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チキンなオレ流高校生活!  作者: 仁瀬彩波
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チキンなオレ流…2

 家に帰り部屋に入り布団を敷いてダイブ。やばい全身が熱い。恥ずかしさと嬉しさの両方が今の感情を占めている。なんというか達成感に満ちている。可奈さんを家まで送り届けてから帰宅した為、もう日付が変わろうとしている。2月20日…今日という日を一生忘れる事がないだろう。だが俺にはまだやることがある。取り敢えず可奈さんの連絡先の名前の部分を《可奈(未来の嫁)》に変更。そしてにやける。もう我慢出来ない惚気に行こう。

『彼女できた』

 短い文をある人に送る。察しのいい人は分かるだろうが。

『知ってる。さっき聞いた』

 どこから情報が流出してるのか、と思ったが可奈さんが生徒会メンバーの誰かに言って、そこから流れたんだろう。

『決意できたのはお前のお陰だからさ。お礼を言いたくてさ』

『嫌味?』

 嫌味じゃない惚気だ。

『あー。そういうつもりじゃなかったんだけどな』

『そういうつもりじゃなくても嫌味に聞こえる』

『ごめん』

『冗談だよ♪』

 なんじゃそりゃ。この尻にしかれてる感も懐かしい。

『なぁ莉緒香』

 OKを貰った瞬間からの悩みを皆美莉緒香(みなみりおか)に打ち明ける。

『何?』

『おっぱいってどのタイミングで揉めばいいんだ?』

『は?』

 なんだこいつ。人が重大な相談をしてるのに。

『だからさぁ。俺はおっぱいを揉みたい』

『そこは理解した』

『そのタイミングが分からないんだよ』

『そんなの私にも分からない』

 マジかよ。頭の良さ的に言うと次は藤宮さんに頼むしかないのか。

『でもいきなり触ったりしちゃダメだよ?』

『さすがにいきなり触ったりはしない』

『何言ってるの?初めて家に来た時いきなり触ってきたじゃん』

 ぐぬぬ。肌を露出してた莉緒香が悪い。誘惑ですよ誘惑。童貞には刺激が強すぎなんだよ。

『キスはもうしたの?』

 突然の質問。いや話の流れ的に普通か。

『ノーコメント』

『したんだ』

 なんで分かるんだよ。

『気にしなくていいよ。カップルなら普通だよ』

『だよなー』

『私にはしてくれなかったけど』

 やべ。地雷踏んだか。

『すみませんでした!』

『よろしい』

 やったぜ。許してもらえた。こんな感じであの日も許してもらえていれば俺はまだ莉緒香と付き合っていたのだろうか。そして付き合っている間に莉緒香から養ってあげるとか言われていたのを思い出した。実際俺は勉強が苦手だが、家事には自信があった。決して悪い条件では無かった。莉緒香の顔色を伺い、怒らせないようにするだけの日々。天才・美人・ショートヘアー。これで頭が良いなんて、俺が好きになるために産まれてきたような人なのにな。地雷がどこにあるか分からない、なんて女性は大体そうだろう。それを理由に逃げたりする俺がどうかしていたかもしれない。それでも小暮可奈という本当に運命の存在を感じた相手に巡り会えた事で〈逃げ〉を正当化していたのかもしれない。

『なぁ莉緒香』

『私は凌哉の幸せを願ってるって言ったでしょ?』

 まーた心が読まれてるのか。

『だから早く男子の連絡先を教えてよ!中原くん以外で!』

 (ふくろう)と何があったんだろうな。

『仕方ねぇなぁ』

 割と迷って今度は健人の連絡先を送った。感謝とか罪悪感とかその他諸々を健人の連絡先に込めて送った。

『この人イケメン?』

『雪ヶ崎高校で五本の指に入るくらい』

 嘘は言ってない。

『本当に!?凌哉ありがと!大好き!』

 苦しゅうない。

『私、明日朝早いからもう寝るね。おやすみ』

『あぁ、おやすみ』

 スマホをスリープモードにして、少しの睡魔と複雑な心境の俺は深く考えることをやめた。答えが出ない事くらいは分かっている。出ないってか出せない。こういう時は気分転換が大切だ。さーて、惚気に行くか。生徒会メンバーのグループに短い文を送る。

『可奈さんと付き合うことになりました!』

 良くも悪くも色々な反応があったのは言うまでもない。返信をするか迷ったが、眠気の方が上回った。答えを探し続けてチキンなオレ流の高校生活を謳歌してやろう、そう思い意識を手放した。

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