狼とは全然ちがう、びびりなビーグル犬だったけど。

「ロン!俺の弟の名前をやるんだからしっかりやれよ。」

 ようやく目が開いたばかりの相棒に声をかける。


「ク~ン。」

 わかってかわからずか、ロンが返事をする。


 まだ眠たそうなロンを抱き、背中には昨日ゲットした素材を背負い拠点に戻る。

 寝床に寝かせてやると、すぐに寝息を立て始めた。


 ほっとくのもあれなので、昨日ゲットした素材を加工することにした。まずボスコモドドラゴンの皮と父親狼の皮をなめす。少しでもロンに親の温もりを感じてもらいたいので、父親狼の皮は敷物にするつもりだ。

 ボスコモドドラゴンの皮は半端じゃなく固い上に、柔軟性にも優れているので、鎧にする予定。量がたくさんあるので全身の鎧を作れそうだ。


 いつもより慎重に肉をはがし、脳みそを刷り込む。

 頑丈な革の鎧に身を包む自分を想像すると、にやけてきてしまう。なんたってドラゴンアーマーだからな。厨二心をくすぐりすぎるぜ。



 一段楽したところでロンを見たがまだ寝ていた。

 可愛いやつめ。俺はトレーニングしてくるから大人しくしてろよ。


 ひとしきり汗をかくと、狩りに出かける。


 ロンには何を食べさせればいんだろう?体格的に生まれたばかりという感じではない。俺の感覚では生後2週間てとこかな?自分でおしっことかしてたし。

 2週間だと仮定すると、まだ授乳期ではあるけどもう固形物も食べれる気がするな。犬のと狼が同じならだけど。でもやっぱミルクとかもあったほうがいいよな。

 どうしたもんか


 そんなことを考えながら、兎やトカゲを狩っていく。

 しばらく歩くと小さな苔豚を発見した。


 ここにも新しい命があるの~。うん?ということは親も近くにいるよな。

 気配を殺しながらあたりを探す。


 いたいた。

 そこには苔豚が子供たちに授乳しているところだった。子供は全部で10匹ほどだろうか?すごい子沢山だ。


 おっぱいわけてくれないかな。どうしたらミルクを採取できるべ?う~~~~~~~んやめた。出たとこ勝負でやってやるぜ。


 俺は茂みから姿を出すと、全力で苔豚に近づき抵抗する間も与えず頭部に強烈な打撃を与えた。


 苔豚の子供たちは何がなんだかわからないのだろう。まだ乳房に吸い付いていた。

「ごめんよちょっとどいてくれ。」

 俺は子豚達を押しのけると水筒の水を捨て、乳房にあてがいミルクを絞る。

 牛の乳搾り体験を思い出しながら、根元から絞っていくとそれなりの量が出てくる。


 いい感じや!!


 水筒の半分くらいまでたまると、俺も吸い付いてみた。


 全然うまくねぇ・・・なんか薄味。でも赤ちゃんたちには必要なものが入ってるんだろう。てかこの豚生きてるのかな?


 心臓に耳を当てると、動いているようだった。


 おお~~良かった。なんか殺しておっぱいすうとかいやだしな。強姦してるみたいで・・・

 

 ある程度採取できたので、子豚達を戻してやる。ついでに親豚の頭を何回か叩くと意識を取り戻した。

「ありがとな。なんかあったらまた頼むわ。」

 俺はそういうと家路を急いだ。親豚はまだ意識がはっきりしないのだろう。ぼーとしながら俺を見送っている。


「ただいまー帰ったよ。」

 家に入るとロンがよたよた足に擦り寄ってきた。


 たまらんぜ。


 膝の上であやしながら離乳食を作る。

 生の肉を念入りに噛んで柔らかくし吐き出す。その後苔豚のミルクと混ぜ合わせる。


「ほら、食べろ」

 グチョグチョの塊を口に近づけると匂いをかいだ後ちょっとずつ食べ始めた。


 良かった。食べてくれたよ。これですぐに衰弱してりはしなさそうだな。早く大きくなれよ。


 ロンの食事のめどが立ったので道具作りを再開する。

 灰色のドラゴンアーマーに身を包む自分を妄想しながら。

 

 

29日目


 新しい環境にロンが少し慣れてきたので、散歩に連れて行くことにした。

 いつもどうり午前中は鍛錬と狩りについやし、昼食後にロンを家から出してみる。

 最初は外の世界に戸惑っているのかきょろきょろしていたが、すぐに元気に走り出した。

 

 20メートルくらい走ると急カーブして俺の元に戻ってくる。一通りなでてやると今度は別の方角に走りだし、また20メートルほどでUターンしてくる。


 なんだ?いちいち報告してくれてるのかな?それにしてもなんて人なつっこくて、可愛い奴だ!!


 円を描くように周囲の確認が終わると、少し疲れたのか俺の足にまとわり突き、舌を出してこちらを見上げてくる。

 

「よし。水でも飲むか。ついて来い」

 俺が小走りでため池に向かうと、ロンは楽しそうに後をついてくる。そのままため池に飛び込みロンを呼んだが水際でおろおろしだした。 

 

 水なんかにびびるなよ!!


「ロン怖くないから入ってこいよ。気持ちいいぞ。」

 俺が近づきながらロンを呼ぶと恐る恐る前足をつけ、一歩二歩と踏み入れてくる。

「いいぞ。その調子だ。」

「ワン!」

 声をかけるとロンもうれしそうに答える。


 そんなこんなでロンが泳げるようになるまでため池で遊んだ。

 今は家に戻って道具つくりの続き。まだ手をつけてない皮の処理と、昨日の続き、さらに狼の骨や牙を使い武器を作っていく。

 コモドドラゴンとの戦闘、解体で多くの武器がダメになってしまったので、大量生産をしなければならない。

 

 ロンは昼間の水泳が堪えたのか泥のように眠ってる。

 寝顔を見てると俺も眠たくなってきたので俺も寝ようかな。 


 




 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ