合宿に行くチキンその14
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「ただいまー」
露天風呂でコーラを楽しんでいたら最後の一人の上本が帰ってきた。これで男子陣が全員揃った。俺も風呂から上がり、タオルで体を拭き新しいTシャツを着る。
「みんな揃ったし決戦と行こうか。諸君闘争の時間だ!」
フッとへ不吉な笑を浮かべる慎司。一体何が始まると言うんだ。
「第一回生徒会選抜メンバーサウナ耐久大会!!!!」
ついにこの時が来たか。
「健人説明4649!」
「…サウナ耐久とは文字通りサウナで耐久することだ。長くサウナに篭っていた奴が勝ち。一番早く出た奴は罰ゲームとして、藤堂会長に告白をしなくてはならない」
よりにもよって藤堂先輩か。まだほかの4人の方が良かったのに。藤堂先輩に告白とかそんな事したら殺されてしまう。
「俺彼女おるんやけど?」
「…関係ない」
なんてこった。
「さて、モチベーションも上がってきたところで会場に移動しようじゃないか」
そうして俺たちは旅館にあるサウナに移動したのだった。
扉の前には腰にタオルを巻いた5人の戦士。戦いの火蓋が切って落とされる。
「…入るぞ」
健人に続きサウナ室へ。中は部屋の露天風呂くらいの広さでテレビが置いてある。タオルが敷かれた木製の床に腰掛ける。まだ耐えられる暑さだが、
「アツゥイ!なんやこの暑さ…って慎司!」
「ハハハハ死力を尽くさねば」
連続焼け石に水。湿度を限りなくあげてきやがった。
「全銀河の星星の覇道よ…我に力を…」
黒田は俯き頭を抱えている。
「いやぁーまだ耐えられるけど」
何となく強がってみた。
「ほう…」
慎司は目を光らせ、
「ほっ…!」
桶に入っていた水を熱された石にぶちまけた。
「うわぁぁぁぁ!!!!」
全身の皮膚という皮膚が早くここから出たいと悲鳴を上げている。
「おっ凌哉限界?月詠先輩に早く告白しいや」
「死んでも嫌だ…ってか死ぬ」
あんな人と毎日いたら精神も肉体もすぐ限界が来るだろう。いやその前に嘘がバレてめちゃくちゃ怒られる。あの人には嘘が通じない。何でも見透かされる。その藤堂先輩に嘘が通じる上本は頭がおかしいと思う。
五分が経ちメンバーの顔つきも変わってきた。
「あかん…俺の体の水分が…」
ガリガリの上本が更にガリガリに。
「3.1415926358979323846264338279…」
黒田は覇道から円周率に。
「…ハハハ」
「これ面白いな」
健人と慎司はテレビでやっていた芸人のコントをみて笑っていた。二人とも顔は笑っていない。
「ヒッヒッフー…」
かくいう俺も表情が消え腹式呼吸に。いや違うラマーズ法だ。ボケてんのか俺は。
「あかん…もう無理ギブアップ…」
長きに渡る戦いのピリオドは突然打たれた。全身真っ赤に染まった上本が扉から出たのだ。
「勝っ…た…」
立ち上がるも体が活動限界になり大の字に倒れた。何とか匍匐前進で脱出を試みる。
「あっつ!」
扉の下の金属の部分が熱く危うく火傷しかけたが無事勝利を収めた。
「こーくはく!こーくはく!」.
着替えを済ませ一旦部屋に戻り上本は健人に煽られた。
「わかってるって…」
どうしたものか、と言わんばかりの上本。修羅の道かハーレムの道か、その運命によってのみ決められる瞬間が迫っている。まぁさっき藤堂先輩の発言からして何も起きないとは思うが。
「まぁしゃーない。行ってくる」
「?那月はどこに行くんだ?」
「なっ!?」
絶句する上本。いや、突然の藤堂先輩の登場に俺たちも絶句していた。ただ1人『話があるので男子の部屋に来てください』と表示されたスマホの画面がしっかり見えるようにドヤ顔で謎のポーズを取る慎司以外は。




