生徒会の日常2
どうやら風邪が流行しているらしい。生徒会メンバーの半分が欠席という事態に俺は驚きを隠せなかった。まさかの俺を含めて5人。そのうちの2人は-
「那月、お茶」
「俺はお茶じゃないんやけと」
「そういうのいいから」
テスト期間中で早く学校が終わった藤宮優妃と変態関西弁上本那月だ。藤宮さんは隙あらば生徒会室に居座る。
「くぅ…漆黒の衣が我を煉獄の劫火へと誘う…」
「あーなるほどな」
嘆く黒田に反応する上本。
「今ので分かったのか?」
「インナー重ね着して熱いって言いたいんやろ?」
マジかよこいつすげぇ。
「永秀の言葉がわかって上本君が羨ましいよ…」
「おっ、音坂も中二病に目覚める?初心者は『うっ・・・腕が・・・静まれ・・・・!』とか言ってたらいいと思うで。ちなみに上級者は『この世界は崩壊も覚醒も起きない・・・ボクがそう仕組んだんだ』って感じで」
「参考にしておくよ」
参考にしておく、行けたら行く並の信頼度だな。もっと言うならパチンコのチャンス!くらいの信頼度。
「しっかし今日どうするよ。まさか月詠先輩まで風邪ひくとか誰も思わんかったやろ」
「普段から生徒会業務に勤しんでるみたいな言い方はNG」
せいぜい藤堂先輩の進路を犠牲に食堂でアイスを販売する程度のことしかしていない。
「いやそれが今年度最後の業務が残ってんねん」
「と、言うと?」
「卒業式のあれこれ」
あー。もうそういう時期か。
「月詠先輩の事やし送辞とかは心配いらんやろうけど、予行練習とか準備とか何も決まってへんし」
「月詠さんは風邪ひきながら色々考えてると思うよ」
「我も千尋に賛同する。今話し合う必要もないだろう」
まぁそうなるな。
「いやぁーそうやねんけどさ。ちょっとイレギュラーな事態と言いますか」
あはは、と少々キモめな上本。
「テニスの試合と卒業式が被って行かれへんようになったねん」
「別に上本1人が消えたところで困る事もないっしょ」
「いや、ダブルスの試合やから健人もおらんで」
あー。男手が減りまくる。
「ならば梟でも駆り出せば良かろう」
「戦力になるんかなーって」
なるほど。ならないだろうな。
「6回勝てば全国やからな。応援とか来て欲しいけど無理やん?何か色々と大変なことになってきたなって」
「うちは応援行くよ?」
「サンキュー優妃」
藤宮さんの頭をポンポンする上本。煉獄の劫火に焼かれて消えろ。しかし公立高校から全国なんて凄い話だ。ぜひ頑張ってもらいたい。本人は何かの間違いなんて言うが、それで県予選まで行くのは不可能だろう。
「お父さんにガット替えてもらうように言っておくよ」
「おっマジ?優妃のお父さんが張ったガット使いやすいからなー。助かるわ」
聞くところによると藤宮さんのお父さんは趣味でテニスをしているらしい。貴族のスポーツって感じだ。
「何にする?」
「エンジェルスピン125をテンション53で」
なんだなんだオシャレなコーヒー店の注文か何かか?
「了解。前日に家まで取りに来て」
通じるのか…
「OKサンキュー」
お茶を飲んで雑談に勤しむ。いつもの生徒会じゃないか。




