合宿に行くチキンその11
騙されて混浴に行き、旅館に帰ると混浴に来なかった6人がそこにいた。慎司は何やら怪しげな箱を持って。
「月詠先輩どういう事ですか…」
上本が涙目で訴える。
「別に私達が行くとは言ってないぞ」
確かに。だけど納得がいかない。だって
「意気揚々と風呂に飛び込んだらババァだらけだった時の俺の気持ちが分かりますか藤堂先輩!」
「凌哉君は卓球で勝っただけで女子高生とお風呂に入れるとでも思っているのか」
「だったら昨日の激戦は何だったんですか!」
「混浴に行く"権利"を与えただけだ。そもそも凌哉君は混浴に行ったメンバーで一人だけ負けていたじゃないか」
「そうですけど…」
「頑張ったのは永秀君と那月くらいだろう。二人にはジュースを奢ってやろう。何がいい?」
「じゃあ俺はオレンジジュースで」
「我はブラックコーヒーを所望する」
「これで買ってきてこい」
藤堂先輩は上本に紙的な渡した。
「うぉぉぉ!!2000円札やん!久しぶりに見た!」
「ほう…長きに渡る封印は会長殿によるものだったのか」
「自販機では使えないから売店で買ってきたまえ。お釣りは要らない」
歓喜の上本と黒田。
「…藤堂会長俺の分はないんですか」
「君は優妃相手に手加減せずに勝ったじゃないか」
「そうですけど」
納得のいかない表情の健人。
「しゃーない俺のオレンジジュース1口あげるわ健人」
「いらねぇ炭酸買ってこい」
「俺炭酸飲まれへんねん」
「舌が幼稚だな」
「悪かったな!舌がピリピリして飲まれへんねん」
「あざとい女子かお前は」
健人と上本の漫才的なやりとり。
「じゃあ俺、黒田と買い物行ってきます」
そう言い上本退場。
「残ったメンバーでくじ引きと行こうか。慎司君」
「はいどうぞ」
慎司が怪しげな箱を藤堂先輩に渡す。
「この中に赤と白のボールが入っている。これからの自由行動の班を決める。全員引きたまえ」
そう言われ各々箱に手を入れ中のボールを取る。俺は赤だ。可奈さんは…どうやら赤らしい。
赤:鳥山凌哉、小暮可奈、藤宮優妃
白:森重健人、大松京子、音坂千尋
「赤と白で別れて行動を取る。赤は私が、白は慎司君が率いる。この合宿の一番の目的である親睦を深めるために楽しもう」
なるほどそういうことか。あれ?
「藤堂先輩、黒田と上本は?」
「あの2人は私と慎司君で勝った方が永秀君をメンバーに入れる、と決めている」
そんな…上本がの押し付け合いみたいな…仕方が無いか。
「じゃあ慎司君」
「はい」
ジャンケン藤堂先輩チョキ慎司グー。
上本は赤で黒田が白に決定。ちょっと藤堂先輩そんな嫌そうな顔しちゃダメですよ。
ということで
赤:藤堂月詠、鳥山凌哉、小暮可奈、藤宮優妃、上本那月
白:今川慎司、森重健人、大松京子、音坂千尋、黒田永秀
という分け方で決定。騙されてどん底に落とされた俺達のテンションを上げるべく、自由行動が始まる。




