テスト勉強に明け暮れるチキンその3
永遠に続くように思えたスマホのバイブレーション。眼を擦り画面を見る。時刻は13時を回っていた。生徒会メンバーからの着信履歴が多数。YARAKASITA。藤堂先輩からの着信に出る。
「もしもし…」
『おはよう凌哉君。』
「おはようございます藤堂先輩いい朝ですね」
はははと現状を誤魔化すように笑う。
『二度と朝を迎えられないようにしてやろうか』
「すみませんでした!」
思わず通話越しに頭を下げてしまった。めちゃくちゃ怖い。女子高生がこんなドスの効いた声を出せるのか不思議だ。
『今すぐにこい』
「はい!」
急いで制服に着替え荷物を整える。朝からガッツリ食べたおかげでそこまで腹は減ってない。家から学校まで自転車で10分弱。間に合え…!。
「すみません遅刻しました」
俺が生徒会室に入る頃には皆が塾の講師からの授業を受けていた。藤堂先輩は一人スマホを弄りながらこちらに目を向けた。
「廊下に出ろ」
「はい…」
藤堂先輩の言う通り廊下に出た。
「何故寝た…さっき那月が朝に会ったと言ってたが」
藤堂先輩が頭を抱える。
「あぁ、腹減ってたんで朝飯食いに行ったら満腹になって家で寝てしまいました」
「ずいぶんと余裕だな。わかった今回のテストで一つでも赤点を取れば凌哉君は合宿に不参加だ」
え?
「待ってください!俺合宿とか聞いてないっすよ!」
「当然だ。三馬鹿には伝えてないからな。冬休みに生徒会で合宿に行くつもりだったのだがな」
「合宿ってどこに?」
「2泊3日の温泉旅行だ」
「めちゃくちゃ行きたいです…」
風呂上がりの女子が見れるなんて最高じゃないか。
「今からでも授業を受けろ。あと那月を呼んでくれ」
「わかりました」
生徒会室に入りメモを取っていた上本に声を掛ける。不思議そうな顔をして生徒会室を出ていった。さて、俺もメモを取ることにする。温泉旅行の為に!




